昼下がりの駅

 そぼろ雨降る土曜日の昼下がり。
 少し小降りになってくれないかと,しばらく駅で雨宿り。

 そもそも降りた人も少なくて,あっというまに駅から人気がなくなった。
 閑散とした構内だが,長い年月をかけて多くの人が行き来した駅独特の気配がある。天井や床,改札に入った年季に,かつて通り過ぎた多くの人が残した微かな痕跡のようなものが積もっている気がしてシャッターを切った。

 こういう,人が残した気配がヴェールのように堆積し醸し出す空気って何なのだろう。廃墟などに感じる切なさや愛おしさもこれに通じていると思う。年月が残した記憶の欠片が宿っているようだ。

 この駅の前には所謂「マンモス団地」がある。
 数多の人たちの人生が昔も今もこの駅に繋がっているのだ。

新高島平駅(2022-08-20)
新高島平駅(2022-08-20)
新高島平駅(2022-08-20)
新高島平駅(2022-08-20)

住宅地に降りる細い階段

 坂道が交差し,幾つもの小さな路地が集結するこのあたり。
 不忍通りは,神明坂という東西に延びる長い坂道になっている。

 その不忍通りの坂と並行して,住宅地の中の路地へ続く階段がある。
 気をつけないと見過ごしてしまいそうな,小さな階段だ。
 間口も狭い。

文京区本駒込(2022-08-11)
文京区本駒込(2022-08-11)


 階段の上から路地を眺めると,隣の不忍通りとは似ても似つかない下町風の路地が広がり,階段を降りる毎に世界が変わっていくような風情を感じる。

文京区本駒込(2022-08-11)
文京区本駒込(2022-08-11)
文京区本駒込(2022-08-11)
文京区本駒込(2022-08-11)
文京区本駒込(2022-08-11)
文京区本駒込(2022-08-11)

 地図中の赤い矢印がこの階段。

神明坂付近の地図
神明坂付近の地図