本の記録(2024-12)

 12月も相変わらず少しずつ『枕草子 (下)』を読み進めており,平行して『植物たちの戦争』を読んでいた。『枕草子』はそもそも1日に数ページしか読めないので仕方が無いが,『植物たちの戦争』がブルーバックスなのに難しくてなかなか読み終わらない。
 というわけでコミックしか読んでいないかのようなラインナップになってしまった!

 『靴ずれ戦線』は全体的に興味深かったが,著者が願っているように,これを読んでロシアやウクライナに興味を抱いて旅行に出かけるのは無理そうな世界になってしまって残念だ。『ダンジョンの中のひと』は安定の面白さ。思わず2回読んで,前の巻と前の前の巻まで読み直してしまった。『私の百合はお仕事です!』な実に濃い人間ドラマで読むとちょっと疲れる。でも続きが知りたくなるタイプ。今の話が次の巻で一段落しそうなので続きをはやくよみたい。


12月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:198
ナイス数:20

靴ずれ戦線 ペレストロイカ(2) (RYU COMICS)靴ずれ戦線 ペレストロイカ(2) (RYU COMICS)感想
 前巻と同様ファンタジーの中のリアルな独ソ戦&作者の趣味全開イラストコラム。物語の時系列はバラバラだが戦争の終わりが終わりの方に描かれる。彼女らの戦後はどうなったのだろう。熊の神,水辺に住む精霊ルサーシカ,勇者エゴーリイこと聖ゲオルギイ,悪魔チョールト,夏の真昼に現れる女ポルードニツァ,叙事詩の英雄イリヤ・ムーロメツと化物ソロヴェイ・ラズボーイニク,老婆妖精キキーモラ,金曜日に働く者を許さない聖ピャートニツァ,吸血鬼ウプィリ。盛りだくさんすぎるロシア伝承の嵐であった。
読了日:12月04日 著者:速水螺旋人

アルテ 20巻【特典イラスト付き】 (ゼノンコミックス)アルテ 20巻【特典イラスト付き】 (ゼノンコミックス)感想
 主にレオさんの子供の頃から独立するまでの話。合間にアルテの子供の頃の逸話が話される。相変わらず1巻あっという間に読み終わってしまうが,絵がとてもよく描き込まれていて見るのが楽しい。そろそろ終わりだろうか?
読了日:12月07日 著者:大久保圭

ダンジョンの中のひと : 5 (webアクションコミックス)ダンジョンの中のひと : 5 (webアクションコミックス)感想
 地下10階の攻略を開始するクレイ。10階の祝福で短剣の能力が発動される。父との戦いを振り返り,ベルから父ブランスのことを色々聞かされる。要らない装備でランガドさんに防具を依頼。しかしクレイがベルに勝つのは限りなく難しそうである。探索者が従業員であることが気に入らないモンスター。精霊様と精霊系と精霊と魔力の違い。お姉ちゃんと街へ買い物。武器やのレンカラさんに人間扱いされないベル。レンカラさんに変わっていると言われるクレイ。レンヒリンジにクレイは何者なのかと問うブランス…。
読了日:12月10日 著者:双見酔

その着せ替え人形は恋をする 14巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)その着せ替え人形は恋をする 14巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)感想
 世間で騒ぎになっているコミケのハニエル。新菜が従姉の家にいたころの話。新菜も海夢も各々悩む。冬コミのハニエルを必死で捜す人。今後物語はどういう方向へ進んでいくのか見えなくなってきた。
読了日:12月11日 著者:福田晋一

その着せ替え人形は恋をする 13巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)その着せ替え人形は恋をする 13巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)感想
 次巻を読むために再読。天使様(ハニエル)で参加したコミケの話。お仕事業界から注目されたり,海夢のお父さんが新菜に服を作ってもらっていることで慌てたり。
読了日:12月12日 著者:福田晋一

私の百合はお仕事です!: 11【カラーイラスト特典付】 (百合姫コミックス)私の百合はお仕事です!: 11【カラーイラスト特典付】 (百合姫コミックス)感想
 13巻を読むために再読。
 純加と果乃子が付き合い始めたところ。寧々と純加の過去。今度は葉子に頼る果乃子。
読了日:12月12日 著者:未幡
私の百合はお仕事です!: 12【カラーイラスト特典付】 (百合姫コミックス)私の百合はお仕事です!: 12【カラーイラスト特典付】 (百合姫コミックス)感想
 13巻を読むために再読。
 ホテルの果乃子と葉子,そこへ駆けつける寧々と純加。
 果乃子が本当に悩んでいることな何か。薄々何かがあることに気づいて悩む陽芽。純加の家で落ち着いて話をしようとする純加と果乃子。純加と果乃子の決着がどこに向かうのかは未知数という感じ。
読了日:12月14日 著者:未幡

