本の記録(2024-07)

 『枕草子』の上巻を読み終わったため,下巻に入る前に気になっていた本や読まなければならない本を読んでいた。『ソラリス』は難解すぎて現在再読中。
 『枕草子』は大変だが面白い。下巻も読み終えたらブログに感想や記録しておきたい言葉など書き留めようと思う。『ソラリス』も再読が終わったらブログにまとめておこうと思う。

 古典的SFは古典なので今更読むと大抵古くさく感じることが多いが,アシモフは特にそういう印象を受ける気がする。日常描写が多いせいかもしれない。それに比べると『ソラリス』は概念論が多く読む方もメタ視点になるためか,色褪せない作品なのでは思った。


7月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1786
ナイス数:24

動物たち (楽園コミックス)動物たち (楽園コミックス)感想
 主人公はいつものおかっぱさん。そして冒頭からヒヨケザルなるマイナーな動物や芋虫を運搬するアシナガバチが登場する。続いて「ろくなことがない日」を「ろくなことが起こる日」にする話。引っ越しの話が続くが,部屋探しの話に,住んでいた街での最後の食事,新しい部屋での最初の夜の話,新しい街のゴミ分別の話などの中にミドリガメや動物についての蘊蓄が込められている。カラーページが挟まれていて楽しい。後半はマミ(貒)の不思議な話にトノサマバッタと笹舟の話など。巻末の用語集も含めpanpanya世界満喫な1冊だった。
読了日:07月01日 著者:panpanya

マンガでわかる 親子で読む 絶対もめない! 相続・生前贈与マンガでわかる 親子で読む 絶対もめない! 相続・生前贈与感想
 相続とは誰にでも起こることなのに,専門的で用語も難しく関係法律や税金の関係も複雑で非常に分かりにくい。本書は分かりやすく説明されているが,それでも後半になるとだんだんわけが分からなくなってきた。単純承認・限定承認・相続放棄? 4ヶ月以内に準確定申告? しかもここまで複雑怪奇なのに申告期限は意外に短い。現代の離れて暮らす家族には厳しいことだ。
 最近また法律が改正されているので,本書の内容は少々古く,新しいバージョンで勉強する必要があるだろう。読み終わったが,やはり自分の相続問題については途方に暮れる。
読了日:07月02日 著者:梅田 泰宏

枕草子 上 (ちくま学芸文庫 コ 10-13)枕草子 上 (ちくま学芸文庫 コ 10-13)感想
 第一二八段,恥づかしき物(『春曙抄』巻六)まで。
 流石に古文は難解ではあるが,島内裕子先生の訳文と対比しながら読み進めると何とか理解できる。2回か3回繰り返して読むと少しずつ頭に入ってくる感じだ。古文に慣れぬ身であっても,清少納言の文章が溌剌としており,彼女の世界を活き活きと描いていることはよくわかる。服装や建物の構造などの知識がないため理解が難しい箇所もあるが,千年前の宮廷人たちを,令和を生きる我々と変わらぬ人たちなのだと身近に感じた。
読了日:07月03日 著者:清少納言

二匹目の金魚 (楽園コミックス)二匹目の金魚 (楽園コミックス)感想
 冒頭は夕暮れ時によく出てくる「ローポポー」(ドヴォルザークの「家路」)の話。相変わらずの登場人物で短い物語もあれば数ページものもある,ありそうであるわけない物語。目茶苦茶描き込まれた背景にスケッチのように単純な人物が違和感なく溶け込んでいるのが常ながら見事だ。小物のことや御守りの作り方,リヤカーと自転車,真夜中の行列。シンプルアニマルの話はシュールだった。シンプルアニマルちょっと飼ってみたい。ラストを飾る「2匹の金魚」はワンダフル。巻末の「解題」も短いエッセイという感じで面白い。
読了日:07月10日 著者:panpanya

