『ティアムーン帝国物語』の在庫が終わったので,気になるコミックを読んだり,樋口一葉記念館や森鴎外記念館に行ったので樋口一葉や森鴎外を読んだり。コミックは,Netflixアニメの『PLUTO』を見て手塚治虫を読んでみようかと思い少しばかり読んでみた。
ティアムーンの続きはもう読まなくていいかな。『ダンジョンの中のひと』はとても面白い。そろそろ夏目漱石や源氏物語に戻りたいが,読みたいものが増殖してなかなか。
12月の読書メーター
読んだ本の数:22
読んだページ数:3533
ナイス数:65
ティアムーン帝国物語7~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~【電子書籍限定書き下ろしSS付き】の感想
「第三部 月と星々の新たなる盟約III」聖夜祭が終わり,ミーアは帝国に帰って今度は誕生祭。シオンとアベル,ラフィーナもやってくる。エメラルダのお茶会が実現し,そこで4つの大侯爵家の令息令嬢とミーナが集いラフィーナのもとで新たな盟約が結ばれる。誕生祭の紫の服により女帝への波が発生? 「第四部 その月の導く明日へ I」いよいよ飢饉が始まる。ミラナダ王国出身の大商人シャロークとクロエの父との抗争。収穫祭のペルージャン農業国でのユハル国王との交渉。シャロークの奨学金で医師を目指す少女タチアナ。
読了日:12月03日 著者:餅月望
ティアムーン帝国物語8~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~【電子書籍限定書き下ろしSS付き】の感想
「第四部 その月の導く明日へ II」ペルージャンから帰って確認すると,今度はシオンに命の危機が。エメラルダの婚約騒ぎに乗じてサンクランドへ向かい事態会編のために頑張るミーア。リーナは都合よく動きすぎかつ優秀すぎる。特典SSはミーア学園で料理の研究を始める話。
読了日:12月06日 著者:餅月望
ティアムーン帝国物語9~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~【電子書籍限定書き下ろしSS付き】の感想
『第四部 その月の導く明日へ III』サンクランドにてシオン暗殺の阻止とエシャール王子の救出。シオンの失恋とティオーナ。ルドルフォン辺境伯のこと。レムノ王国とヴェールガ公国の間の山麓の廃城にて蛇の巫女。途中で挟まれる未来や別の世界線の未来の物語には人生の様々な可能性を考えさせられてしまう。 『第四部 その月の導く明日へ IV』騎馬王国の物語へ続く。
読了日:12月08日 著者:餅月望
ティアムーン帝国物語10~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~【電子書籍限定書き下ろしSS付き】の感想
『第四部 その月の導く明日へ IV』極上バターとミルクのためにラフィーナに乗馬を教えつつ騎馬王国への旅が始まる。火慧馬をはじめ,騎馬王国の新しい人物が次々と登場。騎馬王国の十三部族の会議やアベルの姉ヴァレンティナ・レムノのその後の物語など。
断頭台の露となったミーアは勿論,ルードヴィッヒもアンヌもシオンもティオーナもエメラルダもルビィも誰も幸せでなかった世界の記憶を上書きし,みんなで幸せになれる世界はないものかと考えたファンタジー。それがこの物語の本質ではないか。だからお馬鹿であっても切ない。
読了日:12月11日 著者:餅月望
火の鳥 1の感想
黎明編。
クマソの火の山の壺に住む伝説の死なない鳥,火の鳥。クマソに住む姉弟ヒナクとナギ。ヤマタイ国のスパイ,グズリ。クマソを攻める防人の猿田彦。怪しい術を使うヒミコ,その弟の執政官スサノオ。ヒミコに雇われた他国の鉄の矢を使う由望の名手,弓彦。火の鳥を欲する理由は人それぞれだ。
彼らが集う今,火の山が噴火する。
読了日:12月12日 著者:手塚治虫
火の鳥 2の感想
黎明期。
噴火で閉じ込められたグズリとヒナクは火の鳥の巣を見る。猿田彦とナギはマツロの国へ向かうが,馬を乗りこなす高天原のニニギに見つかって奴隷にされ,猿田彦はウズメと結婚させられる。千穂にくだったニニギノミコトは大陸からやってきた遊牧民族の首領だったのではないかという説に基づいている。ヒミコは死に,ヤマタイ国は高天原に攻められる。猿田彦とナギはヤマタイ国でニニギを迎え撃ち倒れ,猿田彦の子を宿したウズメは一人旅立っていく。火の鳥が帰ったグズリとヒナクが暮らす穴の底では,ヒナクの息子が崖を登って世界へ旅立つ。
