アニメ覚え書き(2023年7月~2023年9月)

 2023年11月8日時点で見終わったアニメ備忘録。


NieR:Automata Ver1.1a

 2023年1月〜。原作はゲーム。コロナの影響で度々中断。全話配信されたのを確認して10月になって視聴した。
 原作のゲームも小説も知っている上での視聴だったが,アニメオリジナル内容が多かった。何故ここでオリジナルが必要?と思うようなこともあったが,別にそれはそれでアニメとしては問題ないし,映像と音楽は原作のイメージを壊さない素晴らしいクオリティだったと思う。2期も決まっており続きが楽しみだ。


贄姫と獣の王

 2023年4月〜。原作は『花とゆめ』連載の少女漫画。2クール作品。
 生け贄として獣の国に差し出された少女と獣の王の物語。数々の苦難を乗り越え少女が后として迎えられるまでを描く童話や少女漫画にありがちなストーリーだが,面白かった。


交響詩篇エウレカセブン

 2005年4月〜2006年4月。全50話の超大作アニメ。地球にやってきたスカブ・コーラルと呼ばれる生物だか物質だか分からない者(物)と人間との対話の物語。対話することがとても難しい者たちが交流し共に過ごすにはどういった方法があるのか。そういう物語だったように思う。一度見たくらいでは分からないほど難しかったが,50話はとても見応えがあった。登場人物達が丁寧に描かれており魅力的だった。

交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい

 2009年4月25日公開・115分。TVアニメ終了後の劇場版だが,TV版とは異なる世界観の異なる物語だった。時代が違うし,同じ登場人物が出てくるが立場や年齢も異なっている。何故この人物設定を使ってエウレカセブンという名前なのか分からなかったが面白くはあった。


呪術廻戦 第2期

 2023年7月〜。1期から時間も空いていたし,初っぱなが虎杖たちではなく,五条たちの世代の若い頃だったりして良く解らなかったが何とか最後まで視聴。良く解らなかったけれど,続きが放映されたら適当に見ると思う。


好きな子がめがねを忘れた

 2023年7月〜。原作は『月刊ガンガンJOKER』にて連載中の漫画。
 原作が好きなので視聴したが,アニメは小村くんがキモすぎたのでは。映像はすごく美しく作られていたが良く解らない角度の凝り過ぎ場面が多かった。ちょっと退屈だったけれど,綺麗だったので文句を言うほどでもなく最後まで視聴した。


無職転生 第2期第1クール

 2023年7月〜9月。第2期第2クールは2024年4月からに決まっているらしい。
 ヒロインでいうならシルフィのターン。エリスに捨てられた(と思い込んだ)失意のルーデウスがラノア魔法大学でシルフィと再会し結ばれるまで。後々重要な存在であるザノバやナナホシと再会し,クリフと知り合う。
 原作読了済みでストーリーを知っているというのに毎回とても楽しみに視聴した出来の良さは流石。第2クールも楽しみだ。


AIの遺伝子

 2023年7月〜。原作は『少年チャンピオン』(秋田書店)連載の山田胡瓜氏によるSF漫画作品。大まかなストーリーには惹かれるものがあったが,一つ一つのエピソードに予想が付く感じのチープさを感じてイマイチで,印象に残っていない。


アンデッドガール・マーダーファルス

 2023年7月〜。原作は講談社タイガ刊行の青崎有吾氏の小説。
 化物が住む異世界の19世紀辺りの欧州を舞台にした探偵もの。物語が中途半端に終わったのが残念。面白かったので続きがあれば視聴する。


大奥

 2023年6月〜Netflix。原作はよしながふみ氏による時代物少女漫画。男性だけが罹患する疫病のため圧倒的に女性が多く男性が希少になった江戸時代の大奥の物語。まずまず面白かったのだが中途半端に終わってしまった。


わたしの幸せな結婚

 2023年7月〜。異能を持つ者達が特別の立場にいる異世界の大正時代?くらいが舞台。特別な異能を持つが特別故に,実家で異能を理解されず使用人以下の扱いをされてきた少女,斎森美世が,婚約者の久堂清霞に出会い幸せに向かって努力していく物語。異能の裏にある世界の仕組みや異能を持つ家同士の駆け引きなど世界の謎も多く,それらをひっくるめて面白そうだったし,アニメ時代も美しく作られていて面白かった。だが1クール12話で終わって大変残念。1クール縛りで作品を台無しにするのそろそろ止めてほしい。


ホリミヤ2

 2023年7月〜。2021年の第1期は面白く視聴したので今回も視聴した。
 1期の時にはあまり感じていなかったが,堀さんが我が儘で凶暴でマジウザい。堀さんがあまり出てこない回だけが良かった。特に生徒会の仙石くん・レミ・桜の3人がとても良い感じで,できればこの3人のアニメを見たいと思ったのだった。宮村くん,堀さんとはさっさと別れた方がいいと思うよ?


