玉川上水を歩く (4) 新宿駅と葵橋

東京と縁もゆかりもない人であっても
「玉川上水」という名前は聞いたことがあるだろう。

玉川上水は、
人口が増え続ける江戸に飲み水を供給するため、
1653年に玉川兄弟によって作られた。

羽村取水堰で多摩川から取水し、
武蔵野台地を流れて四谷大木戸まで全長43km。
本企画「玉川上水を歩く」では、
この43kmを四谷から羽村まで遡って歩いてみた。

→ 玉川上水を歩く Index

新宿御苑の横を通り過ぎ、
新宿四丁目交差点を通り過ぎ、
国道20号線(甲州街道)沿いに玉川上水暗渠の上を歩く。

前方には新宿のビル群がそびえ、
JR新宿駅・京王新宿駅・小田急新宿駅・バスタ新宿など
巨大な新宿駅のまっただ中を通る。

JR新宿駅
バスタ新宿
西新宿1丁目交差点

そして、やってきたのは西新宿1丁目交差点のすぐ南。
「東京南新宿ビルディング」というビルだ。

東京南新宿ビルディング
東京南新宿ビルディングの通路と「葵橋の記」

このビルの1階通路に、玉川上水を偲ぶ記念板
「葵橋の記」がある。

葵橋の記

葵橋の記
 かつて、この地を玉川上水が流れ、このビルの前に葵橋があった。
 この橋の名前は、この辺りに紀州徳川家の下屋敷があったことに由来する。
 この付近は、明治十八年の新宿駅開設や、大正後期から昭和初期にかけての京王線・小田急線の開通などにより、多くの学者や画家・文人達が閑静な環境を慕って住んでいた。
 葵橋は、玉川上水の織りなす四季の景観の中にとけ込み、多くの人々の心を和ませるとともに親しまれていた。
 しかし、この景観も、時の流れとともに進む周辺の都市化に伴って、変容した。
 昭和四十年淀橋浄水場の移転により、玉川上水が、その使命を終え、次第に暗渠化されるに伴い、玉川上水に架けられた葵橋も、その役目を終え、その姿を消した。
 いまここに、「葵橋」の由来を記し、記念とするものである。
   昭和六十二年十月
            東京都水道局

葵橋の記

「葵橋の記」がある通路の正面の道は「葵通り」。
通りには葵橋の碑が建っている。

東京南新宿ビルディングの通路から見た葵通り
葵通りと葵橋跡の碑

葵通りを真っ直ぐ歩いて行くと
「代々木二丁目あおい公園」に突き当たる。
玉川上水暗渠の上に位置する公園だ。

代々木二丁目あおい公園

2019年2月、残念ながら公園は工事中。
公園の側道を歩いて、
次のポイント、西新宿交差点へ向かった。

西新宿交差点側の「代々木二丁目あおい公園」出入り口

玉川上水を歩く index

玉川上水を歩く (1) 四谷大木戸

玉川上水を歩く (3) 雷電稲荷神社

東京と縁もゆかりもない人であっても
「玉川上水」という名前は聞いたことがあるだろう。

玉川上水は、
人口が増え続ける江戸に飲み水を供給するため、
1653年に玉川兄弟によって作られた。

羽村取水堰で多摩川から取水し、
武蔵野台地を流れて四谷大木戸まで全長43km。
本企画「玉川上水を歩く」では、
この43kmを四谷から羽村まで遡って歩いてみた。

→ 玉川上水を歩く Index

四谷大木戸から玉川上水を歩く旅を始め、
玉川上水暗渠の上を通って新宿駅方面へ向かう。

玉川上水暗渠の上の緑道

新宿御苑の北端は甲州街道に沿っており、
現在の甲州街道は国道20号線になって
新宿御苑トンネルとして、新宿御苑の下を通っている。

玉川上水は、その甲州街道の横を
暗渠となって流れている。

玉川上水暗渠の上を通る道

暗渠の上を歩いて新宿御苑を通り過ぎ、
そのまま新宿駅方面を目指す。
すると、新宿四丁目の交差点の近くに
小さなお稲荷様が鎮座していることに気づく。

雷電稲荷神社(新宿4丁目)
2月の雷電稲荷神社(新宿4丁目4番23号)
5月の雷電稲荷神社

雷電稲荷神社。
雷除けの神社で、
保食神(うけもちのかみ)を祀っている。

この神社は、1928年(昭和3年)に一度
新宿総鎮守の花園神社に合祀されている。
しかしその後、住民によって跡地に鳥居と祠が再建され
花園神社の末社として、今もこの場に維持されている。

2月の雷電稲荷神社(新宿4丁目)
5月の雷電稲荷神社
2月の雷電稲荷神社(新宿4丁目)
5月の雷電稲荷神社

玉川上水の畔にある神社なので
上水と縁がありそうにも思えるが、
創建は玉川上水より遙かに古く、
鎌倉時代まで遡る。

源義家(長暦3年=1039年生)の奥州征伐、
永保3年(1083年)の時のこと。
義家がここを通りかかった際、激しい雷雨に遭った。
ところがそこに白狐が現れ、
義家に三回頭を下げた。
すると雷雨は止み、晴れ渡ったのだった。

雷電稲荷神社(新宿4丁目)

小さな神社だが、御手洗所が整備され、
拝殿の横には八角小堂もあり、かなり立派な神社だ。

水に関係する稲荷神社では
蛙が神使になっていることがあるが、
この神社の八角小堂の前にも蛙像がある。

神使の狐様が2組。

外側(鳥居に近い方)の神使
内側(拝殿に近い方)の神使
雷電稲荷神社の八角小堂と蛙像
八角小堂前の蛙像

2月半ば。
参道の鳥居の脇では、
梅が美しく咲き誇っていた。

雷電稲荷神社の梅

5月末になると神社はすっかり緑に覆われていた。

5月 内側の鳥居から参道を見る
玉川上水を歩く (1) 四谷大木戸 玉川上水を歩く (2) 新宿御苑 – かわゆら