私の百合はお仕事です!: 13【カラーイラスト特典付】 (百合姫コミックス)私の百合はお仕事です!: 13【カラーイラスト特典付】 (百合姫コミックス)感想
 果乃子と陽芽の中学時代の告白事件の話。純加は黙って聞いて受け入れて,自分と寧々とのことも話す。そして分かれることを決意する。寧々から事情を聞いて果乃子を誠心誠意労ろうとする舞。あくまで自己中心的な果乃子。果乃子を心配し心を開かせる陽芽。次の巻あたりで果乃子と純加の件は決着がつきそうだ。陽芽はこんなにも自己中心的で頑なな果乃子なのに,やっぱり一緒にいたいらしい。不思議だが人間関係はそんなものなのかも。
読了日:12月14日 著者:未幡


読書メーター

読書日記ランキング

本の記録(2024-11)

 『1984』は何度も読んでいるが本文中の本?を読むのが大変で随分と時間がかかった。感想をまとめたいが,一筋縄で書けそうにないので書けずにいる。『学力の経済学』は以前から興味があって買ってあった本をようやく読んだ。こんなに研究されているのに実際の教育現場になかなか応用されないのはどうしてなの。いや色々柵みとかあるのはわかるのだけど,もどかしい。
 あとはKindle Unlimitedで仕入れた面白そうなコミックを色々読んでみた。どれもみんな面白かった。一々全部続きを買って読んでいられないのが(自分の持ち時間が有限なのが)本当に残念。

 『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?) 』はすっごく頭悪そうなタイトルで実際そうなのだが面白かった。アニメ化が決まったらしい。
 『エリオと電気人形』は興味深い世界観。この先どうなっていくのか気になる物語。
 『ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~』は知的モンスターの言語を研究し意思疎通を図るという非常にユニークかつ真面目な物語で,言語以外にも異文化との接触で起こり得る話が興味深い。これも続きが気になる。
 『星旅少年』は不思議な世界の宇宙規模の緩い終末モノで,正直言ってめっちゃ好みだった。
 『じしょへん』は漢和辞典の改定を担当することになった若い編集者を描くお仕事もの。漢和辞典とか漢字,そして辞書を作るというマイナーな世界に焦点を当てた類い希なコミックではないだろうか。一から十まで知らない世界のことなので,読むのにかなり時間がかかったが面白かったし勉強になった。おかげで自宅にある漢和辞典の挨拶だの凡例だのを一生懸命読み始める始末。そして保管場所がない故に捨ててしまった中学時代から愛用していた漢和辞典が夢にまで出てきて,ゴメンナサイ心の中で謝り続けている始末。
 『靴ずれ戦線 ペレストロイカ』は『大砲とスタンプ』以前に描かれた速水螺旋人氏の作品で,天晴れなほど趣味全開! そして著者はどこまでロシア文化に造詣が深いのかと不思議に思うレベルで内容が濃い。現在2巻を読んでいるが,内容が濃すぎて読むのに時間がかかっている。


11月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:1387
ナイス数:38

1984 (角川文庫)1984 (角川文庫)感想
『1984』は,ハヤカワ文庫の旧版『1984年』(新庄哲夫訳)と新版『一九八四年〔新訳版〕』(高橋和久訳)を読んでいるが,異なる訳で何度も読むことにしている。現代社会の変化や自分の変化により感じ取れることが変わる上に,内容はSFというより人間という存在を掘り下げた哲学書であり難解なので何度読んでも発見がある。この訳では「hate」が「憎悪」ではなく「ヘイト」になっており,時代の流れと社会の変化が感じられたし,訳者の後書きも興味深かった。
読了日:11月02日 著者:ジョージ・オーウェル,田内 志文

「学力」の経済学「学力」の経済学感想
「宿題をすること」と「テストでいい成績をとること」のどちらにご褒美を与える方が効果的かなどという身近な問題から始まり,エビデンスに基づく教育経済学の知見が活かされない日本の教育政策の現状などが分かりやすく解説されていた。「少人数学級」「子ども手当」など費用対効果が低いと実証されている政策が日本では根拠のない期待や思い込みで実施されており,テストの正答率の低さの原因を突き止めることをせずに指導法や教材をどのように改善すべきかを議論しているのが現状らしい。政策自体が「双極割引」に影響されていそうに思えた。
読了日:11月08日 著者:中室牧子

わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?) 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?) 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)感想
陰キャでコミュ障な主人公が高校に入り,リア充陽キャの量産型女子を目指す。そして,新入生代表のオーラでキラキラしている女性に「友達になって」と話しかけ,陽キャグループで学校生活を送ることに成功。ところが,その彼女から告白され,恋人ではなく親友を求めていた主人公は親友であることの良さをアピールしようと頑張るが? 変わった視点の百合作品で面白かった。
読了日:11月09日 著者:みかみてれん,むっしゅ,竹嶋えく

