キューガーデンズの孔雀

 王立植物園キュー・ガーデンズの熱帯雨林温室パームハウス。
 ガイドブックでキュー・ガーデンズの紹介を見れば,大抵この温室の写真が載っている。言わばキュー・ガーデンズの顔とも言える施設だ。

 1848年に完成したこの温室は,船を逆さにしたようなデザインが特徴。ヴィクトリア朝様式のデザインで,熱帯雨林の環境を整えている。
 内部の熱を逃がさないように設計された美しいカーブを描くガラスの壁は,ハイドパークの設計で知られる建築家デシマス・バートン氏によるものらしい。
 とにかくとても絵になる温室だ。

キュー・ガーデンズ パーム・ハウス前(2008-05-23)
キュー・ガーデンズ パーム・ハウス前(2008-05-23)

 この堂々たる温室の前の道路のど真ん中に,1羽の孔雀が座り込んでいた。
 堂々たる様子で我が物顔の孔雀。おそらくここで飼われていて植物園内で好き勝手に過ごしているのだろう。

 珍しかったのでしばらく孔雀を眺めていた。
 すると,寛いだ様子だった孔雀はふとパーム・ハウスの方に視線を移し,おもむろに立ち上がってパーム・ハウスの庭から離れるように歩き始めた。丁度,小さな女の子2人とそのお母さん2人がこちらへ向かっており,どうやら孔雀は子供から逃げたかったらしい。

 案の定,孔雀を見つけた女の子たちは,怖々と,しかし興味津々といった感じで追いかけ始める。
 それに対し,孔雀は悠々とした様子で通路横のラベンダーの茂みの中へ入り込み,とことこ歩いて行ってしまった。孔雀は人が入れない場所をよく承知しているのだ。

 ちょっと面白い光景だった。

座り込む人たち

 ロンドンを訪れた最初の日。
 日没が遅い5月の長い昼間を利用して,朝から晩まで死ぬほど歩き回った。

 バッキンガム宮殿は午前中の元気なうちに訪れた場所で,兎にも角にも人だらけだった。門の前も,そしてこのヴィクトリア女王記念碑の周辺も。どちらを向いても人がうじゃうじゃで,とてもじゃないが良い感じの写真なんて撮れっこない。
 もちろんこの人たちはみんな観光客だろう。
 イギリス国内からの人が多いのか外国人が多いのか全くわからないが,何故か多くの人たちが燦々と照りつける陽光の下,記念碑の周辺に座り込んで寛いでいる。

 何故みんな座り込むの?
 不思議に思ったが,その後,トラファルガー広場へ行ってもセントポール大聖堂へ行っても,似たような光景を度々見かけることになった。
 観光地のモニュメント前に座り込んでただゆったり過ごしている彼ら。観光地を訪れたら最初から最後まで忙しなく動き回って写真を撮りまくろうとする私。

 別にどちらが良いとか悪いとかないけれど,ゆったり座って過ごすってことができそうにない私は,無い物ねだりで彼らの過ごし方が少し羨ましかった。

Queen Victoria Memorial(2008-05-22)
Queen Victoria Memorial(2008-05-22)

 BBCで放映されているエリザベス2世女王のプラチナ・ジュビリーを見ながら,バッキンガム宮殿へ行った日のことを思い出したのだった。

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 過去の旅行を写真で旅する いつかの遠い街 シリーズ。
 気合い入れて撮った写真。
歩きながら適当にシャッターを切った写真。
何だか忘れてしまった写真。
色々ある中からたまたま目に留まった1枚をピックアップ!
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