四半世紀前の輪島朝市通り

 昔,関西に住んでいた頃,よく仕事で石川県に出張した。
 行き先は小松市で,仕事の後で金沢まで足を伸ばし一人で金沢観光などしたこともあったが,能登半島は遠く,とてもじゃないが仕事のついでに簡単に行ける場所ではなかった。でも行ってみたかった。

 あるとき富山に用事ができて,意を決して(それくらいの覚悟が要った)輪島まで足を伸ばすことにしたのだった。

 頑張ったけれど,遠くて遠くて,輪島に到着したのはもう夕刻。
 民宿に1泊して翌日にはもう帰らなければならなかった。

 夕方だったけれど,兎にも角にも行ってみたのが朝市通り。
 夕方とはいえ開いている店もあって,どうにかこうにか観光地的雰囲気を味わって歩くことができたのだった。

輪島市 朝市通り(2000-08-27 16:44)
輪島市 朝市通り(2000-08-27 16:44)

 2000年8月。
 この日から,もう四半世紀が過ぎている。風景も随分変わっていたことだろう。
 けれど時代を変えて雰囲気は受け継がれていただろう。

 能登半島を訪れたのはこの時一度限りだったが,かつて頑張って訪れて歩いた場所が火に包まれる様子はいたたまれなかった。

輪島市 朝市通り(2000-08-27 16:45)
輪島市 朝市通り(2000-08-27 16:45)
輪島市 朝市通り(2000-08-27 16:45)
輪島市 朝市通り(2000-08-27 16:45)
輪島市 朝市通り(2000-08-27 16:46)
輪島市 朝市通り(2000-08-27 16:46)
輪島市 朝市通り(2000-08-27 16:46)
輪島市 朝市通り(2000-08-27 16:46)
輪島市 朝市通り(2000-08-27 16:46)
輪島市 朝市通り(2000-08-27 16:46)
輪島市 朝市通り(2000-08-27 16:48)
輪島市 朝市通り(2000-08-27 16:48)
輪島市 朝市通り(2000-08-27 16:50)
輪島市 朝市通り(2000-08-27 16:50)

 この時のカメラは,1999年11月発売のニコン「COOLPIX800」というデジカメ。
 光学2倍ズーム211万画素のコンパクトデジカメで,とても良いカメラだった。私的には初期のデジカメ名機だと思う。
 現代と比べれば撮った数も少ないし画質も良くないけれど,フィルムよりずっと気軽に沢山撮れたので,輪島の風景をこれだけ撮って帰れたのだと思う。

 撮ったきりで忘れていた写真を見るきっかけが大災害であったことが悲しい。

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キューガーデンズの孔雀

 王立植物園キュー・ガーデンズの熱帯雨林温室パームハウス。
 ガイドブックでキュー・ガーデンズの紹介を見れば,大抵この温室の写真が載っている。言わばキュー・ガーデンズの顔とも言える施設だ。

 1848年に完成したこの温室は,船を逆さにしたようなデザインが特徴。ヴィクトリア朝様式のデザインで,熱帯雨林の環境を整えている。
 内部の熱を逃がさないように設計された美しいカーブを描くガラスの壁は,ハイドパークの設計で知られる建築家デシマス・バートン氏によるものらしい。
 とにかくとても絵になる温室だ。

キュー・ガーデンズ パーム・ハウス前(2008-05-23)
キュー・ガーデンズ パーム・ハウス前(2008-05-23)

 この堂々たる温室の前の道路のど真ん中に,1羽の孔雀が座り込んでいた。
 堂々たる様子で我が物顔の孔雀。おそらくここで飼われていて植物園内で好き勝手に過ごしているのだろう。

 珍しかったのでしばらく孔雀を眺めていた。
 すると,寛いだ様子だった孔雀はふとパーム・ハウスの方に視線を移し,おもむろに立ち上がってパーム・ハウスの庭から離れるように歩き始めた。丁度,小さな女の子2人とそのお母さん2人がこちらへ向かっており,どうやら孔雀は子供から逃げたかったらしい。

 案の定,孔雀を見つけた女の子たちは,怖々と,しかし興味津々といった感じで追いかけ始める。
 それに対し,孔雀は悠々とした様子で通路横のラベンダーの茂みの中へ入り込み,とことこ歩いて行ってしまった。孔雀は人が入れない場所をよく承知しているのだ。

 ちょっと面白い光景だった。