ソラリス (ハヤカワ文庫SF)ソラリス (ハヤカワ文庫SF)感想
 以前から一度読もうと思って買ってあったが,このほどハヤカワ文庫の新レーベル「ハヤコミ」の最初の作品に選ばれたことを知り読むことにした。沼野充義訳の本書は全文がポーランド語から翻訳されており原作に忠実なこともあって,途中のソラリス学の系譜が蕩々と語られる部分など難解だったが,全てにおいて異質なものとのコンタクトとして興味深い作品だった。難解なのでコミックで解きほぐしてもらえると理解しやすそうだが,劇場版に原作者が激怒していたという訳者の後書きを読むと,まず原作を読むのが良い気がした。本書の主題は未知とのコンタクトなのだ。
読了日:07月15日 著者:スタニスワフ レム

われはロボット〔決定版〕われはロボット〔決定版〕感想
 昨年から急激にAIの時代になってきたので10年ぶりに再読してみた。
 ロボ心理学者スーザン・キャルヴィン博士にとってロボットは「人間よりずっと無垢で優秀な種属」「人類より強靱で、忠実で、有能で、まったく献身的に使えてくれるもの」。
 愛された育児ロボット。水星探検隊を困らせたロボット。小惑星鉱山のロボット。人の心を読むロボットの苦悩。ジレンマに苦しむロボット。人の死を考えるのが怖くて悪ふざけをするロボット等々,彼女の記憶に残る様々なエピソード。
 これらを語り終えた後,最後に彼女は言うのだ。「すばらしいことじゃありませんか!この先ずっと、あらゆる紛争がついに避けられることになったんですもの。これからは、マシンだけが、避けられぬものなんですよ!」と。
読了日:07月22日 著者:アイザック アシモフ

読書メーター

読書日記ランキング

アニメ覚え書き(2024年4月~2024年6月)

2024年7月19日時点で見終わったアニメ備忘録。


ダンジョン飯

 2024年1月〜6月。原作は2014年から2023年に『ハルタ』で連載された漫画。
 単行本の1巻が発売された時から読んでいて,こんなに面白いのにアニメ化されないのかな?と思っていたが,完結してからアニメ放送をするという最高の見せ方が企画されていたのか?! 満を期してのアニメ化なので大変出来が良く,原作のイメージそのままで,まるで原作を読んでいるかのような気分になる。
 2クールで一旦終了だが,もちろん最後までアニメ化してくれるんだよね?


MASTERキートン

 1998年10月〜1999年3月放映(TV24話+OVA15話)。原作は1988年〜1994年に『ビッグコミックオリジナル』に連載された漫画。
 原作を一部読んだことがあったが,アニメ化されていることは知らなかった。全39話Netflixで配信されていたので視聴した。
 オッサンばかり出てくる渋い作品だが,どの回も本当にどこかにそんな話があるのではと思ってしまう面白さと緊張感でとても面白く,見終わるのが心から残念だった。そのうち原作を購入しもう一度読んでみたい。


終末トレインどこへいく?

 2024年4月〜6月。オリジナルアニメ。
 7Gの開通と共に池袋を中心にでたらめに様変わりしてしまった世界で,友人に会うため吾野(埼玉県飯能市の西武鉄道の駅:知らんがな…)から電車を操縦して池袋へ向かう女子高校生4人の友情と冒険の物語。「友達だから」みたいなのはウザくて苦手だが,それを除くとまずまず面白かった。もう少し辛口な話でも良かったなと思うがテレビアニメなのでこの程度がいいのかな。


戦国妖狐

 2024年1月〜4月。2024年7月〜第2期予定。
 原作は『月刊コミックうブレイド』で連載された水上悟志氏による漫画作品。
 「世直し姉弟」を名乗る妖狐の「たま」と,たまの義姉弟の仙術使い「迅火(じんか)」。そして彼らと旅をする真介。舞台はかたわら(妖怪?)と人間が共存する世界。かたわらと人間の関係性や登場人物たちの成長していく様子が興味深かった。灼岩が活動を停止した回の特殊エンディングには泣けた。
 7月からの第2期の放送開始に向けて第1期を振り返る会など放映されており,続きも楽しみ。


