夏の名残

 夏というのは良くも悪くも強烈な季節だ。
 猛暑に参っては夏なんて永遠に来なくて良いと思うし,過ぎ去ろうとすればホッとしながらも一抹の寂しさを感じずに済ませるのは難しい。

 たぶん,どんなに暑さが辛かろうが,夏の風景は美しいのだ。
 青い空にダイナミックな積乱雲,暑さをものともせずに咲き誇る色鮮やかな花。

 猛暑に疲れクラクラしながら歩いていても,百日紅が咲いていれば救われた気分になる。向日葵が咲いていれば明るい気分になる。夏という激しい季節を謳歌する彼らの生命力が,ヒトにも伝わってくるのかもしれない。

百日紅(2023-09-05)
百日紅(2023-09-05)
向日葵(2023-09-06)
向日葵(2023-09-06)

 百日紅よ向日葵よ,一夏の元気をありがとう。

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清少納言パパを訪ねて —藤崎八旛宮

 藤崎八旛宮は熊本市域の総鎮守だ。
 国道3号線沿いに大きな石柱と石灯籠があり,楼門まで長い参道を歩く。

 清原元輔の歌碑は,楼門から本殿の方へ入らず,本殿を取り囲んだ赤い塀の外にある。
 幾つも並んだ摂社末社,石碑などの前を通り過ぎ,白川沿いに近い一番奥まで歩くと,ようやく歌碑があった。

藤崎八旛宮 清原元輔歌碑(2023-05-19)
藤崎八旛宮 清原元輔歌碑(2023-05-19)

清原元輔歌碑
元輔は寛和二年(九八六)京都から従五位上肥後守として着任し、永祚二年(九九〇)まで肥後の国府(現熊本市西区二本木)で政務を執った。ある年の正月、現在の藤崎台球場の地にあった藤崎宮で「子の日の松」の行事を催し、詠んだ歌にちなんで明治三十年、この歌碑が建てられた。元輔は三十六歌仙の一人で平安中期を代表する歌人であり、枕草子の作者、清少納言の父である。元輔を祀った清原神社は熊本市西区春日にある。書は藤崎宮社司 吉永千秋である。

藤崎の軒の巌に生ふる松
いま幾千代か子の日過ぐさむ

清原元輔歌碑の説明版

 「子日の松」は,正月の「子の日の遊び」の際に,長寿を祈って引き抜いて庭に植えたりする小松のこと。「子の日の遊び」は正月の最初の子日に,野に出て若菜摘みをしたり小松を引き抜いたり,歌を詠む宴を開いて長寿を祝ったりした行事だ。
 今の時代には縁遠くなってしまった行事だが,『源氏物語』などにも出てくる行事で,当時は普通に行われていたようだ。

藤崎八旛宮と清原元輔歌碑の地図
藤崎八旛宮と清原元輔歌碑の地図

藤崎八旛宮:熊本市の総鎮守と言われる藤崎八旛宮公式サイト

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