妹さえいればいい。11 (ガガガ文庫)

小説がまったく書けないという大スランプに苦しむ伊月を、恋人の那由多は優しく見守る。土岐や京は伊月を復活させるための方法を模索するのだが、結果は芳しくない。一方、女の子であることを隠さなくなった千尋にも、大きな変化が訪れるのだが…。そんななか、第16回GF文庫新人賞の授賞式が開催される。青葉や木曽たちが受賞してから、はやくも一年の月日が経っていたのだ。怒涛の流れに翻弄されながらも、主人公たちは足掻き続ける―。大人気青春ラブコメ群像劇、衝撃の第11弾登場!

「BOOK」データベースより

『妹さえいればいい。』はこんな作品

妹さえいればいい。

11巻を買うのは10巻までを読んだ方ばかり!
とは思うが、一応作品紹介を少し。

アニメ化された『僕は友達が少ない』の著者、
平坂読(ひらさかよみ)氏のライトノベル。

イラストは、
『変態王子と笑わない猫。』等で知られるカントク氏。

2015年からガガガ文庫(小学館)より刊行され、
2017年秋にアニメ作品が放映された。

『妹さえ』というい表題で引いてしまうかもしれないが、
内容はごく真面目な青春群像作品。

妹大好きラノベ作家の羽島伊月(はしまいつき)が主人公で、
彼を取り巻く作家や編集者たち、
彼の父親や妹など家族を中心に物語は進む。

主人公がラノベ作家ということで、
ラノベを取り巻く業界の裏話も詳しく描かれ興味深い。

文章がしっかりしており美しく、
多くのラノベに見受けられる冗長さもなく、
オタク受けを狙う用語の連発などもなく、
私はストレスなく、大変興味深く楽しく読めた。

10巻以上続いて冗長さにストレスを感じずに読めたラノベは
この作品が初めてかも知れない。
ライトノベルの中でもお気に入りの作品だ。

妹さえいればいい。11巻 を読んで

本のデータ:
  紙の本の長さ: 240 ページ
  出版: 小学館 (2018/12/23)

妹作品を書けなくなった伊月があがく巻。
そして、千尋が初恋に悩む巻。

千尋の恋については何巻も前から伏線があったので
気づかなかった読者はいないと思われるが
ようやく千尋自身が向き合っていく。

兄の心配をしつつ自分の恋愛も。
スーパー高校生の千尋もさすがに大変そう。

伊月の方も深刻で、
新人授賞式パーティーも楽しめず壁の花。

伊月を尊敬する後輩が現れたり
先輩作家の海津がアドバイスをくれたり、
アシュリーが昔話をしてくれたり。

千尋をきっかけに父親と会ったり
とどめのように伊月の初恋の人に出会ったり。

最終幕へ流れ込むのかと思いきや、
まだまだまだまだ…
波乱が続きそうな感じで相変わらず面白かった。

あと、今回は帯の話が興味深かった。
第15回新人の木曽義弘の新刊の帯を考えるのだが、
最大限に遊びつつ帯の効果を説明された感じ。

今回もテンポ崩れず面白く、相変わらずのお勧めラノベでした!

1巻~10巻を振り返って

1巻
TRPGと千尋ちゃんの秘密まで。
ちょっとえっちなイラストがあるので電車で読むとき要注意。

2巻
那由多が京に懐いている理由、
お花見の日の千尋と「ぷりけつ」の最悪な出会い、
TRPGの続きとか春斗の「絶界の聖霊騎士」のアニメ第1回放映など。
「絶界の聖霊騎士」の件は、
アニメで見る以上に裏がよくわかって辛かった。

3巻
京の誕生日、
遊園地・動物園・水族館と恋愛それぞれの事情。
伊月が小説を書くようになるまでのこと。
物語の節々に登場人物への質問コーナーが挟まれ、
女性陣のスリーサイズや好きな作品等などの回答がある。

4巻
あとがきで著者自ら下記のように書いている。
「今回は僕が過去に書いてきた作品の中で、(他のシリーズはゲームシナリオを含めても)一番頭の悪いお話になったような気がします。」
まぁそんな巻。
蚕の出現、蚕とぷりけつの対決。
これが信じがたい全裸vs下着バトルとなる。
その後更に信じがたい蚕と那由多の全裸シーン。
まるで全裸担当巻?
おまけページに「パンツリボンのつくりかた」
パンツリボンは厚手の生地のパンツで作るのがお勧めだそうです!

