江戸東京たてもの園の東ゾーン,下町中通りの奥の大きな敷地に構える万徳旅館。
青梅街道沿い,青梅市西分町にあった旅館だ。
建てられた時期は江戸時代末期から明治時代初期で,建物内部は営業していた1950年(昭和25年)年頃の様子が再現されているとのこと。1993年(平成5年)まで営業していたそうだ。

玄関を入ったところの土間に自転車が置かれていた。
昭和時代にはこんな自転車をよく見かけた。丸い照明が一つ付いているのも懐かしい。


玄関の土間の横には厨房があって,上品な食器や古い竈が並んでいた。
明治時代に建てられた祖母の家には,こんな竈が残っていたものだ。



すっきりとした客間。
テーブルの上にお盆に乗った急須と湯呑みが置かれているスタイルは,今でも旅館の典型的な風景ではないだろうか。




掛け軸が懸かった床の間に神棚。
この静かな雰囲気に安心する。

説明書きによると,2階部分の増築は明治中期。
客室を増やしたのだそうだ。

裏口の硝子が美しい。
昭和の時代まではこのような磨り硝子をよく見かけたものだった。

落ち着いた佇まいの板塀と板壁。
昭和の半ばくらいまではこんな板塀も残っていたが,どんどんブロック塀の変わっていった。素材を活かした道具には温かさが溢れていると思う。

