キューガーデンズの孔雀

 王立植物園キュー・ガーデンズの熱帯雨林温室パームハウス。
 ガイドブックでキュー・ガーデンズの紹介を見れば,大抵この温室の写真が載っている。言わばキュー・ガーデンズの顔とも言える施設だ。

 1848年に完成したこの温室は,船を逆さにしたようなデザインが特徴。ヴィクトリア朝様式のデザインで,熱帯雨林の環境を整えている。
 内部の熱を逃がさないように設計された美しいカーブを描くガラスの壁は,ハイドパークの設計で知られる建築家デシマス・バートン氏によるものらしい。
 とにかくとても絵になる温室だ。

キュー・ガーデンズ パーム・ハウス前(2008-05-23)
キュー・ガーデンズ パーム・ハウス前(2008-05-23)

 この堂々たる温室の前の道路のど真ん中に,1羽の孔雀が座り込んでいた。
 堂々たる様子で我が物顔の孔雀。おそらくここで飼われていて植物園内で好き勝手に過ごしているのだろう。

 珍しかったのでしばらく孔雀を眺めていた。
 すると,寛いだ様子だった孔雀はふとパーム・ハウスの方に視線を移し,おもむろに立ち上がってパーム・ハウスの庭から離れるように歩き始めた。丁度,小さな女の子2人とそのお母さん2人がこちらへ向かっており,どうやら孔雀は子供から逃げたかったらしい。

 案の定,孔雀を見つけた女の子たちは,怖々と,しかし興味津々といった感じで追いかけ始める。
 それに対し,孔雀は悠々とした様子で通路横のラベンダーの茂みの中へ入り込み,とことこ歩いて行ってしまった。孔雀は人が入れない場所をよく承知しているのだ。

 ちょっと面白い光景だった。

10年前のロンドンで

 10年前の12月。
 特に狙ったわけでも無かったが,たまたま訪れたのがクリスマスの季節だったので繁華街のイルミネーションは是非見ておこうと思った。

 日暮れを待って出かけ,オックスフォード・サーカス駅で地下鉄を降り,ピカデリー・サーカスへ向かってリージェント・ストリートを歩く。大通り全体を包み込むような電飾が施され,常日頃は黄色系で統一され落ち着いた雰囲気の街明かりに異色のエネルギーが与えられているような感じだ。
 落ち着きが無いが楽しい。

 繁華街はクリスマスの雰囲気を楽しんで歩く大勢の人たちで賑わっていた。

リージェント・ストリート(2011-12-05)
リージェント・ストリート(2011-12-05)

 10年経って,英国はEUを離脱。エリザベス2世が亡くなってチャールズ3世が即位した。コロナにウクライナでの戦争,エネルギー問題など世界はどんどん変わっていった。
 今年のロンドンはどんなクリスマスを迎えているのだろう。