地平線近くに雲があり,日の出が見えない朝だった。
ようやく雲の隙間から陽光が射し,一応空の様子を確認。
すると,太陽から上下に光芒が伸びている!
「これはっ!サンピラー!」
…ということで,いきなり被写体ができて忙しい朝になってしまった。本当に今朝はいつもより前倒しでやらねばならないことがあって忙しい日だったのに!
大気光学現象が人間の都合をわきまえてくれる筈ないのである。
朝の家事をこなしながら,5分後に太陽を確認。
サンピラーが伸びて,更に雲の影が東京スカイツリーを横切って北東の空へと伸びている。なんというダイナミックな風景だろうか。
太陽と雲が移動するにつれて影の角度が変わっていく。
そして雲の上端から太陽が顔を出し,太陽柱は更に明るく上方へと伸びていく。
太陽柱(sun pillar)は,上空の風が弱く寒い日に見られる。大気中の氷の結晶が水平に並んだ時に見られる現象で,氷晶の上下の面で太陽光が反射し柱状に輝いているのだ。
体感的には幻日よりレアな現象のように思う。今までに見た回数はそれほど多くない。
日の出から1時間以上が経過し太陽がかなり高い位置まで昇っても,太陽の上下に光芒を見ることができた。
通常,太陽柱が見えるのは太陽高度が10°未満のときと言われている。こんな位置で見えているのも珍しいのではないだろうか。
何はともあれ,空から目が離せない忙しい朝だった。
けれど空の現象に心踊らせ過ごす時間は幸せだと思う。