新緑の六義園にて

 枝垂れ桜の頃はあんなに大勢の人が訪れていた六義園は,注目される季節が終わった途端,秋の紅葉ライトアップまで静かになる。桜も紅葉も,この美しい新緑や寒さを耐える冬の姿を見てこそ心から感動できるものではないのだろうか。


花はさかりに、月はくまなきをのみ見るものかは。

徒然草 第百三十七段(吉田兼好)

 『徒然草』第百三十七段で兼好法師が書いたこの言葉の通りだ。令和の世になっても,人は盛りの花のみを好む。時代を経ても人間の本質とは変わらないものだ。

六義園(2023-04-23)
六義園(2023-04-23)
六義園(2023-04-23)
六義園(2023-04-23)

 目が覚めるような新緑は見る人の心を澄み渡らせてくれる。
 それほどに美しい。

 よく手入れされた六義園のクマザサが風になびいて波になる様子は「いとをかし」とはこのことだと思わされる。

六義園にてコミスジ(2023-04-23)
六義園にてコミスジ(2023-04-23)

 園内を歩いているとコミスジを見かけた。
 タテハチョウ科のコミスジは,滑空するような優雅な飛び方でひときわ目を引く。こんな出会いがあるのも嬉しい。

そめいよしの児童遊園 (2)

 桜模様の車止めを通り抜けて児童遊園の中へ入ってみる。
 遊具は小さな赤い乗り物が一つだけ。あとはベンチと水飲み場があるだけの簡素な公園だ。

 公園を取り囲むように桜の木が植えられ,「そめいよしの」と冠した名前には偽りがない。

そめいよしの児童遊園(2023-03-30)
そめいよしの児童遊園(2023-03-30)
そめいよしの児童遊園(2023-03-30)
そめいよしの児童遊園(2023-03-30)
そめいよしの児童遊園(2023-03-30)
そめいよしの児童遊園(2023-03-30)
そめいよしの児童遊園(2023-03-30)
そめいよしの児童遊園(2023-03-30)

 古びたベンチは公園の雰囲気に溶け込んでいて,ゆっくり座って桜を眺めるのに丁度良い。
 雪のような桜の花びらが地面を彩り,人気がない公園は風流に見えた。

そめいよしの児童遊園(2023-03-30)
そめいよしの児童遊園(2023-03-30)
そめいよしの児童遊園(2023-03-30)
そめいよしの児童遊園(2023-03-30)

 公園が位置するのは豊島区駒込だが,昔は「染井吉野町」だったのだろう。
 町会の掲示板には「染井よしの町会」と記されている。ウェブ検索すると町会のウェブサイトがヒットしたが,「ソメイヨシノ発祥の地」と書かれていた。

染井よしの町(2023-03-30)
染井よしの町(2023-03-30)
そめいよしの児童遊園マップ
そめいよしの児童遊園マップ

そめいよしの児童遊園 (1)