うちの会社の小さい先輩の話

 2023年7月〜。原作は配信サイトで連載中の漫画作品。
 表題でだいたい想像がつくが,まったくもって少しも裏切られない想像通りだった。会社の小さくて可愛らしい(そして巨乳)先輩女性と後輩の男性がほのぼのと仲良しな日常系。小さい先輩って何故か胸が大きい人が多い気がする。小さくても胸が大きいことでお姉さん感を出している?(どうでもいい考察)


THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!

 2014年1月25日公開。2011年に放映されたTVアニメ『THE IDOLM@STER』の続編という位置づけの劇場版。アイドルとして活躍する765プロのメンバーが,アリーナで全員そろったライブをすることになる。バックダンサーにアイドルスクールから7人が参加。リーダーに指名された春香は新人をフォローしながらライブを成功させる。ライブが終わるとプロデューサーも次のステップに旅立つ。
 2023年10月開始のTVアニメ『アイドルマスター ミリオンライブ!』がこのバックダンサーの子の物語と知って視聴したが,そんなことはどうでもよく,初代のIM@Sメンバーの素晴らしさに感動したのだった。


SYNDUALITY Noir

 2023年7月〜9月。バンダイナムコグループによるメディアミックス作品。前半はけっこう面白かったが,後半失速し急速につまらなくなった。第2期は気が向いたら視聴しよう。


夢見る男子は現実主義者

 2023年7月〜9月。原作は「小説家になろう」のWeb小説(おけまる著)。
 何故突然現実主義者になったのかイマイチわからなかったが面白かった。その設定もそのエピソードも無理があるよねと思うことが多いのに,キャラクターがみな活き活きとしていて好感が持てたこともあって気にならなかった。


天国大魔境

 2023年4月〜6月。原作は石黒正数氏による漫画作品で『月刊アフタヌーン』にて連載中。
 未曾有の大災害で文明が破壊され後退した世界を旅する少年マルと少女キルコ。その世界とは壁で切り離された天国に住む不思議な能力を持つ子供達,トキオやミミヒメ,コナやシロなどなど。
 二つの世界がどう繋がっていくのか興味をそそられ毎回楽しみに視聴した。大変面白い作品だった。これで終わってもらっては困るんですけど!?


アイドルマスター シンデレラガールズ U149

 2023年4月〜6月。島村卯月らと同じ芸能プロダクションの第3芸能課に所属する小学生アイドル9人の物語。
 「U149」は身長が149cm以下という意味。一人一人のお当番回を通してしっかりしたプロ意識を持って真剣にアイドル活動に取り組む彼女たちの様子が描かれ,非常に引き込まれる良いアニメだった。


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少女革命ウテナ

  • 企画製作 ビーパパス(Bepapas)
  • 監督 幾原邦彦
  • 原案 幾原邦彦・さいとうちほ
  • 音楽 光宗信吉
  • 合唱曲 J.A.シーザー
  • テレビ放映 1997年4月〜1997年12月(全39話)

やたらメタファーが多い抽象的作品

 DMM TVにて視聴した。

 1997年に放映された『少女革命ウテナ』を今さら見てみたのは,その後多くの作品に影響を与えた一般教養的(1度は見ておくべき)アニメと思われたからだ。
 確かに見はじめたとたんに『水星の魔女』が大きな影響を受けていることがわかったし,視聴が進むにつれ,多くの作品が頭の中をよぎった。まどか☆マギカ,ピングドラム,化物語,ユリ熊嵐,etc.etc…。

 最初から最後まで何もかもがメタファーでできているようなアニメで,哲学的でとても難しかった。現実世界の話なのか,心象世界の話なのか,ウテナやアンシーは実在しているのか,それとも誰かの心の中の存在なのか,ウテナとアンシーは同じ人物の別の局免の象徴だったりするのだろうか,それとも?

 しかも物語は「えっ!?」と絶句しているうちに終わってしまった。潔く格好良い主人公であるはずのウテナは,まさかまさかもしかして,負けてしまったの? どこへ行ってしまったの? アンシーとは,薔薇の花嫁とは何だったの?

