白い木立に白い月

 いつもの道を歩きながらふと見上げた空に白い月が浮いていた。
 冬枯れの木立と月の白さが,澄み渡る空の青と織りなすコントラスト。

 素朴な美しさに釘付けになった。

 なのに,空を見上げたまま私は此の場所をいったん通り過ぎた。
 すぐに後悔し,戻って来て撮ったのだった。

 丁度一月前のことだ。
 今はこの木にも新芽が吹いて風景が変わっていることだろう。

白い木立と白い月(2023-02-26 14:35)
白い木立と白い月(2023-02-26 14:35)

 通り過ぎたのに,戻って来てまで撮りたいと思うかどうか。
 とても微妙な心の機微で決まるのだと思う。
 季節が移った此の場所で同じく昼間の白い月を見かけたら,私は撮りたいと思うのだろうか?

夕暮れの巣鴨駅前

 巣鴨と言えば観光客は地蔵通り商店街の方へ向かう。
 なので,地蔵通り商店街とは逆方向のこちら側は休日でも人通りはそれほど多くない。この日は土曜日だったがこの通り。

 「巣一商店会」はJR巣鴨駅南口から都営三田線千石駅の方へ向かって白山通り沿いに文京区との区界まで伸びている。裏路地には趣ある小さな路面店が多く,街灯が灯り始めるこの時間帯はネオンや赤提灯に心が躍る風景だ。

夕暮れの巣鴨駅前(2023-03-04)
夕暮れの巣鴨駅前(2023-03-04)

 商店会の入り口で立ち止まり,ふと巣鴨駅の方を振り返ってみた。
 夕空が美しい。

 どこの街を歩いていても,この時間帯は郷愁や旅愁が誘われるものだ。

夕暮れの巣鴨駅前(2023-03-04)
夕暮れの巣鴨駅前(2023-03-04)