座り込む人たち

 ロンドンを訪れた最初の日。
 日没が遅い5月の長い昼間を利用して,朝から晩まで死ぬほど歩き回った。

 バッキンガム宮殿は午前中の元気なうちに訪れた場所で,兎にも角にも人だらけだった。門の前も,そしてこのヴィクトリア女王記念碑の周辺も。どちらを向いても人がうじゃうじゃで,とてもじゃないが良い感じの写真なんて撮れっこない。
 もちろんこの人たちはみんな観光客だろう。
 イギリス国内からの人が多いのか外国人が多いのか全くわからないが,何故か多くの人たちが燦々と照りつける陽光の下,記念碑の周辺に座り込んで寛いでいる。

 何故みんな座り込むの?
 不思議に思ったが,その後,トラファルガー広場へ行ってもセントポール大聖堂へ行っても,似たような光景を度々見かけることになった。
 観光地のモニュメント前に座り込んでただゆったり過ごしている彼ら。観光地を訪れたら最初から最後まで忙しなく動き回って写真を撮りまくろうとする私。

 別にどちらが良いとか悪いとかないけれど,ゆったり座って過ごすってことができそうにない私は,無い物ねだりで彼らの過ごし方が少し羨ましかった。

Queen Victoria Memorial(2008-05-22)
Queen Victoria Memorial(2008-05-22)

 BBCで放映されているエリザベス2世女王のプラチナ・ジュビリーを見ながら,バッキンガム宮殿へ行った日のことを思い出したのだった。

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 過去の旅行を写真で旅する いつかの遠い街 シリーズ。
 気合い入れて撮った写真。
歩きながら適当にシャッターを切った写真。
何だか忘れてしまった写真。
色々ある中からたまたま目に留まった1枚をピックアップ!
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車窓から街角の女性

 ペルー南部の街モケグア市内をバスで通り抜けていた。
 訪問の目的は皆既日食の観測だったので,撮影場所の下見やリハーサルなどを行わなければならない。こんなに遠くまで来たのに観光をする時間はほとんどなかった。

 なので,バスの中から街の様子を精一杯楽しんだ。
 ここは観光地ではないため,観光客向けの土産物屋などは一切無い。現地の人たちの生活の営みが淡々と流れている雰囲気が心地よい。

 だから,この女性達は別に観光客の目を引くためにこんな服装をしていたわけではないのだと思う。こういったカラフルな民族衣装を纏った女性の姿は,あちらこちらの街角で普通に見かけた。

  ISO100のフィルムにオートフォーカスでもないカメラ。
 走り去るバスの中からはこんなボケボケ写真が精一杯だった。

 けれど,こんな写真でも撮っておいて本当に良かったと思う。この写真が記憶の補完を手伝ってくれるから,この時の風景を細かく思い出せるのだ。
 彼女らの前には白いテントが2つか3つ。その下には靴や衣服などをワゴンに入れて並べただけの簡易な店が並んでいた。買い物客の女性が数人。どちらかというとお店の人の方が多かった。
 男の子を連れた彼女たちは買い物に訪れたところだったのだろうか?

モケグア@ペルー(1994-11-02)
モケグア@ペルー(1994-11-02)

 この日から30年近くの年月が流れた。
 きっと現地の様子もすっかり変わっていることだろう。

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 過去の旅行を写真で旅する いつかの遠い街 シリーズ。
 気合い入れて撮った写真。
歩きながら適当にシャッターを切った写真。
何だか忘れてしまった写真。
色々ある中からたまたま目に留まった1枚をピックアップ!
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