下町風俗資料館 (2)

 上野、不忍池の畔にある小さな博物館、台東区立 下町風俗資料館。ちょっと空いた時間に気軽に入り、昔懐かしい文化を学べる施設です。
 修学旅行生にお勧め!

 昨日の記事では1階の展示を紹介しました。今日は2階の紹介。
 2階は玩具コーナーと特別展、昭和の家とお風呂屋さんです。

平成30年度特別展 「水面にうつる江戸から東京 不忍池」 2018年12月8日~2019年2月24日

 丁度、特別展「水面にうつる江戸から東京 不忍池」を開催中で、珍しい資料の数々が披露されていました。
 特別展の開催期間は、2018年12月8日~2019年2月24日。
 あと10日ほどです。

「水面にうつる江戸から東京 不忍池」展示から雪見橋の碑

 かつて存在した雪見橋の名残が不忍通りにひっそりと残っているそうです。
 不忍池は花の名所、蓮の名所、雪の名所、月の名所などとして親しまれていたのでした。何故雪の?と不思議に思いますが、広く開けた不忍池で一面に広がる雪景色を眺めるのは雪見の醍醐味だったとのこと。

揚州周延(ようしゅうちかのぶ)図「上野不忍共同競馬会社開業式之図」明治17年(1884年)

 明治初期、池の周辺が競馬場になりました。
 池の北の一部が埋め立てられ、そこには馬見所が建てられ、明治17年に第1回の競馬が行われました。
 その後、不忍池畔は様々な競技会場として利用されたのでした。

台東区内の銭湯で実際に使われていた番台

 実際に座って座り心地を確認できる風呂屋の番台。
 男湯・女湯各々に当時のポスターが貼られ、お風呂屋さんの雰囲気を味わうことが出来ます。

女湯のポスター
男湯のポスター

 お風呂屋さんの横には、電気やガスや水道が通った昭和の家。
 下はその台所の風景です。
 昔懐かしい炊飯器と魔法瓶、トースターやお櫃、魚焼き網も並んでいます。

昭和の下町の家
お茶の間のラジオと犬の置物

 お茶の間にはシンガーミシンやカップボード、足の付いた初期のテレビ、黒電話などが並んでいます。畳の部屋には実際に上がり込んで座ってみたりすることもできます。

 当時を知らない若い世代の方々には興味深く、当時を知る世代の皆様には懐かしく楽しめるのではないでしょうか。

玩具コーナーの独楽

 2階に上がった部分は玩具コーナーになっていて、駒やおはじき、けん玉にすりこぎトンボ、コリントゲーム等々、昔の子供たちが遊んだ玩具が並んでいます。
 みな手に取って遊んでみることができます。

松風独楽
松風独楽(まつかぜごま)

 両手の親指に糸をかけて、ぐるぐる回して引っ張ったり緩めたりします。
 すると、ヒューヒューと松林を抜ける風のような音がするのです。「ぶんぶんごま」などという呼び方も。

 玩具コーナーの前にはベンチもあって、目の前に広がる不忍池の風景を楽しみながら休憩することもできます。上野散策の休憩所にも良さそうです。

  • 開館 9時30分~16時30分(入館16時まで)
  • 休館日 月曜日(祝日の場合翌平日)と年末年始・展示替期間
  • 料金 大人300円 小中高校生100円
  • 所在地 台東区上野公園2-1
下町風俗資料館 (1) – かわゆら

下町風俗資料館 (1)

 上野の不忍池の畔に小さな博物館があります。

 「台東区立 下町風俗資料館

 気軽に短い時間で見学し、昔懐かしい文化を学べます。
 特に修学旅行生にお勧め!

  • 開館 9時30分~16時30分(入館16時まで)
  • 休館日 月曜日(祝日の場合翌平日)と年末年始・展示替期間
  • 料金 大人300円 小中高校生100円
  • 所在地 台東区上野公園2-1

 大正時代くらいまで下町に残っていた江戸の風情を残す文化。
 関東大震災と戦災により街は様変わりし、すっかり失われようとしていたそれらの文化の記憶を残しておきたいという願いから、貴重な品々の寄付が集まり、昭和55年(1980年)にオープンした資料館だそうです,

下町風俗資料館

 不忍池の南東角の建物で、昔ながらの円柱形の郵便ポストが目印です。

自働電話

 資料館に入って受け付けを済ませると、受付台の横に六角柱の形をした赤い電話ボックスがあります。明治43年から各地に設置された電話ボックスで、電話機は実際に触ってみることができます。

 「自働電話」の名前は、英語の「オートマティック・テレフォン」を直訳したもので、大正15年(1926年)頃に交換手を介さないダイヤル式の電話機が導入された頃から「公衆電話」と呼ばれるようになったそうです。

花緒の製造卸問屋

 電話ボックスの奥には花緒の製造卸問屋があり、当時の商家の様子を伝えています。
 「出桁(だしげた)造り」という作業場と帳場がある典型的な建物です。
 帳場には江戸の大店らしく、お酉さまの熊手が飾られていました。

 こちらは作業場。
 色とりどりの花緒が美しいですね。

花緒の製造卸問屋 作業場

 商家の向かいには長屋が建ち、長屋の庭先に小さなお稲荷様が祀られています。

長屋の奥のお稲荷様

 卸問屋の向かいの狭い路地に囲まれて建つ長屋は、薄壁で2件に仕切られ、駄菓子屋を営む母娘と、銅壺(どうこ)屋の職人一家4人が住んでいるという設定です。
 こちらは銅壺屋の作業場。
 銅壺とは銅板で作った湯沸かし器のことで、他に鍋ややかんなど、銅で作る器具の製造や修理を行う、庶民に欠かせない仕事でした。火を扱う職人の職場らしく、火の神様が祀られています。

 こて、やっとこ、金切り鋏、万力、るつぼ等々の道具が並んでいます。

銅壺屋の作業場

 長屋の横の路地。
 ホオズキやアロエは今でも下町の路地で見られますね。

長屋横の路地

 駄菓子屋さんの商品棚。
 シールにお面、折り紙に紙の着せ替え人形などなど。
 子供だったら何時間見ても見飽きない宝物が、所狭しと並んでいます。

駄菓子屋さん
駄菓子屋さん

 お店や住居の中には自由に入り、じっくり見学することができます。
 これらの品々は皆、かつて大切に使われていたものです。

 資料館の1階は問屋さんと長屋だけ。次回は2階部分の展示をご紹介します。