 現実離れした物語の空間そのものが心象世界の具現化のようで,ひどく抽象的だった。よくよく考えながら何度か見ないと分からないのではないか,制作者たちの想いを受け取るのが難しいのではないかと思われる作品だった。


学園は現実世界の投影

 だが,難しいことを考えずとも,物語の表面から受け取るメッセージもとても多い。

 人を支配する嫉妬や嫉み,冷酷さ,それに抗うことの難しさ。
 あらゆる場面に垣間見られる性的メタファーから自由になりきれない世界。

 人は多くのカルマにとらわれて生きていて,そうそう気高くなんてなれない。予定通りになんていかないし,現実はいつも残酷だ。

 潔く格好良く生きていく筈だったウテナが,ボロボロになって舞台から消え去ってしまう。この物語は,主人公が格好良く勝利をつかみとって幸せになるお伽話のような世界ではなく,大袈裟な舞台装置に飾り立てられていながら,この上なく残酷なほどに現実的だったと思える。
 学校のみんながあっという間にウテナに興味を失いどうでもよくなる様も,まさに社会そのものではないか。背筋が寒くなるようでゾッとさせられた。
 (備忘録につき以下,ネタバレ満載)


「ねぇウテナ様って誰だっけ」
「知らないのー? ほらいつも男装してた子でさ よく先生に叱られてた」
「あー思い出した あの人か。いたいた」
「ま どうでもいいけどねー」

第39話 いつか一緒に輝いて

 心底ゾッとした後,旅立つアンシーの後ろ姿に一縷の希望を見出し奥行きが広がってゆくようなエンディング。
 少女漫画雑誌『ちゃお』にこれが連載されていたと思うと,少女漫画の恐るべき奥行きを感じざるを得ない。


萼に支えられ薔薇は開く

 「うてな」という言葉は花を包む「萼=ガク」の訓読みだ。
 アンシーは「薔薇の花嫁」であり,作中の全ての重要な場面に薔薇の花が登場する。天上ウテナは,花=薔薇の花嫁=姫宮アンシーを支え美しく咲かせる萼なのだろう。


君に会うために 僕はここまで来たんだ
だから君と僕の出会う この世界を恐れないで

第39話 いつか一緒に輝いて


 萼であるウテナは,長い間かたく閉ざされていた花(アンシー)を美しく咲かせた。萼に支えられて薔薇が咲き誇ることが革命だったのだろうか。
 アンシーは,革命が起こったことにも気づいていない兄に別れを告げる。そして再びウテナに出会うために旅立ってゆく。

 ピンクのドレスに白いベレー帽。眼鏡をはずし髪を下ろし,スーツケースを持ってまっすぐまえを向いて歩いて行くアンシーの後ろ姿は,意志と希望に溢れている。薔薇の花嫁だった彼女の面影は片鱗も見られない。


あなたはこの居心地のいい棺の中でいつまでも王子様ごっこしていてください。
でも あたしは行かなきゃ。
あの人は消えてなんかいない。あなたの世界からいなくなっただけ。
さよなら。

今度はあたしが行くから。どこにいても必ず見つけるから。
待っててねウテナ。

第39話 いつか一緒に輝いて

 学園は世界であり「棺」だったようだ。
 物語の中で何度も繰り返されてきた言葉「卵の殻を破らねば,雛鳥は生まれずに死んでいく。我らが雛で卵は世界だ。世界の殻を破らねば,我らは生まれずに死んでいく。世界の殻を破壊せよ。世界を革命するために。」と重ね合わせると,棺と卵は同じものであるように思われる。


絶対運命黙示録

 オープニング曲《輪舞-revolution》 (作詞:奥井雅美/作曲・編曲:矢吹俊郎/歌:奥井雅美)は気高い心を失わずに生きていこうとするウテナをよく表している印象的な曲で,最初から最後まで通して使われていてとても良かった。

 また決闘場面の度に流れた合唱曲《絶対運命黙示録》(作詞・作曲・編曲:J.A.シーザー/合唱:杉並児童合唱団)は場を盛り上げる最高に忘れられない曲だった。

 Apple Musicでさがしてみたが,残念ながら「少女革命ウテナ」のサウンドトラックは見つからなかった。


後記

 幾原邦彦監督による代表的アニメ作品は雰囲気が似ていてウテナを見ながらよく思いだし,続けて視聴したくなった。
 特に「かしらかしら」の影絵少女の場面を見れば,ピングドラムの「生存戦略」やユリ熊嵐の「ユリ裁判」が頭をよぎった。これらの作品群とテーマを比べてみると楽しそうだ。

  • 輪るピングドラム
  • ユリ熊嵐
  • さらざんまい

 どれだけ時が流れても,名作は古くさくならない。
 『機動戦士ガンダム』がそうであるように,『serial experiments lain』がそうであるように,『電脳コイル』や『涼宮ハルヒの憂鬱』『魔法少女まどか☆マギカ』がそうであるように,『少女革命ウテナ』も語り継がれるべき名作であろうと思う。


参考

 下記サイト様に非常に詳しい考察があり参考になった。

『少女革命ウテナ』解説 私の最終黙示録 —日々の雑文

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