本の記録(2023-05)

 今月は『徒然草』と百人一首。
 『徒然草』は何度か読まないと頭に入らないと思うのでそのうち再読したい。
 『うた恋い。』シリーズは,確かに脚色はあるものの事実に基づいたキャラクター設定や物語であるため,登場人物が可視化されストーリーで頭に入る。おかげで百人一首の時代の人々が時代順に歌と共に自然に覚えられて解像度が上がり,大変素晴らしいと思う。これも何度か読んで頭にたたき込みたい。


5月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:769
ナイス数:26

すらすら読める徒然草 (講談社文庫)すらすら読める徒然草 (講談社文庫)感想
 『徒然草』の1/4に相当する六十段を抜粋し十二項目のテーマ別に原文と著者訳を並べ,解説を加えた構成。『徒然草』には高校の授業でしか知らなかったため原文は難しく感じたが,構成が良いため読みやすかった。末尾の島内裕子教授の解説によると,原文には江戸時代から広く読まれた「烏丸本」が用いられ,句読点は北村季吟『徒然草文段抄』によっており,分類や配列は『徒然草』が持つ本来の魅力が失せぬよう工夫されているとのこと。一読でも『徒然草』に触れて親しむことはできたが,何度も読み返して著者の哲学に理解を深めていきたいと思う。
読了日:05月04日 著者:中野 孝次

超訳百人一首 うた恋い。 (コミックエッセイ)超訳百人一首 うた恋い。 (コミックエッセイ)感想
 漫画は在原業平,陽成院,藤原義孝,紫式部,藤原道雅,藤原定家&式子内親王。  みなアニメになった物語だが順番は異なる。アニメは随分と分かりやすく脚色されていたようだ。漫画の他に「ていかメモ」として豆知識の解説があり,最後に百首全てが「超訳」と共に記されている。超訳されると現代人には理解しにくい歌の内容もかなりわかりやすい。
読了日:05月07日 著者:杉田 圭

超訳百人一首 うた恋い。2 (コミックエッセイ)超訳百人一首 うた恋い。2 (コミックエッセイ)感想
 この巻も全部アニメになっていた。喜撰法師と紀貫之,文屋康秀と在原業平,良岑宗貞と吉子,在原行平と弘子,そのほか百人一首に選ばれなかった大友黒主や東下り三人,六歌仙や平安時代の恋愛や子供事情,ひらがな誕生など。  300年くらい離れた時代の人たちを一括りで「1000年くらい昔の人」と思っていたのが,時代順に頭の中に入ってくるから漫画の力って凄いと思う。
読了日:05月09日 著者:杉田 圭

超訳百人一首 うた恋い。3 (コミックエッセイ)超訳百人一首 うた恋い。3 (コミックエッセイ)感想
 表紙の通り,清少納言と藤原行成を中心として,その周辺の人々の物語。  清少納言の父である清原元輔,清少納言が仕えた中宮定子の両親である儀同三司母&藤原道隆,清少納言や行成と接点があった藤原実方や藤原公任。「ていかメモ」では本名のことや平安時代の離婚,職業のこと。そして『枕草子』の成立について。『枕草子』のことは初めて知った。行成と清少納言はこのシリーズでも最も魅力的に感じる人たちで,『枕草子』を読んでみたくなった。
読了日:05月11日 著者:杉田 圭

超訳百人一首 うた恋い。4 (コミックエッセイ)超訳百人一首 うた恋い。4 (コミックエッセイ)感想
 この巻では,藤原氏の他氏排斥により朝廷で力を失っていった他の古い氏族たちの物語。阿古久曾(あこくそ)こと紀貫之,遣唐使として唐に渡り唐で果てた阿倍仲麻呂,優秀な伝説歌人である小野篁,『古今和歌集』の選者の一人であり三十六歌仙の一人でもある壬生忠岑,そして菅原道真。  物語も地味だが,当時の異なった世界を垣間見ることができて興味深い内容だった。歴史に消えることなく今も彼等の物語が残っていて良かったと思う。
読了日:05月14日 著者:杉田圭

超訳百人一首 うた恋い。【異聞】 うた変。 (コミックエッセイ)超訳百人一首 うた恋い。【異聞】 うた変。 (コミックエッセイ)感想
 アニメ化されたもの,されなかったもの織り交ぜて細かいエピソードがいっぱい。宗貞と吉子の兄妹の契りや在原業平と行平の仲悪い兄弟,康秀・業平・小町の3人組の話に業平と高子の駆け落ち,紫式部と公任,空気を読めない綏子内親王,酒に強い貴公子=道隆の家系と弱い貴公子=義孝の家系,六歌仙の人物相関図,そして定家と式子内親王の病んだ関係?松浦宮物語とテイカカズラなどなど。定家と式子内親王は能にまでなっていたとは。古人たちの人生を現代語訳してもらった感じで一人一人が頭に入ってくる素晴らしい作品だと思う。
読了日:05月15日 著者:杉田圭

