昔,関西に住んでいた頃,よく仕事で石川県に出張した。
行き先は小松市で,仕事の後で金沢まで足を伸ばし一人で金沢観光などしたこともあったが,能登半島は遠く,とてもじゃないが仕事のついでに簡単に行ける場所ではなかった。でも行ってみたかった。
あるとき富山に用事ができて,意を決して(それくらいの覚悟が要った)輪島まで足を伸ばすことにしたのだった。
頑張ったけれど,遠くて遠くて,輪島に到着したのはもう夕刻。
民宿に1泊して翌日にはもう帰らなければならなかった。
夕方だったけれど,兎にも角にも行ってみたのが朝市通り。
夕方とはいえ開いている店もあって,どうにかこうにか観光地的雰囲気を味わって歩くことができたのだった。
2000年8月。
この日から,もう四半世紀が過ぎている。風景も随分変わっていたことだろう。
けれど時代を変えて雰囲気は受け継がれていただろう。
能登半島を訪れたのはこの時一度限りだったが,かつて頑張って訪れて歩いた場所が火に包まれる様子はいたたまれなかった。
この時のカメラは,1999年11月発売のニコン「COOLPIX800」というデジカメ。
光学2倍ズーム211万画素のコンパクトデジカメで,とても良いカメラだった。私的には初期のデジカメ名機だと思う。
現代と比べれば撮った数も少ないし画質も良くないけれど,フィルムよりずっと気軽に沢山撮れたので,輪島の風景をこれだけ撮って帰れたのだと思う。
撮ったきりで忘れていた写真を見るきっかけが大災害であったことが悲しい。