5巻
編集部での京さんの巻。
『妹すべ』のアニメ化が決まり、
蚕さんの父親が出てきたり、
新人賞の選考会があったり。
春斗が尊敬する先輩作家の海津が初登場。

6巻
失恋から立ち直る方法とは。
ぷりけつ先生の目覚め。
那由多の自分磨きにTRPGの続き。
新人賞パーティにアフレコ。
ヒロインのようでラスボスのようでヒロインな那由多。

7巻
各々の反応、動き出す関係。
新人作家たちが加わり、
関ヶ原幽を含め表紙の3人の過去が語られる。
また業界の裏事情も見え隠れする。

8巻
クリスマスにコミケの季節。
お漏らし事件と新人作家たちのこと。
羽島の父と千尋のこと。
蚕と京と那由多の新しい生活。
羽島父の47歳の若さでアニメ=サザエさんはないと思う…。
せめてドラゴンボールとかガンダムとかドラえもんにしてあげて><!
千尋ちゃんの可愛さ全開的な巻だった。
千尋ちゃんには是非是非幸せになってもらいたい。
秋葉原デートがとても良い感じだったのだが…。

9巻
読み始めたら止められなかった巻。
京さんの就活の話や青葉ちゃんの本の評判。
ロリキャラの撫子ちゃんが登場したりするが、
待ちに待った千尋ちゃんの巻だった。
続きがとても気になる。
千尋ちゃんには是非とも妹として幸せになってもらいたい。
あと、カントクさんあとがきの青葉ちゃんが可愛い。

10巻
冒頭の伊月父(羽島啓輔)と千尋母(加納棗)の物語。
そして千尋の理由の物語。
啓輔47歳,棗36歳。
大人の物語もキチンと書いてくれて嬉しいし、面白かった。
伊月の台湾出張はちょっとお休み会って感じ。
妹になった千尋と妹ができた伊月、
伊月の描写に注意しながら二度目を読みたい巻。
伊月はどう解決するのか、続きが楽しみ。

小説NieR:Automata(ニーアオートマタ)

・小説NieR:Automata(ニーアオートマタ)少年ヨルハ (デジタル版GAME NOVELS)
・小説NieR:Automata(ニーアオートマタ) 長イ話 (デジタル版GAME NOVELS)
・小説NieR:Automata(ニーアオートマタ) 短イ話 (デジタル版GAME NOVELS)


ニーアオートマタの世界とは

『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』は、
PlayStation4のアクションRPGゲームです。

舞台は美しき廃墟となった地球。

エイリアンに侵略され、人類は月へ逃亡。
地球を取り返すべく、
戦うためのアンドロイドが作られます。

人類に模して造られたアンドロイド、
オートマタ(自働人形)たち。
彼らは地球へ送り込まれ果てしなく闘い続けます。

アンドロイドたちを地球で迎え撃つのは、
エイリアンの兵器、機械生命体。

戦闘は決着がつかないまま延々と続き、
もはや人類もエイリアンも死に絶えた。

なのに、アンドロイドと機械生命体は
各々の創造主のために闘い続ける…。

ゲーム画面

ニーアオートマタは、SFが好きならば、
ゲームを知らなくても楽しめる物語です。

被造物であるアンドロイドと機械生命体。
彼らのパーソナルデータは共有化されていたり、
保存されていたりしている。
本当の意味での「死」を知らない存在である彼ら。

そんな彼らが長い長い時をかけて
少しずつ変化していきます。


少年ヨルハ

『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』前日譚となる舞台「少年ヨルハ」を、著者:映島巡、監修:ヨコオタロウで完全ノベライズ化。“呪い”と”罰”のはじまりを綴った朗読劇作品「ヨルハ計画」から、舞台では語られなかったヨルハM部隊結成に至るまでの物語を含む、自動歩兵人形・ヨルハの定められた運命を辿る――。

Amazon 内容紹介より

《長イ話》=ゲームシナリオの前日譚。


女性型に続いて作られた
ヨルハ型男性モデルによる実験小部隊の物語。

初のヨルハ型男性部隊として、
彼らはデータ集めを目的に様々な戦場へ送られる。
後に続く、たくさんの男性型ヨルハ型アンドロイドのために。

勝てる可能性のない戦場へ何度も送られ、
そのたびに全滅しては
また新たな体で目覚める。
本当に死んで消えることはなくても、
死ぬときの恐怖の記憶だけは積もっていく。