烏は主を選ばない

 2024年4月〜6月。原作は阿部智里著ファンタジー小説八咫烏シリーズ。
 日本のどこかのような場所に住む八咫烏の一族の長争いや妃候補の争いなどが描かれ,少しサスペンスっぽい。6月までの12話で金烏の妃が決定し,7月からは新章『黄金の烏』が放映。
 最終話のあせびの君,なかなか凄かったなー。


変人のサラダボウル

 2024年4月〜6月。原作は平坂読著ライトノベル(ガガガ文庫)。
 イラストはカントク担当ということで,『妹さえいればいい。』を彷彿とさせ,実際同じ名前の登場人物(別人)が出てきたりする。
 別世界の信長の子孫(魔法が使える)が追われて転移してきたという荒唐無稽な設定だが,それ以外は意外と現実的。壮大な設定を一つ盛り込み,あとは通常世界で人々がその設定を生かしつつ動きだすという感じで物語が進む。エピソードはあるがストーリーはないに等しい。なのに続きが楽しみになるのは,ひたすらキャラクターが魅力に溢れているから。それができるのは,原作もアニメ化スタッフも,とても凄いということではないだろうか。なかなか希有なアニメだった。岐阜推しに圧倒されて岐阜に行きたくなってしまった。


この素晴らしい世界に祝福を!3

 2024年4月〜6月。原作は暁なつめ著ライトノベル。
 1期2016年,2期2017年だったが,コロナで感覚が開いてしまったようだ。色々忘れていたが,全く問題なくいつもの『このすば』で,いつも通り楽しかった。


クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲

 2001年4月劇場公開。
 20世紀の懐かしい世界を体験できる「20世紀博」に行った大人たちは20世紀の「懐かしい匂い」の虜になってしまう。仕掛け人のケン(マッシュルームカット)とチャコ(小林麻美風美人)で,彼らは現代(2000年)のゴミに埋もれた無臭な世界を憂いでいた。懐かしい匂いに親を奪われたしんちゃんたちは親を取り戻そうと必死で抵抗する。まぁ本当に全体的に下品だが,昭和の描写は力が入っており,しんちゃんの両親世代としては懐かしさを禁じ得ない。時代の空気とか時代の匂いとは一体何なのだろうと考えさせられた。


クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦

 2002年4月劇場公開。
 不思議な縁で天正2年(1574年)の春日部(春日の国)にタイムスリップしたしんちゃんは,偶然1人の侍,井尻又兵衛の命を救い,春日城の城主,春日康綱やその娘の廉姫と知り合う。ひろしとみさえはしんちゃんを迎えに行くため奔走し,どうにか天正2年に到着。春日の国は廉姫の婚姻問題で大大名の大蔵井高虎が治める隣国と合戦が始まり,野原一家は戦国時代の合戦に巻き込まれる。
 時代考証がもの凄くしっかりしているという評判を聞きつけて視聴したのだったが,確かに戦国時代の家や城,戦の装備及び合戦の描写などが大変リアルで興味深かった。私は知識がなくて分からなかったが,火縄銃の音もきちんと再現されていたとのことだ。でも確かに最後の銃声だけが火縄銃でないのはわかった。そんなところまで作り込まれていて,クレヨンしんちゃんの凄さを再認識。
 日本史の表舞台には出てこないが,各地ではこうした小さな合戦がたくさん繰り広げられていたのだろうと認識させられた。https://togetter.com/li/2368418


