虫歯って移る?

毎日使っているものの話として
歯ブラシと歯磨き粉について書いてきました。

ところで虫歯って何でしょう?
虫歯は移る!って話も聞きますよね?
虫歯という言葉は子供の頃から知っているのに、
虫歯が何なのかは意外と知らなかったりしますよね。

虫歯は専門用語では「う歯」(うし)。
う蝕(うしょく)された歯のことです。
う蝕という病気による結果がう歯=虫歯ということですね。

では「う蝕」とは何?
まず口の中にいる細菌が、食べかすの糖分から酸を作って放出します。
その酸が歯の成分を溶かします。
これが「う蝕」。う歯(虫歯)のできあがりです!

要するに虫歯の原因は細菌。
虫歯は感染症なのです。
虫歯の原因となる菌は、唾液を通じ別の人に移ります。
よく聞くのが、お母さんから乳幼児への感染ですね。

新生児の口の中には虫歯の原因となる菌はいません。
が、家族と同じスプーンや食器を使ったり、
離乳食の時に親が噛み砕いた食べ物を与えたり、
そういう機会に菌が移り、子供が感染してしまうのです。

家族で歯のケアをすることが、とても大切なことがわかります。

なお、虫歯を作る菌は大人同士でも感染しますが、
口の中に住む菌の種類は成人前に決まってしまい、
大人になると別の菌が入りにくくなり、
その結果、大人から子供よりは移りにくくなるようです。

ちなみによく「虫歯菌」という言葉を聞きますが、
これは虫歯の原因となる菌の総称のことです。
虫歯菌という名前の菌がいるわけではありません。
虫歯の原因となる菌は多く知られていますが、
一番ポピュラーなのは「ミュータンス菌」です。

ミュータンス菌はプラーク(歯垢)を作って暮らし、
プラークの中で酸を作って歯を溶かします。
歯に穴があいてしまうと、その中に
乳酸菌の一種であるラクトバチラス菌などが住み着き
虫歯の進行を促します。

菌は歯磨きや定期的な歯のクリーニングで減らすことができますし、
大切な歯を死ぬまで失わないよう、日頃からケアしていきたいですね。

街で見かけたお洒落な歯医者さん

歯磨き粉とフッ素

歯磨きとフッ素

歯磨きで歯ブラシと共に大切なのは、言うまでもなく歯磨き粉ですね。
歯磨き粉は、何を基準に選んでいますか?

虫歯を作らないために、虫歯になりにくい歯を作るために、
とても重要な役割を果たしているのはフッ素です。
虫歯予防のために水道水にフッ素を混入させている国もあります。

水道水にフッ化物を添加し濃度調整することを
水道水フロリデーション」と呼びますが、
アメリカ・イギリス・アイルランド・オーストラリア・
ニュージーランド・シンガポール・マレーシアなど
多くの国で行われています。

WHO(世界保健機関)でも
虫歯予防の推奨水道水フッ化物濃度が定められています。

0.7~1.0mg/L(0.7~1.0ppm)

しかし、厚生労働省が定める日本の上水道におけるフッ化物濃度は
0.8mg/L(0.8ppm)以下(平成27年4月1日施行基準値より)。

日本の上水道のフッ化物濃度は
虫歯予防について考慮されていない基準になっています。

そこで、歯磨き粉の役割が殊更に重要になってきます!
ところが日本では、
フッ化物がきちんと添加された歯磨き粉も少ないのです。

例えばアメリカで売られている歯磨き粉を見てみましょう。
amazon.comで上位の歯磨き粉から抜粋してみました。

  • Colgate Total Whitening Toothpaste
    → Sodium Fluoride (0.24% (0.14% w/v Fluoride Ion))
  • Crest 3D White Whitening Toothpaste, Radiant Mint
    → Sodium Fluoride 0.243% (0.15% w/v Fluoride Ion)

わかりにくいですが,Sodium Fluoride というのがフッ化物です。
0.24%という高い濃度で加えられています。
0.24%=2400ppm です。

実は日本では歯磨き粉のフッ素濃度にも低い基準があったのです。
以前は薬用歯磨き粉のみ高濃度の添加が許されていましたが、
国際基準より遙かに低い1000ppmが上限。

2017年3月に国際基準と同じ1000~1500ppm が許可されましたが、
やはり医薬部外品の「薬用」の歯磨き粉のみが対象です。

下の写真は私が使っている歯磨き粉、
ライオンの「チェックアップ スタンダード」です。
歯医者さんのほか、東急ハンズや通販で入手することができます。

Check-Up standard
Check-Up standard

この歯磨き粉はフッ化物濃度が高く、
低発泡なので歯磨き後の洗口は1回だけで済みます。
洗口が少ないとフッ素が流れていくのを防ぐことができますね。
またペーストが柔らかく長時間のブラッシングで
フッ素を口腔内に広げることができます。

ほかにもクリニカアドバンテージなどの薬用歯磨き粉で
高濃度のフッ素化合物が配合されています。
歯磨き粉を選ぶとき、
フッ素濃度に注意を払ってみてはいかがでしょう。

なお、厚生労働省からの通達で、高濃度フッ化物配合の薬用歯磨き粉は
6歳未満のお子様の使用は控えるように書かれています。
お子様の歯磨き粉は歯医者さんで相談するのが良さそうですね。

参考リンク:
フッ化物を配合する薬用歯みがき類の使用上の注意について
(厚生労働省 平成29年3月17日)