読了日:12月12日 著者:手塚治虫
火の鳥 3の感想
未来編。
西暦3404年の地球。人類は地下都市ユーオーク,ピンキング,レングート,ルマルエーズ,ヤマトで電子頭脳に従って暮らす。シリウス12番星の不定形生物ムーピーのタマミを愛するヤマトのマサトはタマミを殺すよう命令を受け地上へ逃亡。地上ドームで暮らす猿田博士に助けられる。やがて5都市は戦争で滅亡。地球の分身と名乗る火の鳥に宇宙生命体に変換されたマサトだけが生き延びる。マサトは遠い未来まで地球を観測し続け,最後は火の鳥と一体化しタマミと再会。荒唐無稽な話だが宇宙生命体という概念には納得させられるものがある。
読了日:12月14日 著者:手塚治虫
火の鳥 4の感想
ヤマト編
ヤマトの国と火の国クマソをまたぐ物語。石舞台古墳と埴輪の始まりのこと。
宇宙編 2577年のベテルギウス付近を飛ぶ宇宙船から個人用ボートで脱出した乗組員達。流れ着いたのは宇宙の果てにある流刑星。メタモルフォーゼされた宇宙人たちが嵐の中で永遠に生きる星だった。
読了日:12月16日 著者:手塚治虫
火の鳥 5の感想
鳳凰編
舞台は奈良時代。誕生直後に片目と片腕を失って,人を殺め強奪を繰り返し生きる我王と,我王に片腕を傷つけられた仏像職人の茜丸の物語。我王は茜丸の妹を名乗る速魚という女性を連れ歩き愛するが疑いの心で殺害。彼女の正体を知って自棄になり,その後仏像を彫るようになる。茜丸は鳳凰の像を期限付きで彫るよう命令され火の鳥を探しに旅に出る。輪廻転生の物語。
読了日:12月16日 著者:手塚治虫
鳥人大系 1の感想
まず1章ごとのタイトルが意味不明かつ不穏。そして内容は大人向け。あっけらかんと過ごす登場人物達だが運命は過酷で残酷だ。
ある日,小さな小鳥が人間の家に火を付けた。それを皮切りに鳥達の人間への叛乱が始まった。縦横無尽に空を制する鳥達に対して人間は無力。やがて知能を持った鳥達が世界を支配し人間は鳥の家畜に身を落とす。だが鳥達の世界もまた決して平和とは言えないものだった。ポロロ伝が誕生し鳥の世界はどうなっていくのか。
読了日:12月18日 著者:手塚治虫
鳥人大系 2の感想
2巻の『鳥人体系』は短編集。
『カモメのジョンガラサン』は『かもめのジョナサン』のパロディだが『徒然草』や『老人と海』などの要素も感じられた。ジョナサンは1970年,『鳥人体系』は1971〜1975年。最新の話題を取り入れて描いていたようだ。青い鳥ならぬ『ブルー・ヒューマン』とか差別の中で純愛を貫く『ラップとウィルだのバラード』など風刺を効かせた物語ばかり。最後は鳥に代わってゴキブリ?
『よろめき動物記』(1964〜1965)は動物をもじった風刺漫画。東京オリンピックやベトナム戦争など当時の時事ネタが多い。
読了日:12月20日 著者:手塚治虫
ダンジョンの中のひと : 1 (webアクションコミックス)の感想
かなり面白かった。
ダンジョン探索者だったシーフの少女クレイは,ダンジョン深部第9層を単独で探索していたが,壁が崩れ,そこから現れた少女に勧誘される。彼女はダンジョンの管理人ベイルヘイラ・ラングダス。思いも寄らないダンジョンの真相を次々と知っていくクレイ。確かにこの真相は知りたくないな…。
読了日:12月21日 著者:双見酔
たけくらべの感想
高校時代以来の再挑戦だが,楽しむこと不可能なわからなさ。字面を追うだけで精一杯。たかが100年前なのに明治初期の社会への馴染み無さときたら平安時代と変わらないではないかと思った。文語体も旧仮名遣いも難しく,いっそ英訳で読んだ方が分かるのかもしれない。酉の市に合わせて物語が進んでゆき,酉の市のような江戸行事の知識も必要で地方在住者にはこれもハードルになっていると思う。日暮里に火葬場があることも知らなかった。文章が美しいことはわかったので,青空文庫ではなく注釈とふりがながついた本で再読してみたい。
読了日:12月23日 著者:樋口 一葉
山椒大夫の感想
童話『安寿と厨子王』にもなった説話「さんせう太夫」をもとにした小説。平安朝の末期,丹後国の由良海岸で人さらいに誘拐された母と姉弟と乳母。紆余屈折の末に丹後の国守となった厨子王の運命を描く。人生に訪れる不条理や因果応報について考えさせられる作品。森鴎外晩年の作品である本作は,雅文体で書かれた『舞姫』と異なって口語体で読みやすい。
読了日:12月24日 著者:森 鴎外
The Velveteen Rabbitの感想
