『1984』は何度も読んでいるが本文中の本?を読むのが大変で随分と時間がかかった。感想をまとめたいが,一筋縄で書けそうにないので書けずにいる。『学力の経済学』は以前から興味があって買ってあった本をようやく読んだ。こんなに研究されているのに実際の教育現場になかなか応用されないのはどうしてなの。いや色々柵みとかあるのはわかるのだけど,もどかしい。
あとはKindle Unlimitedで仕入れた面白そうなコミックを色々読んでみた。どれもみんな面白かった。一々全部続きを買って読んでいられないのが(自分の持ち時間が有限なのが)本当に残念。
『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?) 』はすっごく頭悪そうなタイトルで実際そうなのだが面白かった。アニメ化が決まったらしい。
『エリオと電気人形』は興味深い世界観。この先どうなっていくのか気になる物語。
『ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~』は知的モンスターの言語を研究し意思疎通を図るという非常にユニークかつ真面目な物語で,言語以外にも異文化との接触で起こり得る話が興味深い。これも続きが気になる。
『星旅少年』は不思議な世界の宇宙規模の緩い終末モノで,正直言ってめっちゃ好みだった。
『じしょへん』は漢和辞典の改定を担当することになった若い編集者を描くお仕事もの。漢和辞典とか漢字,そして辞書を作るというマイナーな世界に焦点を当てた類い希なコミックではないだろうか。一から十まで知らない世界のことなので,読むのにかなり時間がかかったが面白かったし勉強になった。おかげで自宅にある漢和辞典の挨拶だの凡例だのを一生懸命読み始める始末。そして保管場所がない故に捨ててしまった中学時代から愛用していた漢和辞典が夢にまで出てきて,ゴメンナサイ心の中で謝り続けている始末。
『靴ずれ戦線 ペレストロイカ』は『大砲とスタンプ』以前に描かれた速水螺旋人氏の作品で,天晴れなほど趣味全開! そして著者はどこまでロシア文化に造詣が深いのかと不思議に思うレベルで内容が濃い。現在2巻を読んでいるが,内容が濃すぎて読むのに時間がかかっている。
11月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:1387
ナイス数:38
1984 (角川文庫)の感想
『1984』は,ハヤカワ文庫の旧版『1984年』(新庄哲夫訳)と新版『一九八四年〔新訳版〕』(高橋和久訳)を読んでいるが,異なる訳で何度も読むことにしている。現代社会の変化や自分の変化により感じ取れることが変わる上に,内容はSFというより人間という存在を掘り下げた哲学書であり難解なので何度読んでも発見がある。この訳では「hate」が「憎悪」ではなく「ヘイト」になっており,時代の流れと社会の変化が感じられたし,訳者の後書きも興味深かった。
読了日:11月02日 著者:ジョージ・オーウェル,田内 志文
「学力」の経済学の感想
「宿題をすること」と「テストでいい成績をとること」のどちらにご褒美を与える方が効果的かなどという身近な問題から始まり,エビデンスに基づく教育経済学の知見が活かされない日本の教育政策の現状などが分かりやすく解説されていた。「少人数学級」「子ども手当」など費用対効果が低いと実証されている政策が日本では根拠のない期待や思い込みで実施されており,テストの正答率の低さの原因を突き止めることをせずに指導法や教材をどのように改善すべきかを議論しているのが現状らしい。政策自体が「双極割引」に影響されていそうに思えた。
読了日:11月08日 著者:中室牧子
わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?) 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)の感想
陰キャでコミュ障な主人公が高校に入り,リア充陽キャの量産型女子を目指す。そして,新入生代表のオーラでキラキラしている女性に「友達になって」と話しかけ,陽キャグループで学校生活を送ることに成功。ところが,その彼女から告白され,恋人ではなく親友を求めていた主人公は親友であることの良さをアピールしようと頑張るが? 変わった視点の百合作品で面白かった。
読了日:11月09日 著者:みかみてれん,むっしゅ,竹嶋えく
エリオと電気人形 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)の感想