うた恋い。和歌撰 恋いのうた。 超訳百人一首 うた恋い。 (コミックエッセイ)うた恋い。和歌撰 恋いのうた。 超訳百人一首 うた恋い。 (コミックエッセイ)感想
 一部漫画を取り入れながら,主に文章で大学の古典の先生が恋にちなんだ和歌を解説するスタイル。和歌は百人一首以外から選ばれており,古くは飛鳥時代,万葉集の額田王から,鎌倉時代の源実朝,後深草院二条まで。  歌の裏側に読み取れる感情や,時代や場所に付随する恋愛事情など,知っていれば和歌を読む時に参考になりそうな情報が多く面白かった。異なる時代には異なる価値観や社会事情があるとは分かっていても,具体的に知らないため結局現代基準で解釈してしまっていたと思う。
読了日:05月19日 著者:渡部 泰明,杉田圭

超訳百人一首 うた恋い。【異聞】うた変。2 (コミックエッセイ)超訳百人一首 うた恋い。【異聞】うた変。2 (コミックエッセイ)感想
 詳しいことが分かっていない平安時代の人々の人間模様を資料の中から読み解いて想像力を働かせ,もしかしたら本当にこうであったかもしれないという物語が紡がれている。当時の社会事情も織り交ぜられており,人物像が頭に入りやすく面白く読んだ。
読了日:05月21日 著者:杉田圭
ぱらのま 6 (楽園コミックス)ぱらのま 6 (楽園コミックス)感想
 江東区富岡八幡宮で眼鏡のお姉さんとの初詣に始まり「八幡って何?」って話。須崎神社と海岸線,富賀岡八幡神社。  旅の荷物と服装の話。  阪和線で雨の日の関西の旅。暑い日の上越高田。ビジネスホテルの朝食バイキング。ひたすら目的もなく遠くへ出かけてみる話。東海道を過ぎ山陽地方へ。辿り着いたのは尾道。  6巻だが,未だ登場人物の誰一人名前が出てこないところが凄い。主人公は旅鉄の「残念なお姉さん」のまま。お姉さんの私の中での勝手な設定は168cm・62kg,グラマーで体力あってよく食べ健康的!
読了日:05月30日 著者:kashmir


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本の記録(2023-04)

 Webで『源氏物語』を読みながら,大和和紀『あさきゆめみし』を読み,更に同じ箇所を田辺聖子『絵草紙 源氏物語』を読むという三段階構造で源氏物語を読む月だった。更に2009年のテレビアニメ『源氏物語千年紀 Genji』も視聴し,イメージを補った。
 どっぷり『源氏物語』に浸った1ヶ月だったが,まだまだ物語を把握するには足りない。与謝野晶子の現代訳『源氏物語』が良さげなので,そのうち読んでみようと思う。長い物語で時間がかかりすぎるのが難点。

 現在は『すらすら読める徒然草』(中野孝次著)を読んでいるが,『徒然草』に全く親しんで来なかったため難解で,何度も読み返さなければならないので遅々として進まず。


4月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:2613
ナイス数:40

あさきゆめみし(2) (講談社漫画文庫)あさきゆめみし(2) (講談社漫画文庫)感想
 葵祭とそれに続く葵の上の出産&死,紫の君の裳着の式,六条御息所の伊勢下り,桐壺院の崩御,藤壺の中宮の出家,朧月夜との密通,麗景殿の妹である橘の姫君,花散里との出会い,明石での謹慎と帰京,光る君の兄である朱雀帝の退位と冷泉帝の即位,六条御息所の死と娘の斎宮の入内(梅壺の女御),花散里のもとへ向かうはずが末摘花の家に辿り着く源氏の君。
読了日:04月03日 著者:大和 和紀

あさきゆめみし(3) (講談社漫画文庫)あさきゆめみし(3) (講談社漫画文庫)感想
 源氏の君は六条の御息所の娘をひきとり梅壷の女御として入内させる。明石の姫君は紫の上が育てることに。藤壺の女院の他界。夕霧の元服。花散里を母として九条の源氏の家で暮らすことになるが,身分や雲居の雁との恋愛に苦しむ。また紫の上を見てあまりの美しさに悩む。源氏の君の従姉妹の槿の君。彼女は源氏の君を心憎からず思っているが恋人にはならない筋が通った女性。夕顔の娘が源氏の君に発見される。父親に引き合わせることもせず養女にし,そのくせ言い寄る源氏の君…まじクソ男。源氏の君が実父と知った冷泉帝は梅壷の女御を中宮とする。
読了日:04月09日 著者:大和 和紀

