煤けた古い時代の構造物の中に,目が覚めるような黄色と赤の看板が映える。
YouTube公式チャンネルの案内に,フランチャイズ募集のQRコード。看板の内容もすっかりネットが普通になった令和の世界だ。
この新旧の時代が入り乱れた混沌は,まるで人間社会の縮図っぽくて素敵だと思う。煤けた壁は,時代の変遷をずっと定点観測し今日もここに建っているのだ。


壁が見てきた時の流れに想いを馳せながら,信号が青に変わるまでのしばし,張り出した鉄骨やボルトのサビや壁の汚れなどに見とれて天井を見上げていた。

ささやかな今日を。
ガード下という場所は漏れなくエモい。
ここ新橋の高架下は賑やかだ。飲食店が入り人通りも車通りも多い。無骨な鉄骨の下にとても人間くさい施設がひしめいている状態がギャップ萌えだ。
見上げると,工事の足場が組まれていたり,パイプが通っていたりと業務用無機質空間のようでいながら,通気口の網やその周辺の煤けた汚れ具合などに人間の営みと共に流れた時間の痕跡が刻まれて叙情的だ。
そして,こことは真逆のガード下,郊外の人通りも車通りもなく商業施設とも無縁なガード下であれば,また異なった独特の風情がある。
とかくガード下という場所はエモいと思う。