カテゴリー: 東京散歩

　田端駅から駒込駅あたりは，山手線の中で最もマイナーなエリアではないだろうか。
　大型商業施設やオフィス群，著名な観光地もなく，用もなく降り立つような駅ではない。華々しくはない代わり，地元の人々の生活のための商店街に小さな個人商店が並ぶ風景に心安まる。そんな場所だ。

　道路横のフェンスの向こうには山手線と湘南新宿ラインの線路が並んでいる。
　フェンス沿いに少し歩けば山手線唯一の踏切だ。踏切のあたりでは，よく撮り鉄カメラマンが電車を待っている。

　鉄道フェンス沿いの坂道。
　たったそれだけの風景だが，とても東京らしい風景だと思う。

　JR山手線の駒込駅から田端駅方面へ向かってフェンス沿いに歩いてみた。この区間には山手線に残る唯一の踏切がある。
　その踏切を過ぎて線路沿いの坂道を上っていくと，ちょっと素敵なベンチ。バス停があるわけでもなし，本当に単にお散歩の途中で山手線を見ながら一休みする感じのベンチだ。

　ベンチを見かけると撮りたくなってしまう。

　線路脇のフェンス側からベンチを撮ろうとすると，上に小さな鳥居が見えた。

　神社と言うより祠と呼びたくなる小さなお稲荷さん。
　小さな祠だが，立派なお狐様に守られている。
　手入れも行き届いていて大切にされている感が伝わってくる。

　冬の季節風が吹きすさぶ空と，柔らかな日差し。
　祠を包む凜とした空気が心地よかった。