クリスマスに男の子にプレゼントされた兎のぬいぐるみ。兎は同じおもちゃ箱にいた馬から,愛された玩具は本物になれるという話を聞いて本物になることにずっと憧れていた。男の子に溺愛された兎は,自分がボロボロになったことにも気がつかず幸せだった。けれど男の子が猩紅熱になった時,消毒のために焼却処分されることに。寂しく孤独な気持ちでいた兎だったが玩具の妖精からのプレゼントが待っていた。出会いは楽しく別れは寂しいが,別れの先に確かな何かを永遠に残すことは可能で,それこそが出会いで一番大切なことではと思わされる。
読了日:12月25日 著者:Margery Williams
山椒大夫の感想
仏教用語など調べながら再読した。改めて読むと冒頭の部分から安寿の勝ち気な性格が見て取れる。乳母の姥竹の不安を母が汲み取ることができていたら。生き延びたのが安寿であったら国司にもなれず母との再会も果たせなかったのかもしれない。弟に全てを託した安寿の賢しさと潔さには圧倒される。原話の『さんせう太夫』では出世した厨子王は山椒太夫父子に復讐するが,この物語では彼らも良い暮らしを続ける。残酷な場面を斬り捨てても人間の残酷さと愛を貫く強い心を表現することは可能なのだと思わされた。盲目になった母の歌は心に染み入る。
読了日:12月26日 著者:森 鴎外
阿部一族の感想
江戸時代初期に肥後藩の重職にあった阿部一族が上意討ちにより全滅した事件を元に創作された小説とのことで,史実とは色々と異なっていることを念頭に読んだ。肥後藩主細川忠利が亡くなった際の殉死をめぐる阿部弥一右衛門とその一族の悲劇を描く,明治天皇崩御の際の乃木希典陸軍大将の殉死を巡って論争が盛んだった時代に書かれた小説。いつの世も人の本質というのは変わらない,現代社会で殉死の習慣はなくなったが,このように社会が強制することをしなかったりできなかったりすることへの世間からの成敗は形を変えて存在し続けていると思う。
読了日:12月27日 著者:森 鴎外
歴史其儘と歴史離れの感想
自分の作品についての随筆。歴史をそのまま書けば小説ではないなどという批判があったようだ。「わたくしは歴史の「自然」を変更することを嫌つて、知らず識らず歴史に縛られた。わたくしは此縛の下に喘ぎ苦んだ。そしてこれを脱せようと思つた。」と書かれており,歴史に縛られることから解放された経緯が書かれている。そうして『あんじゆとつし王』とは異なった物語『山椒大夫』が生まれたとのことだ。
読了日:12月27日 著者:森 鴎外
高瀬舟縁起の感想
森鴎外が『高瀬舟』を書いた理由を記した随筆。
高瀬舟は江戸時代の随筆集『翁草』から題材を得て書かれている。鴎外はこの話に二つの問題を見出した。一つは財産について。もう一つは安楽死について。罪人として高瀬舟に乗った男が二百文を喜んだことをおもしろいと思い,また死にかかっていて死なれずに苦しんでいる人を死なせてやるということの是非が問われているところをおもしろいと考え。『高瀬舟』を書いたとのことだ。元来「たかせ」は舟の名なので,その舟の通う川を高瀬川と呼び,同名の川は諸国にあるとのことだ。
読了日:12月27日 著者:森 鴎外
ダンジョンの中のひと : 1 (webアクションコミックス)の感想
続きを読もうと思って再読。
再読すると改めて中身の理解が深まる。それに面白いものは何度読んでも面白い。この物語は登場人物がみんな個性的だし世界観も変わっているし,読んだのは数日前のことだが,数日ぶりでも忘れていることを思い出せて良かった。
読了日:12月27日 著者:双見酔
ダンジョンの中のひと : 2 (webアクションコミックス)の感想
少しずつダンジョンの現実が明らかになっていくところが良い。武器を作ったり,モンスターの面接をしたり。魔法を操るベルちゃんがいるこの世界はモンスター達にとって「魔界」であるというのは新しい発想ではないか? ダンジョンが存在する国の国王とダンジョンの管理人が戦って契約を更新するという発想も新しい。何が起こっても淡々としているクレイが好ましい。
読了日:12月30日 著者:双見酔
ダンジョンの中のひと : 3 (webアクションコミックス)の感想
国王との戦いやゴブリンの栽培,ダンジョンの治安維持のための粛清,ダンジョンコアの取り替えなどなど,相変わらず発想が色々と新しくて面白い。処刑人の仕事をするためのベルの服が可愛い…。あとクレイとお揃いを喜んでいるところも…。そこはかとなく恐ろしいベルと淡々と真面目なクレイ。今後も楽しみだ。
読了日:12月31日 著者:双見酔
読書メーター