二号(少年型):ディフェンダー
三号(成人型):アタッカー
四号(成人型):ガンナー
六号(少年型):アタッカー
九号(少年型):ヒーラー
二十一号(少年型):スキャナー
二十二号(少年型):ガンナー
教官:ブラック

隊員全員の視点で次々と語られる方式で
各々の性格が細かく描写され
心を持つアンドロイドとしての彼らの生き様に目が離せなかった。


「君は……優しいままで、いてくれ」

少年ヨルハ 位置2508

男性のヨルハ型の適正や、
その後のヨルハ型の運用についても示唆されおり、
世界観を理解する上で読んでおきたい作品だと思う。


長イ話

著者:映島巡、監修:ヨコオタロウで贈るPS4ゲーム『NieR: Automata(ニーア オートマタ)』の長編ノベライズ。ゲーム本編裏側のエピソードを語りながら、各キャラクターの知られざる心情を浮きぼりにする!

Amazon内容紹介より

ゲームストーリーのノベライズで、シリーズの基本となる1冊。

ゲームの幾つものルートを繋げ、
1本の筋の通った物語として紡がれています。
未プレイの方も、問題なく楽しめます!

行動を共にする女性型アンドロイドの2Bと
少年型アンドロイドの9S。
アンドロイドに随行支援するポッドたち。

平和を好む機械生命体や
人類というものに興味を抱く機械生命体。

各々に芽生える自我の可能性が描かれ
絶望の中にも
最後には一縷の希望を見いだせるSF物語です。


「そういう好奇心旺盛なところは、嫌いじゃないよ」
 たとえ、その好奇心が諸刃の剣であったとしても。
「ありがとう、2B」
 9Sの口許が少しだけ綻ぶ。好奇心旺盛で、素直で、明るくて……まるで地上に注ぐ陽射しのような、仲間。

長イ話 位置894

短イ話

著者:映島巡・ヨコオタロウ、監修:ヨコオタロウで再び贈る、PS4ゲーム『NieR: Automata(ニーア オートマタ)』の中・短編小説集。転載収録作品『プロメテウスの火』『記憶ノ檻』『衛星軌道基地バンカー観察日記』『小サナ花』『静カスギル海』『記憶ノ棘』に加えて、「エミールの楽しくも哀しい不退転のエピソード」、舞台ヨルハ原作「A2の知られざる物語」新規書き下ろし中編2編を含む「短イ話」の結晶体!

Amazon内容紹介より

本編の背景にある小さな物語を詰め込んだ短編集。

ハイライトとも言えるのは、中編の『ヨルハ―Ver.1.05』。
A2こと二号がアネモネと出会い、仲間を失い、
生き残って逃亡者になった物語だろうか。
今は亡き個性的な隊員たちの日常。
彼らのこの時間があってこその
ニーア オートマタ(NieR:Automata)であることを感じた。

他には2Bと9Sの因縁めいた繰り返しを語る
『記憶ノ檻』と『記憶ノ棘』

花を育てる機会生命体の物語『小サナ花』
10Hとポッド006が孤独に繰り返す時間を綴る『静カスギル海』
小さな花「月の涙」から蘇る遙か昔の物語『エミールの追憶』

どの物語にも、気が遠くなるような長い時を超えて
使命を果たし続けた創造物たちの悲しさが溢れる。
身に染み入る一冊だ。


「どうして、私達には悲しいなんて気持ちがあるんでしょう? アンドロイドなのに」
「様々な状況に対応し、適応していく為。牙も爪も翼も持たない人類は、多様性を持つ事で生存競争を勝ち抜いて、繁栄したから。私達は、その人間を模倣して造られた……と説明されました。ずっと昔」

短イ話 位置1267

ヨルハ型アンドロイドのこと

ニーアオートマタ(NieR:Automata)を読む上で
知っておくとちょっと便利なチップ。
ヨルハ型アンドロイドの記号の意味をメモしておく。

A型(アタッカー)
B型(バトラー)
D型(ディフェンダー)
E型(エグゼキューショナー)
G型(ガンナー)
H型(ヒーラー)
O型(オペレーター)
S型(スキャナー)