すずめの戸締まり

 2022年公開の劇場アニメ。配信が開始されたので視聴した。
 日本では昔から鯰が起こすことになっている地震をミミズが起こす別世界。鯰ではなくミミズの世界線って感じか? 鹿島神宮にある要石のことを知っていると話がわかりやすい。
 幼い頃に岩手県で大地震(ほぼ東日本大震災)に遭った鈴芽(すずめ)は,ミミズを追いかけ幼い頃の自分を捜す。よくある?と言ってはいけないかもだが,最後はすっきり爽やか。


映画 ゆるキャン△

 2022年7月劇場公開。
 メンバーたちが社会人になってからの物語。リンは名古屋でタウン情報誌の記者をしており,なでしこは東京のアウトドアショップの店員。山梨の観光推進機構で働く千秋のもとで,みんなでキャンプ場を作ろうと奮闘する。全体的にキャンプがお金と車を持っている大人のリッチな趣味のようにしか見えなかったし,ストーリー的にも「ないわー」感は拭いきれない感じだったが,高校生がソロキャンやるよりまともだろうか。


明治撃剣-1874-

 2024年1月〜3月。オリジナルアニメ。
 元会津藩士の折笠静馬は戊辰戦争に破れた後,東京で車屋をしながら許嫁の鹿又澄江を捜していたが,ポリスの巡査になる。もう一人の主人公修羅神狂死郎は,父親を殺された仇を討つため手段を選ばない。
 明治初頭の混乱期に渦巻く各陣営の思惑は複雑で,登場人物も多く人間関係は複雑。戦いや人死の場面が多い作品で好戦的な登場人物が多い印象。こういう時代ではこうなるのだろうか。何故そんな勝負しなくちゃいけないのか私には全くわからない。時代についていけない人が暮らすエルドラドのような理想郷,たまに欲しくなるよね。。。


T・Pぼん

 原作は藤子不二雄により1978年〜発表された漫画作品。後,藤本弘(藤子・F・不二雄)による単独執筆作。2024年5月〜Netflix。
 原作が連載されていた1978年と言えば,『はいからさんが通る』や『銀河鉄道999』や『超電磁マシーン ボルテスV』などがテレビ放映されていた時代だ。現代の感覚では主人公のぼんのあり得ないのんびりお気楽な性格や,タイムパトロール組織の突っ込み所満載すぎる設定も,1978年の世界なのだと思いつつ納得した。細かいことはどうでもいいからエンターテイメントを楽しむ作品だ。
 ぼんは困ったちゃんだったが,ヒロインのリームはなかなかの美少女で性格も良い感じ。日笠陽子さんの鉄男が良かった!


怪獣8号

 2024年4月〜6月。原作は『少年ジャンプ+』にて2020年より連載中の漫画作品。
 怪獣が出る世界の怪獣と戦う話。主人公の日比野カフカの人柄やアニメの物語運びの周到さなどあり,アクション系があまり好きではない私でも大変面白く視聴できた。副隊長の保科の家は室町時代から刀使いで怪獣と戦っていたようなので,もともと怪獣と呼ばれる生き物が存在していた世界っぽい。全くもって中途半端にアニメが終了してしまったが,怪獣が何であるかなど続きを制作して謎を明らかにしてほしい。


怪異と乙女と神隠し

 2024年4月〜6月。原作は「やわらかスピリッツ」にて2019年より連載中の漫画作品。
 小説家だが小説が上手くかけなくなって書店で店員をしている菫子と,書店の同僚の化野蓮(あだしのれん)の出会いと別れの物語。
 蓮には妹の乙(おと)がいて,二人は異界からやってきた。蓮は乙を元の世界に返すために呪物を集める。二人に関わり不思議な世界に片足を突っ込んでいく菫子だが,彼女は子どもの頃に不思議な書店,玉心堂書店で本を借りたことがあった。
 玉心堂書店の女性店員や蓮の存在など,おどろおどろしい中に人間の温かみや希望が見える良い作品だと思う。ちょっと『裏世界ピクニック』を思い出させるものがあった。


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