あさきゆめみし(4) (講談社漫画文庫)あさきゆめみし(4) (講談社漫画文庫)感想
 玉鬘は結婚し幸せな家庭を築く。幼い頃からの約束を叶えた夕霧と雲居雁はこの物語全体で一番の感動シーンかも。明石の姫君は裳着を終え入内。明石の御方が実母と知る。朱雀院の出家を良いことに朧月夜を訪れる源氏の君だが,もう呆れる気にもならない。朱雀院の娘の三の宮を藤壺の宮の面影があるかもと受け入れたこともしかり。そのくせ出家したいと願う紫の上の願いは聞き入れない。紫の上は六条御息所の死霊に取り憑かれ生死を彷徨い,三の宮は柏木の子を身ごもる。三の宮に執着する柏木は藤壺の宮に執着する光る君とそっくりなのだった。
読了日:04月14日 著者:大和 和紀

あさきゆめみし(5) (講談社漫画文庫)あさきゆめみし(5) (講談社漫画文庫)感想
 六条の院は自分も同じ事をしたと自覚しながら柏木と三の宮を許せない。柏木は夕霧に六条の院への取りなしと二の宮のことを頼んでみまかる。二の宮を見舞ううちに今度は夕霧が二の宮に恋煩い。相手の迷惑も考えずに突き進む。思えば藤壺の宮も空蝉も玉鬘も三の宮も二の宮も望まないのに押し入られた相手に身を任せるしかなかった。当時の女性は男性に目をつけられたら逃れる手段がなかったのか。紫式部はそんな苦しみを背負って生きていく女性達を描きたかったのだろうか。「女はなにによって生きるよろこびを味わえるというのか」と紫の上。
読了日:04月16日 著者:大和 和紀

絵草紙 源氏物語 (角川文庫 (5594))絵草紙 源氏物語 (角川文庫 (5594))感想
 再読。初読は1996年。
 第一部『桐壺』〜『藤裏葉』,第二部『若菜上』〜『雲隠』を,各々の章2〜4ページほどの文章に豪華な浮世絵風のカラー挿絵を組み合わせ,絵草紙風に構成されている。一応『源氏物語』を知らなくても読めるようになっているが,登場人物が多く馴染めない古代の用語も出てくるため,原作の知識が多ければ多いほど楽しめる本だと思う。前回読んだ時よりも平安時代の知識が増えていた分だけ今回の方がより理解でき印象にも残った。
読了日:04月17日 著者:田辺 聖子

あさきゆめみし(6) (講談社漫画文庫)あさきゆめみし(6) (講談社漫画文庫)感想
 世間的には光源氏の子である柏木と朱雀帝女三の宮の息子,薰が主人公。薰は14歳〜26歳。薰と仲の良い匂宮は,今生天皇と明石の中宮の三の宮。次期春宮。子供の頃に慕っていた紫の上から二条院を譲り受け梅の木を見守っている。かつての光源氏と頭中将を彷彿とさせる美しい2人だが,薰は内省的,匂宮は一見派手だが真面目な若者。自分の出生に疑問を持っていた薰は,宇治で隠遁生活を送る桐壺帝八の宮と2人の娘,大君と中の君と知り合いになる。宇治の娘達に惹かれていく2人だが,匂宮は夕霧の六の君と,薰には今生帝二の宮との縁談が。
読了日:04月19日 著者:大和 和紀

あさきゆめみし(7) (講談社漫画文庫)あさきゆめみし(7) (講談社漫画文庫)感想
 中の君の母違いの妹,浮舟の物語。薰の大将に見つけ出されて保護された浮舟だったが,匂宮に見られてしまい,宇治に逃げたものの探し出されてしまう。感情にまかせて浮舟を自分のものにしようとする匂宮と,誠実に温かく世話をしてくれる薰の大将との間でどうすることもできない浮舟は死ぬしかないと思い詰める。浮舟がいなくなって,薰は大君の身代わりではなく浮舟という人を愛していたことに気づく。浮舟は出家し,薰との再会を拒否。薰は仏の道を目指して入った宇治の山で恋に迷った自分を見出し我に返る…。
読了日:04月21日 著者:大和 和紀


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