『与謝野晶子の源氏物語』に始まって終わる月だった。7月31日の就寝直前に読み終わった。このまま『あさきゆめみし』の宇治十帖を読み直そうと思う。
7月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:972
ナイス数:6
与謝野晶子の源氏物語 上 光源氏の栄華 (角川ソフィア文庫)
源氏物語を現代語訳で通読したいと思い本書を読むことにした。
まず序文で上田敏と森林太郎(鴎外)が源氏物語の現代語訳を書くに相応しい人物として与謝野晶子ほどの適任はいないと断じ,大成功の翻訳であると評している。古典に通じている明治時代の大文学者たる彼等がこう書くのだから,間違いない現代語訳と思われた(その上田敏の序文の文体が非常に流麗であることにも感動)。
瑠璃様(玉鬘の君)の裳着が終わる29帖,行幸(みゆき)までがこの巻に収められており,古典の雰囲気を損なわず,しかも大変分かりやすい現代語訳であった。
読了日:07月08日 著者:与謝野 晶子
与謝野晶子の源氏物語 中 六条院の四季 (角川ソフィア文庫)
30帖の藤袴(ふじばかま/源氏37歳秋)〜47帖の総角(あげまき/薫24歳秋冬)まで。
明石の姫君が春宮のもとへ入内し一宮を出産,源氏の君は栄華を極めるが,ほどなく紫の上が病に倒れて陰りが差す。けっこう淡々と物事が進んでゆくが短い言葉の中に登場人物の悲哀が溢れていたりする。『源氏物語』は時代も背景も現代人の心から遠すぎるので,色々な作品でこの物語に触れていって,ようやく少しずつ各々の人物への理解が深まる気がする。
本巻では,秋好中宮の母の死霊が人を苦しめていることに心を痛めている場面が印象的だった。
読了日:07月21日 著者:与謝野 晶子
与謝野晶子の源氏物語 下 宇治の姫君たち (角川ソフィア文庫)
第48帖の早蕨(さわらび)から宇治十帖の最終帖,第54帖の夢浮橋(ゆめのうきはし)まで。
匂宮にはまじストレスがたまる。源氏の君以上の鬼畜がいたとは。紫の上を慕っていた子供の頃は可愛かったのに。薰にも多少思うことはあるものの,匂宮の百倍くらい好感が持てる。イライラするといえば,あげまきの君も浮舟の君もイライラ。宇治十帖で一番好感が持てるのは薰の君かも。
『あさきゆめみし』ではそれなりに最後は終わりっぽく描かれていたが,実際は物語は実に中途半端に幕を閉じる。紫式部はここで亡くなったのか? それとも何か理由があってわざと? 『源氏物語』の歴代の注釈者がどのような解釈を書いたのかを知りたい気がする。
与謝野晶子訳は大変すばらしかったが,より理解を深めるために是非他の人の訳でも通読してみたいとも思う。
読了日:07月31日 著者:与謝野 晶子
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