エリオと電気人形 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)エリオと電気人形 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)感想
AIと人間が戦争をした世界の戦後の物語。AIの戦士ソルディロイドだったアンジュと,彼女に育てられた人間の少女エリオ。エリオは電気を作れる特殊体質でアンジュの充電を担当。エリオは幼い頃からアンジュしか知らずに育ったため,他の人間や世界を知るために旅に出る。対照的なアンジュとエリオの言動は面白く世界観も興味深く読み進んだ。現在3巻まで発売されている。
読了日:11月10日 著者:島崎無印,黒イ森

ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~ (1) (角川コミックス・エース)ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~ (1) (角川コミックス・エース)感想
 魔界のモンスターの言語とコミュニケーションについて研究する若手研究者ハカバのフィールドワーク?を描くファンタジー漫画。タイトルの「ヘテロゲニア リンギスティコ」は「heterogeneous(異種・異質)」+「linguistics(言語学)」。ハカバは怪我した教授の代わりに魔界へ調査に赴き,教授の娘でもあるワーウルフと人間のハーフの少女ススキをガイドに研究を進める。言語の他に食物や文化など幅広い考察があり斬新。死者の肉を食べて弔う習慣は印象的だった。
読了日:11月14日 著者:瀬野 反人

星旅少年1 Planetarium ghost travel (パイコミックス)星旅少年1 Planetarium ghost travel (パイコミックス)感想
 体の中に毒が溜まった人は,発芽し「トビアスの木」になる。住民のほとんどが木になった星は「まどろみの星」と呼ばれ,プラネタリウム・ゴースト・トラベル社(PGT社)の 星旅人・登録ナンバー303は,これらの星を訪れその星の文化を記録し保存する。303はトビアスの木の毒に耐性を持ち,猛毒(P-TOT)である赤い木の実を食べても平気な体質。トビアスの木の実にはその木になった人間の記憶が宿っている。発芽した人の夢に出て来る303,年を取らないらしい303は何者なのだろう。不思議な空気が流れる物語。
読了日:11月14日 著者:坂月さかな

じしょへん (1) (BRIDGE COMICS)じしょへん (1) (BRIDGE COMICS)感想
 出版社で漢和辞典の編集部に配属された若手編集者の王子なつき(32歳)。漢和辞典を愛し希望の仕事に就いた彼だったが,大御所の先輩方に囲まれて苦労の連続。  漢和辞典の知らない話が多くて読んでいて勉強になる。漢和辞典が漢文という外国語の辞書だという観点を今まで持っていなかったので目から鱗だった。アルバイトの小鳥遊君が良い感じ。続きも面白そう。
読了日:11月16日 著者:久木 ゆづる

じしょへん (2) (BRIDGE COMICS)じしょへん (2) (BRIDGE COMICS)感想
親字表を担当する伝説の校正者,熊井田の家を訪れた王子は,日本最初の近代国語辞典『言海』までもを含む家中に溢れかえる辞書類に感動する。「辞書とは目的に応じて使い分けるもの そして買い替えるものではなく買い増すもの 捨てるものなどないのです」って,わかるけど一般には部屋の広さに限りがあってできないよね。漢字には旧字の他に「本字」「俗字」などの異体字があり漢和辞典に載りきらないほどの数があるという。「臭い」や「嗅ぐ」は犬が鼻を使う様子を表すということも知らなかった。色々と勉強になる。
読了日:11月19日 著者:久木 ゆづる

じしょへん (3) (BRIDGE COMICS)じしょへん (3) (BRIDGE COMICS)感想
 この巻も知らない事だらけで読むのに時間がかかった。漢字の音が伝わった時期により漢字が区別されその分類が漢和辞典に載っているなんて,気づいていなかったし知らなかったし興味も無かった。呉音・漢音・唐音なんて言葉も聞いたことがなかった。また辞書の最初の挨拶など気にも留めたことが無かったが,そこに辞書編者たちの全ての想いがこめられていそうだ。置く場所が無くて捨ててしまった全ての辞書に土下座したい気持ちにさせられて苦しかった。今持っている辞書は「挨拶」を読んで大切にしよう…。
読了日:11月23日 著者:久木 ゆづる

靴ずれ戦線 ペレストロイカ(1) (RYU COMICS)靴ずれ戦線 ペレストロイカ(1) (RYU COMICS)感想
 舞台は第二次世界大戦中の独ソ戦(大祖国戦争)。「歴史上もっとも大規模で凄惨な戦い」だったらしい。その戦場に駆り出された魔女ワーシェンカと彼女の上官であるNKVD将校のナージャが転戦する中で出会う残酷な話やロシア伝説の人外が絡む出来事が軽快に?描かれる。ワーシェンカは,実際にロシア民話の魔女バーバ・ヤガーの物語の登場人物らしく,物語に出て来るロシアの風習,2月29日の聖カシヤーンやマースレニツァ人形,禿山の一夜,森の番人レーシィ等々も新鮮。巻末の「各話解説」は必読だ。漫画の間に挟まれる「ツレヅレメカコラム螺子の囁き」が非常に詳細で読むのが大変!漫画よりこちらの方がメインではないかと思われる。
読了日:11月28日 著者:速水螺旋人

読書メーター

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