神社ではなく寺,狛犬ではなく狛象。
「狛犬」の本来の意味は「高麗犬」。高麗から伝来した獅子に似た獣のことだ。なので,犬でも獅子でもない時点で「狛」をつけて呼ぶことが正しいのかどうか怪しんでしまう。
しかし既に「高麗の」という意味などどうでも良さそうな現代では,高麗とは無関係そうな神社の守護獣のことをみんな「狛猫」とか「狛猿」とか普通に呼んでいて違和感もないし,拘らなくても良いのだろう。お稲荷さんの前に鎮座する2対の狐像のことも「狛狐」と呼ぶようだし。
ここ瑞泰寺(ずいたいじ)は,東京メトロ南北線本駒込駅のすぐ近く。
よく前を通るが,けっこう可愛らしい造形の象なので,狛象さんたちは大変気になる存在だ。前を通る度に撮ってしまう。
阿吽なのかどうかイマイチわからないが,向かって右側は牙が生えているのでオス。左側は牙が見当たらないのでメスだろう。
アジアゾウのメスは牙を持たないか非常に短い。背中が丸くて耳が小さいのでアジアゾウであることは間違いないと思う。そもそも寺ならインドがルーツであろうし。
お寺の象は,釈迦の誕生伝説に由来するようだ。
釈迦(ガウタマ・シッダールタ)の母親である摩耶夫人は,6本の牙を持つ白い象が胎内に入る夢を見て釈迦を懐妊したとされているらしい。
狛象たちは6本の牙ではないけれど,釈迦に縁の深い獣としてここで門番をしているのであろう…と思う。
・瑞泰寺