玉川上水を歩く (28) 三鷹台駅前通りから明星通り

東京と縁もゆかりもない人であっても
「玉川上水」という名前は聞いたことがあるだろう。

玉川上水は、
人口が増え続ける江戸に飲み水を供給するため、
1653年に玉川兄弟によって作られた。

羽村取水堰で多摩川から取水し、
武蔵野台地を流れて四谷大木戸まで全長43km。
本企画「玉川上水を歩く」では、
この43kmを四谷から羽村まで遡って歩いてみた。

→ 玉川上水を歩く Index

1日目の2019年2月18日、四谷大木戸を出発し、
玉川上水暗渠の上の緑道を笹塚まで歩いた。

2日目の2019年3月20日は、前回の終点、
新宿区笹塚「南ドンドン橋」を出発。
杉並区久我山の「岩崎橋」まで歩いた。

3日目の2019年3月24日は、
前回の終点、岩崎橋を出発し、
三鷹駅前の三鷹橋までを歩いた。

この記事で歩いた部分を地図上に青線で示した。 クリックで拡大する。

この記事では三鷹台駅前通りの宮下橋を越え、
新橋がある明星通りまでの写真を載せた。

宮下橋からしばらく北へ歩き、
玉川上水が少しカーブするところに
面白い遊具がある公園があった。

三鷹台児童遊園
三鷹台児童遊園近くの禁止看板

児童遊園を通り過ぎ、
玉川上水の流れが東西になったところで若草橋。
この橋の袂にはベンチが並んでいた。

若草橋
若草橋から見た上流
若草橋から見た下流

若草橋からしばらく歩くと、
遊歩道の脇に野菜の無人販売所があった。
いつも利用されているのか、
通りがかりのご夫婦が熱心に野菜を見てらした。

玉川上水緑道沿いの無人野菜販売所
玉川上水緑道の無人野菜販売所

無人野菜販売所の少し上流には
東京都水道局の井の頭水源。

東京都水道局 井の頭水源
東京都水道局 井の頭水源

井の頭水源の少し上流、
井の頭橋の近くに玉川上水緑道の案内地図があった。
地図には全ての橋の位置と名前が記されている。

井の頭橋近くの玉川上水緑道の地図
案内版付近の玉川上水緑道

地図のすぐ横には玉川上水の説明版も立っていた。

玉川上水の説明版

   清流の復活 ―玉川上水―
 玉川上水は江戸時代の承応2年(1653)年、人口が急増した江戸の飲料水確保のために作られた水路です。
 この上水は、江戸市中への飲料水の供給という目的以外に、武蔵野台地の各地に分水されて飲料水・かんがい用水・水車の動力などに利用され、武蔵野の発展に大きな役割を果たしました。水路は明治時代以降も淀橋浄水場(新宿区)への導水路として使われていましたが、新宿副都心計画による淀橋浄水場の廃止により、昭和40(1965)年以降、小平監視所より下流は水の流れが途絶えました。
 その後,多摩川上流水再生センターで高度処理された再生水を利用した東京都の「清流復活事業」によって、昭和61(1986)年8月から、玉川上水の小平監視所より下流側に再び清流がよみがえりました。

東京都環境局自然環境部水環境課

 玉川上水は、高い歴史的価値を持ち自然豊かな憩いの空間であることから、東京における自然の保護と回復に関する条例に基づき「玉川上水歴史環境保全地域」に指定されています(羽村取水口から四谷大木戸までの区間のうち開渠区間)。玉川上水歴史環境保全地域では、貴重な植物を採る、他の地域の生物を放す・植物を植えるなどの行為はしないよう、水と緑の豊かな環境を大切にしましょう。

東京都環境局自然環境部水環境課
玉川上水土手のハナダイコン

季節は3月下旬、玉川上水の土手には春の気配。
玉川上水と井の頭公園通りが交わる箇所には井の頭橋が架かり、
信号のある比較的大きな交差点になっていた。

井の頭公園通りと井の頭橋

交差点を過ぎると再び静かな緑道が続く。

井の頭公園通り近くの玉川上水緑道

玉川上水は尾根筋を通っているため、
緑道にはたまに周囲の住宅地へ下りる階段がある。

玉川上水緑道と周囲の住宅地へ下りるための階段

井の頭橋が架かる井の頭公園通りと、
新橋が架かる明星通りの中間辺りに架かるのが松影橋。

松影橋(まつかげばし)

