いつもの道を歩きながらふと見上げた空に白い月が浮いていた。
冬枯れの木立と月の白さが,澄み渡る空の青と織りなすコントラスト。
素朴な美しさに釘付けになった。
なのに,空を見上げたまま私は此の場所をいったん通り過ぎた。
すぐに後悔し,戻って来て撮ったのだった。
丁度一月前のことだ。
今はこの木にも新芽が吹いて風景が変わっていることだろう。
通り過ぎたのに,戻って来てまで撮りたいと思うかどうか。
とても微妙な心の機微で決まるのだと思う。
季節が移った此の場所で同じく昼間の白い月を見かけたら,私は撮りたいと思うのだろうか?