『植物たちの戦争』と『AI 2041』は難しい内容を含むためそれなりに時間をかけて読まねばならない本だったため,読み進めている『枕草子(下)』は1月も読み終わることができなかった。4月から異なる分野の本を読み進めたいので2月中には読み終わりたい。
枕草子は北村季吟の『枕草子春曙抄』に沿って読んでいるが,全十二巻の最終巻に入ったところ。終わりが見えてきた。
1月の読書メーター
読んだ本の数:4
読んだページ数:1058
ナイス数:17
植物たちの戦争 病原体との5億年サバイバルレース (ブルーバックス)の感想
高校生や専門課程に入る前の大学生を主な読者対象として書かれた本。章によって執筆者が異なり,難易度も異なり,すらすらと読める章がある一方,植物病理学の話は専門用語が多く難しい章も多かった。かつて大学で同分野を専攻していたはずだが,40年も経つとそれらの知識はほぼ役に立たず,それだけこの分野の研究が大きく進んだことを実感することになった。
植物の歴史は植物と微生物との寄生と共生の歴史であるとともに,生命とは何であるかの探求でもあるように思えた。異なる種間,真菌と植物,ヒトと微生物などの間での遺伝子水平伝播が自然界ではかなり頻繁に行われ,進化に重要な役割を担っているなどと,数十年前(私の学生時代)には知られていなかったことだ。
特定の病原菌の病気を引き起こす能力だけを無力化する農薬の話や,害虫を撃退するエンドファイトに感染させた牧草が牧畜の役に立っていること,てんぐ巣病の病原体であるファイトプラズマによって本来は樹高の高い樹木であるポインセチアがクリスマスの園芸用に仕立てられていることなど興味深い。
読了日:01月06日 著者:日本植物病理学会
1週間で勝手に血圧が下がっていく体になるすごい方法の感想
高血圧に悩む人が多いだけに世の中に情報は満ちあふれているが,降圧剤を使わず下げる方法といえば「減塩」「痩せれば下がる」「有酸素運動すれば下がる」に集約される。
しかし,どうやらこれらでは加齢による高血圧は解決できないと,私の中では既に結論が出ていた。私は寧ろ太らねばならないほど痩せ過ぎなので「痩せれば下がる」は関係ない。超絶減塩生活をした結果,おそらく自分は塩分非感受性ではないかと思えた。有酸素運動は毎日きっちりやっているので,私は血圧が上がるほど運動不足とは言えないはず。おそらく私は良質なタンパク質を摂って丈夫で柔軟性のある血管を育てることが必要で,その上で運動やストレッチをすべきではという結論に達していた。
まさにその通りのことが書かれていたし,そうするための手法が具体的に書かれた本で,非常に参考になったし納得のできる内容だった。この本に書かれていたストレッチを取り入れ,悩みだった拡張期血圧が85以下になってくれた。
読了日:01月08日 著者:加藤雅俊
AI 2041 人工知能が変える20年後の未来の感想
10個の2041年を舞台としたストーリーと,そのストーリーに付随する技術的解説がセットになったAI技術に関する啓蒙書。10個のストーリーは世界の様々な国を舞台とする。
未来1「恋占い」インド,未来2「仮面の神」ナイジェリア,未来3「金雀と銀雀」韓国,未来4「コンタクトレス・ラブ」中国,未来5「アイドル召喚!」日本,未来6「ゴーストドライバー」スリランカ,未来7「人類殺戮計画」ヨーロッパ,未来8「大転職時代」アメリカ,未来9「幸福島」カタール,未来10「豊饒の夢」オーストラリア。
未来1では深層学習やAIがもたらす予期せぬ悪影響など,未来2では畳み込みニューラルネットワークや敵対的生成ネットワーク(GAN)など,未来3では自己教師あり学習やAI教育,汎用人工知能など,未来4ではAI医療やロボット医療,未来5では仮想現実(VR)・拡張現実(AR)・複合現実(MR)やブレイン・コンピューター・インターフェイス(BCI),未来6では完全自動運転とスマート都市,未来7では量子コンピューターやビットコインの安全性と自律兵器,未来8ではAIに置き換えられる仕事やベーシックインカム(BI),未来9ではフェデレーテッドラーニングや,信頼実行環境(TEE)を使ったプライバシー,未来10では新しい経済モデルやシンギュラリティについて解説される。
単に10個のストーリーをSF小説として楽しむこともできるが,何人もの科学者によるアイディアや学問的裏付けがあり専門用語も多数でてくるため,決して平易ではない。
解説も専門的で,門外漢の私の理解は非常に中途半端に終わってしまったが,明快で読みやすい文章なので,この分野に馴染みがある人にはもっとわかりやすいであろう。
どちらにしても,多方面への教養が試される本であった。ただ,例え門外漢で難しく感じたとしても,一読すれば多少なりともAIが一般化していく未来に見識が持てるようになるだろうと思う。
読了日:01月25日 著者:カイフー・リー(李 開復),チェン・チウファン(陳 楸帆)
金を使うならカラダに使え。 老化のリスクを圧倒的に下げる知識・習慣・考え方 (幻冬舎単行本)の感想
堀江氏は予防医療普及協会を立ち上げ,医師や研究者へインタビューをし情報を発信している。また自らアンチエイジングのための最先端の予防治療を行い本書を書いている。日本の医療が「病気になった人を治療する」ばかりで予防は健康診断のみというスタンスであることに疑問を感じていたので,本書は非常に納得出来るものだった。肺病のワクチンがあることや摩耗した犬歯はレジン治療で復活できること,誤嚥性肺炎を予防する筋トレ方法など貴重な情報もあった。ただそんな治療をしてくれる病院をどうやって探せば良いのか,それが一番の問題だ。日本の大半の病院は健康な人が健康を保つために行く場所ではない。今後の堀江氏の活動に期待したい。
読了日:01月30日 著者:堀江貴文,予防医療普及協会
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