AIと人間が戦争をした世界の戦後の物語。AIの戦士ソルディロイドだったアンジュと,彼女に育てられた人間の少女エリオ。エリオは電気を作れる特殊体質でアンジュの充電を担当。エリオは幼い頃からアンジュしか知らずに育ったため,他の人間や世界を知るために旅に出る。対照的なアンジュとエリオの言動は面白く世界観も興味深く読み進んだ。現在3巻まで発売されている。
読了日:11月10日 著者:島崎無印,黒イ森
ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~ (1) (角川コミックス・エース)の感想
魔界のモンスターの言語とコミュニケーションについて研究する若手研究者ハカバのフィールドワーク?を描くファンタジー漫画。タイトルの「ヘテロゲニア リンギスティコ」は「heterogeneous(異種・異質)」+「linguistics(言語学)」。ハカバは怪我した教授の代わりに魔界へ調査に赴き,教授の娘でもあるワーウルフと人間のハーフの少女ススキをガイドに研究を進める。言語の他に食物や文化など幅広い考察があり斬新。死者の肉を食べて弔う習慣は印象的だった。
読了日:11月14日 著者:瀬野 反人
星旅少年1 Planetarium ghost travel (パイコミックス)の感想
体の中に毒が溜まった人は,発芽し「トビアスの木」になる。住民のほとんどが木になった星は「まどろみの星」と呼ばれ,プラネタリウム・ゴースト・トラベル社(PGT社)の 星旅人・登録ナンバー303は,これらの星を訪れその星の文化を記録し保存する。303はトビアスの木の毒に耐性を持ち,猛毒(P-TOT)である赤い木の実を食べても平気な体質。トビアスの木の実にはその木になった人間の記憶が宿っている。発芽した人の夢に出て来る303,年を取らないらしい303は何者なのだろう。不思議な空気が流れる物語。
読了日:11月14日 著者:坂月さかな
じしょへん (1) (BRIDGE COMICS)の感想
出版社で漢和辞典の編集部に配属された若手編集者の王子なつき(32歳)。漢和辞典を愛し希望の仕事に就いた彼だったが,大御所の先輩方に囲まれて苦労の連続。 漢和辞典の知らない話が多くて読んでいて勉強になる。漢和辞典が漢文という外国語の辞書だという観点を今まで持っていなかったので目から鱗だった。アルバイトの小鳥遊君が良い感じ。続きも面白そう。
読了日:11月16日 著者:久木 ゆづる
じしょへん (2) (BRIDGE COMICS)の感想
親字表を担当する伝説の校正者,熊井田の家を訪れた王子は,日本最初の近代国語辞典『言海』までもを含む家中に溢れかえる辞書類に感動する。「辞書とは目的に応じて使い分けるもの そして買い替えるものではなく買い増すもの 捨てるものなどないのです」って,わかるけど一般には部屋の広さに限りがあってできないよね。漢字には旧字の他に「本字」「俗字」などの異体字があり漢和辞典に載りきらないほどの数があるという。「臭い」や「嗅ぐ」は犬が鼻を使う様子を表すということも知らなかった。色々と勉強になる。
読了日:11月19日 著者:久木 ゆづる
じしょへん (3) (BRIDGE COMICS)の感想
この巻も知らない事だらけで読むのに時間がかかった。漢字の音が伝わった時期により漢字が区別されその分類が漢和辞典に載っているなんて,気づいていなかったし知らなかったし興味も無かった。呉音・漢音・唐音なんて言葉も聞いたことがなかった。また辞書の最初の挨拶など気にも留めたことが無かったが,そこに辞書編者たちの全ての想いがこめられていそうだ。置く場所が無くて捨ててしまった全ての辞書に土下座したい気持ちにさせられて苦しかった。今持っている辞書は「挨拶」を読んで大切にしよう…。
読了日:11月23日 著者:久木 ゆづる
靴ずれ戦線 ペレストロイカ(1) (RYU COMICS)の感想
舞台は第二次世界大戦中の独ソ戦(大祖国戦争)。「歴史上もっとも大規模で凄惨な戦い」だったらしい。その戦場に駆り出された魔女ワーシェンカと彼女の上官であるNKVD将校のナージャが転戦する中で出会う残酷な話やロシア伝説の人外が絡む出来事が軽快に?描かれる。ワーシェンカは,実際にロシア民話の魔女バーバ・ヤガーの物語の登場人物らしく,物語に出て来るロシアの風習,2月29日の聖カシヤーンやマースレニツァ人形,禿山の一夜,森の番人レーシィ等々も新鮮。巻末の「各話解説」は必読だ。漫画の間に挟まれる「ツレヅレメカコラム螺子の囁き」が非常に詳細で読むのが大変!漫画よりこちらの方がメインではないかと思われる。
読了日:11月28日 著者:速水螺旋人
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