松影橋あたりの玉川上水は
両土手が草に覆われ、水も美しく澄んでいた。

松影橋から見た玉川上水
松影橋近くの玉川上水緑道
松影橋と新橋の間の玉川上水緑道

周辺は少しずつ郊外の風景となり
なかなかフォトジェニックだ。

松影橋と新橋の間の玉川上水緑道

玉川上水緑道から住宅地へと下りていく
階段や坂道が頻繁に見られる。

玉川上水旧水路緑道から住宅地へ下りる坂

禁止看板も健在。

玉川上水緑道の禁止看板

玉川上水は井の頭5丁目付近で大きく曲がり
流路が南北になったところで明星通りと交わる。
ここに新橋が架かっている。

新橋
新橋と明星通り

この記事は新橋へ到着したところで終わる。
このあと緑道を遡り、井の頭公園の中を北上する。

玉川上水を歩く (27) どんどん橋から宮下橋

東京と縁もゆかりもない人であっても
「玉川上水」という名前は聞いたことがあるだろう。

玉川上水は、
人口が増え続ける江戸に飲み水を供給するため、
1653年に玉川兄弟によって作られた。

羽村取水堰で多摩川から取水し、
武蔵野台地を流れて四谷大木戸まで全長43km。
本企画「玉川上水を歩く」では、
この43kmを四谷から羽村まで遡って歩いてみた。

→ 玉川上水を歩く Index

1日目の2019年2月18日、四谷大木戸を出発し、
玉川上水暗渠の上の緑道を笹塚まで歩いた。

2日目の2019年3月20日は、前回の終点、
新宿区笹塚「南ドンドン橋」を出発。
杉並区久我山の「岩崎橋」まで歩いた。

3日目の2019年3月24日は、
前回の終点、岩崎橋を出発し、
三鷹駅前の三鷹橋までを歩いた。

この記事では
杉並区と三鷹市の境界の牟礼橋を渡り、
牟礼橋の横に架かるどんどん橋から
三鷹台駅前通りの宮下橋までの写真を載せた。

この記事で歩いた部分を地図上に青線で示した。
牟礼橋と大ケヤキ
どんどん橋と玉川上水緑道

人見街道を渡って玉川上水緑道へ入ると、
牟礼橋と隣接して「どんどん橋」が架かっている。
どんどん橋の方が明らかに古く、
新しく牟礼橋が架けられたが、
どんどん橋も残されているのが一目瞭然だ。

どんどん橋

どんどん橋の碑の横に石橋建立供養之碑が立っていた。
供養碑は宝暦7(1757)年に立てられており、
どんどん橋は寛政9年(1797)と
嘉永2(1849)年に架け替えられたとのこと。

どんどん橋の碑と石橋建立供養の碑
どんどん橋から玉川上水の上流方面を眺める

どんどん橋から牟礼橋を撮ったのが下の写真。
隣接して架かっていることがよくわかる。

どんどん橋から見た牟礼橋

どんどん橋の横には、
東京都水道局による玉川上水の説明版があった。

東京都水道局の玉川上水の説明版

   国指定史跡 玉川上水
   江戸・東京の水道に果たした役割
 玉川上水は、羽村取水口から四谷大木戸までの約43kmにわたる水路で、承応3(1654)年に完成しました。これにより、多摩川の水が江戸市中の広い範囲に供給されることとなり、江戸が大きく発展することができました。
 その後、明治31(1898)年に完成した淀橋浄水場(今の新宿区)への水路として、昭和40(1965)年に同浄水場が廃止されるまで、利用されていました。
 現在も羽村取水口から小平か監視所までは、現役の水道用の水路として、都民の生活を支えています。
   貴重な土木施設・遺構としての歴史的価値
 玉川上水は、約43kmの区間を約92mの標高差(100mでわずか約21cmの高低差)を利用して、水を流すように設計された長大な土木施設・遺構です。
 特に、小平監視所から浅間橋までの中流部には、開削当時の素掘りの水路・法面(のりめん)が多く残され、往時の姿を今日に伝えています。
 玉川上水は、近世の水利技術を知る上で重要な土木施設・遺構であることから、平成15(2003)年8月,開渠(かいきょ)区間約30kmが国の史跡に指定されました。
   蛇行(だこう)する玉川上水
 井の頭公園からどんどん橋付近にかけては、直線が多い他の区間に比べて、蛇行する箇所が多くなっています。
 これは、この地域が入り組んだ複雑な地形をしており、その中で少しでも高い地点を選んで水路を引いたためです。
 このことからも、玉川上水が、わずかな高低差を利用して水が流れるよう設計されていることがわかります。

 昭和60(1986)年からは、東京都の清流復活事業により、小平監視所から浅間橋までの区間に下水高度処理水が流され、水辺空間が復活しています。
 玉川上水に関する情報は https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/ でご覧いただけます。

東京都水道局の説明版(どんどん橋)

説明にある「浅間橋」とは
杉並区の玉川上水が開渠になる部分に架かった橋のことだ。
玉川上水を歩く (24) 浅間橋と上北沢分水口跡

東京都水道局の玉川上水の説明版 (地図)
東京都水道局の玉川上水の説明版(地図)

三鷹市でも禁止看板は健在。

どんどん橋横の禁止看板

どんどん橋の上流に架かるのが長兵衛橋(ちょうべえばし)。
新しく美しい橋で,古い橋の遺構などは見当たらなかった。

長兵衛橋(ちょうべえばし)

玉川上水は緩やかに蛇行し、
土手は草木に覆われ一帯は自然豊かだ。

長兵衛橋付近の玉川上水緑道
長兵衛橋から東橋の間の区間の玉川上水

玉川上水が大きく北へ曲がる場所には東橋。

東橋
東橋
東橋から見た玉川上水
東橋から見た玉川上水と玉川上水緑道
東橋横の玉川上水緑道の案内板

東橋を過ぎて玉川上水緑道をしばらく北へ歩くと、
「キッチンひだまり」という可愛らしいレストランがあった。

キッチンひだまり
キッチンひだまり

玉川上水緑道を気をつけて歩いていると、
たまに東京都水道局の印が埋まっている。

東京都水道局の目印

東橋から三鷹台駅前通りの宮下橋までは、
玉川上水はほぼ直線に流れている。
宮下橋の近くには牟礼神明社という比較的大きな神社がある。
天文6(1537)年創建の古い神社ということなので、
「宮下橋」の「宮」もこの神社をさすのだろう。

宮下橋
宮下橋

三鷹台駅前通りにある宮下橋の横には
みやした橋という
小田急バスとみたかシティバスのバス停があった。

宮下橋から見た玉川上水

宮下橋から玉川上水を見下ろすと、
水は澄んでいて、大きな鯉が泳いでいた。

宮下橋から見た玉川上水