ペルー南部の街モケグア市内をバスで通り抜けていた。
訪問の目的は皆既日食の観測だったので,撮影場所の下見やリハーサルなどを行わなければならない。こんなに遠くまで来たのに観光をする時間はほとんどなかった。
なので,バスの中から街の様子を精一杯楽しんだ。
ここは観光地ではないため,観光客向けの土産物屋などは一切無い。現地の人たちの生活の営みが淡々と流れている雰囲気が心地よい。
だから,この女性達は別に観光客の目を引くためにこんな服装をしていたわけではないのだと思う。こういったカラフルな民族衣装を纏った女性の姿は,あちらこちらの街角で普通に見かけた。
ISO100のフィルムにオートフォーカスでもないカメラ。
走り去るバスの中からはこんなボケボケ写真が精一杯だった。
けれど,こんな写真でも撮っておいて本当に良かったと思う。この写真が記憶の補完を手伝ってくれるから,この時の風景を細かく思い出せるのだ。
彼女らの前には白いテントが2つか3つ。その下には靴や衣服などをワゴンに入れて並べただけの簡易な店が並んでいた。買い物客の女性が数人。どちらかというとお店の人の方が多かった。
男の子を連れた彼女たちは買い物に訪れたところだったのだろうか?
この日から30年近くの年月が流れた。
きっと現地の様子もすっかり変わっていることだろう。
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過去の旅行を写真で旅する いつかの遠い街 シリーズ。
気合い入れて撮った写真。
歩きながら適当にシャッターを切った写真。
何だか忘れてしまった写真。
色々ある中からたまたま目に留まった1枚をピックアップ!
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