東京と縁もゆかりもない人であっても
「玉川上水」という名前は聞いたことがあるだろう。
玉川上水は、
人口が増え続ける江戸に飲み水を供給するため、
1653年に玉川兄弟によって作られた。
羽村取水堰で多摩川から取水し、
武蔵野台地を流れて四谷大木戸まで全長43km。
本企画「玉川上水を歩く」では、
この43kmを四谷から羽村まで遡って歩いてみた。
→ 玉川上水を歩く Index
1日目の2019年2月18日、四谷大木戸を出発し、
玉川上水暗渠の上の緑道を笹塚まで歩いた。
2日目の2019年3月20日は、前回の終点、
新宿区笹塚「南ドンドン橋」を出発。
杉並区久我山の「岩崎橋」まで歩いた。
3日目の2019年3月24日は、
前回の終点、岩崎橋を出発し、
三鷹駅前の三鷹橋までを歩いた。
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この記事では吉祥寺通りと玉川上水の交差点から
三鷹駅前にある三鷹橋までの写真を載せた。
この区間の玉川上水沿いの道は上水の南北で一方通行。
道には各々名前が付いており、
上水の北は東向きで「御殿山通り」。
上水の南は西向きで「風の散歩道」。
史跡が集中する風の散歩道の方を歩いた。
![](https://kawayura.com/wp/wp-content/uploads/2019/09/20190324_IMG_9469-1024x768.jpg)
![](https://kawayura.com/wp/wp-content/uploads/2019/09/20190324_IMG_9449-1024x768.jpg)
みたかシティバスのバス停は随分と可愛らしい。
![](https://kawayura.com/wp/wp-content/uploads/2019/09/20190324_IMG_9450-1024x768.jpg)
山本有三記念館は風の散歩道沿いにあって、
バス停もあり大きく看板も出ていてわかりやすい。
建物に入らず庭を散歩するだけなら無料なので
ぜひ立ち寄って見学しておきたい。
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1926年(大正15年)に建てられた建物で、
山本有三はここに1936(昭和11)年~1946(昭和21)年まで住んだ。
建物は5回に及ぶ空襲から逃れて残ったが、
戦後、進駐軍に接収された。
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![](https://kawayura.com/wp/wp-content/uploads/2019/09/20190324_IMG_2140-1024x768.jpg)
門前には「路傍の石」が鎮座している。
なお、山本有三記念館の写真は別記事にまとめた。
→ 三鷹市 山本有三記念館
![](https://kawayura.com/wp/wp-content/uploads/2019/09/20190324_IMG_2141-1024x768.jpg)
山本有三記念館から少し西へ歩いたところに「むらさき橋」。
![](https://kawayura.com/wp/wp-content/uploads/2019/09/20190324_IMG_9470-1024x768.jpg)
武蔵野市と三鷹市を結ぶむらさき橋は、
1955年に架けられ、1998年に架け替えられている。
橋の名は、公募から両市の市長が審査し決めたとのこと。
古今和歌集で詠まれた武蔵野の紫草と、
紫草で染めた「むらさき染」が名前の由来で、
橋の袂にそれを記した案内板がある。
![](https://kawayura.com/wp/wp-content/uploads/2019/09/20190324_IMG_9471-1024x768.jpg)
むらさき橋から少し西へ歩いた歩道脇に
玉鹿石(ぎょっかせき)と書かれた石がある。
![](https://kawayura.com/wp/wp-content/uploads/2019/09/20190324_IMG_9473-1024x768.jpg)
青森県北津軽郡金木町産
玉鹿石(ぎょっかせき)
1996年(平成8年)6月
![](https://kawayura.com/wp/wp-content/uploads/2019/09/20190324_IMG_9475-1024x768.jpg)
歩道の脇に意味ありげに置かれているが、
書いてあるのはたったこれだけ。
普通ならよく分からずに通り過ぎてしまうだろう。
だが、この石は太宰治の故郷から運ばれてきたもので、
このあたりの玉川上水で太宰治は入水自殺を図ったのだ。
玉鹿石のすぐ西に、太宰碑がある。
![](https://kawayura.com/wp/wp-content/uploads/2019/09/20190324_IMG_9476-1024x768.jpg)
![](https://kawayura.com/wp/wp-content/uploads/2019/09/20190324_IMG_9477-1024x768.jpg)
![](https://kawayura.com/wp/wp-content/uploads/2019/09/20190324_IMG_9479-1024x682.jpg)
太宰治が自殺を図ったのは、
1948(昭和23)年6月13日。
愛人の山崎富栄と共に玉川上水に入水した。
2人の遺体が発見されたのは、
太宰の誕生日でもある6月19日。
6月19日は太宰が死の直前に書いた短編にちなんで
「桜桃忌」と名付けられている。
![](https://kawayura.com/wp/wp-content/uploads/2019/09/20190324_IMG_9480-1024x768.jpg)
![](https://kawayura.com/wp/wp-content/uploads/2019/09/20190324_IMG_9478-1024x768.jpg)
![](https://kawayura.com/wp/wp-content/uploads/2019/09/20190324_IMG_9481-1024x768.jpg)
それにしても上水で自殺を図るとは
随分と人の迷惑を考えない行為ではないか…。
太宰碑も、玉鹿石と同様、
気をつけて歩いていないと見逃してしまいそうだ。
![](https://kawayura.com/wp/wp-content/uploads/2019/09/20190324_IMG_9482-1024x768.jpg)
玉川上水の土手には
植物たちの春の息吹が満ちあふれて、
大変美しかった。
![](https://kawayura.com/wp/wp-content/uploads/2019/09/20190324_IMG_9483-1024x768.jpg)
三鷹橋の近くまで歩くと上水脇の生垣がなくなって、
玉川上水の水面がよく見えた。
太宰が入水した頃は蕩々と流れていたであろう上水は、
今は入水自殺など困難な、大人しい流れになっている。
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