暗坂(くらやみざか)―新宿区

新宿区愛住町。
都営新宿線の曙橋駅に近い
靖国通りから上る急な階段だ。

暗坂(新宿区)

かつては坂の片側の墓地の木が生い茂り、暗い坂道だった。
このため江戸時代から広く「暗坂」呼ばれていた。

暗坂(新宿区)

暗坂:『御府内沿革図書』(ごふないえんかくずしょ)
くらがり坂:『江府名勝誌』(ごうふめいしょうし)

『御府内沿革図書』は、
延宝年間(1673~1681年)から幕末の土地利用変遷を示す地図集。
『江府名勝志』は、享保18年(1733年)刊行の江戸の地誌。

「暗闇坂」という書き方は明治以降で
「暗坂」と書くのが本来だとのこと。

暗坂(新宿区)

坂を上って四谷方面へ歩いて行くと、
ほどなく釣り文化資料館がある。
更に少し歩くと美術愛住館。
周囲は散策に楽しい場所だ。

解剖坂(かいぼうざか)―文京区

台地と低地が入り交じる東京の都心部は、
美しい坂道や階段の宝庫。
散歩しながら見かけた階段や坂道の記憶を残していく。

解剖坂(千駄木)

本郷台地の上を通る中山道と、根津の谷を通る不忍通り。
その中間の本郷台地中腹を通るのが、
団子坂上交差点と根津神社の裏門あたりを繋ぐ藪下通りだ。
森鴎外の散歩道だったという由緒ある藪下通りだが、
ここから本郷台地へ上る長い坂道が「解剖坂」だ。

解剖坂横の上千駄木町会の掲示板

風情ある素敵な階段坂道なのにおどろおどろしい名がついているのは、
坂の横が日本医科大学で、
実際に解剖学の教室がすぐ横にあったかららしい。

東京の坂道にはだいたい説明看板が立っているが
ここには坂の名前や由来を書いた看板がない。
穏やかではない名前であるための配慮ではとのことだ。

解剖坂の下から

坂の途中には民家もあり、人通りが絶えない。
誰もいない写真を撮るには随分と待たなければならなかった。

解剖坂の下からアップで

坂を途中まで上って見下ろしてみる。
向こうに見えている高いマンションは不忍通りだ。

解剖坂の中腹から

夕刻の比較的人通りが少ない時間帯に撮ったが、
朝は大学関係者が頻繁に行き来して大変活気がある。

解剖坂の上からアップで

坂を上りきったところには夏目漱石旧居跡
通称「猫の家」があるので、
解剖坂とセットで散歩コースに加えるのがお勧め。