アニメ覚え書き(2020年1月~9月)

COVID-19の影響で特に春は放映されたアニメが少なかった。
その分,夏や秋にずれ込んで見たりした作品も多かった。
備忘録的に見たアニメの記録。

Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-

 言わずと知れた人気ゲームのアニメ化。
 ゲームをやっていないので一般教養と思って見た。
 人気キャラクターのマシュ・キリエライトとギルガメッシュを堪能でき,遠坂凛にそっくりなイシュタルや,藤ねえそっくりなタイガーマン等,古来の?Fateファンも楽しめる仕様。主人公の藤丸立香はゲームの主人公らしく空気だった。後半になって話の繰り返しのように感じて飽きてきた。ゲーム収入がたくさんあるためか,アニメのクオリティはめちゃ高かった。


Re:ゼロから始める異世界生活 新編集版
Re:ゼロから始める異世界生活 第2期

 2期を見はじめる前に思い出すために新編集版を見るという感じ。新編集版を見て思いだして,第2期を視聴。
 1期でほぼヒロインだったレムは2期では眠り続け,代わりにラムが活躍する。エミリアは残念なヒロインのまま。単なる道連れ商人かと思っていたオットーが意外と活躍するし,そもそも胡散臭いロズワールと不思議ちゃんベアトリスの謎が少しばかり明らかになる。嫉妬の魔女サテラに続き,強欲の魔女エキドナ,そして様々な魔女達が登場する。
 しかし物語は終わらない。ラノベは死ぬほど長そうで読む気になれないし,是非続きもアニメ化してほしい。


マギアレコード 魔法少女まどか マギカ外伝

 スマホゲームのアニメ化。
 ゲームをやっていない身としては,内容を広げすぎて主題が分かりにくく,キャラクターにも愛着を覚えにくく,別に途中で切るほどでもないけれど,もはや続きも気にならないなという気持ちで最後まで見た。
 まどマギが神アニメ過ぎるので比べてしまうのも悪いのだが,ワクワクドキドキがなさ過ぎだった。
 主人公の環いろはのCVが麻倉ももさん,指南役の大学生のお姉さん七海やちよのCVが雨宮天さんだったので,TrySailファンとしては声を楽しむ感じだった。


恋する小惑星

 冬アニメのきらら枠。
 高校時代を地学部命で過ごしたし,小惑星に名前もつけてもらった私としては,これは是非見ておかねばならないアニメだった。しかし,みらちゃんがウザすぎたし,最初から最後まで全体的に共感できなくて何かイマイチ>< 天文が題材だと見る目が厳しくなってしまうのでごめんなさい。


異世界かるてっと2

 2期に入って盾の勇者から3人が加わったものの,「かるてっと」が基本らしくお客さま的存在だった。主な面々は1期のまま。相変わらず面白かった。永遠に見ていたい。
 それにしても,カズマとアクアってこんな濃いキャラクターばかり集まっても目立つのね。すごい。


なつなぐ!

 熊本地震の復興プロモーションとして熊本県が制作したアニメ。自治体制作のアニメが,地上波で1クール放送するのは初めてだったそうで,熊本出身者として見ないわけにはいかない。
 舞台は熊本。メインキャストには熊本県出身者が起用され,よく知っている懐かしい風景に,懐かしい熊本弁。熊本が懐かしくない人にとってはどう見えるのか分からないが,私はそういったものを見られて楽しかった。
 千葉繁さんってうる星やつらのメガネの頃から知っているけれど,熊本出身だったのね。熊本にめっちゃいそうなおじさん役だった。


異種族レビュアーズ

 18禁アニメ? 異世界で性風俗店をめぐって女性達とのエッチ体験をもとに店のレビューをしている冒険者の男達の物語。多種族が住む異世界なので,レビュアーの男性も店の女性も様々な種族がいて,種族による違いが面白おかしく描かれている。内容がセックスなので抵抗ある人々には徹底的に問題視されそうだが,着眼点が面白く,なるほどなるほどと呆れ半分けっこう楽しく見た。異世界モノが満ちあふれる昨今の作品の中でも異彩を放っているのではないか。


痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。

 3話切り。続きが気にならなかったので。


映像研には手を出すな!

 アニメが大好き,設定画像をスケッチブックに描きまくってきた高校1年生の浅草みどりと,金勘定とプロデュース能力に異常に長けた金森さやか,カリスマモデルだがキャラクターを描くのが大好きなアニメーター志望の水先ツバメの三人が出会ったときに開ける世界とは。ワクワクする映像てんこもりなアニメだった。映画は現在上映中のようだが,あのワクワクする世界観を実写というのは凄いね。私はアニメが好きなので実写をわざわざ見に行こうとは思わないけれど,そこにはちょっと興味が沸く。


空挺ドラゴンズ

 原作は漫画。龍が空を飛ぶ世界で,龍を狩って生計を立てる空挺乗りの人々の物語。
 主人公は空挺乗りになったばかりの16歳の少女タキタだが,原作ではクィン・ザザ号一番の捕龍技術を持つミカが主人公らしい。クィン・ザザのクルーは男性も女性もキャラが立っていて生き生きしていて,登場人物が多くても気にならず楽しめた。アニメの放映当時,原作の2巻がKindleで無料になっていたので読んでみたが,原作そのままのアニメ化で,どちらを先に見ても違和感がない感じだった。続きをコミックで読んでも良いと思う。


ネコぱら

 意図せずいつのまにか1話切り。


ギャルと恐竜

 ギャルが酔った勢いで連れて帰ってしまった恐竜と同居生活を始める話。アニメパートと実写パートに分かれ,各々で微妙に異なる話が展開されており,また世界の謎がありそうで,先は気になる。ギャルの部屋がなかなかファンシーでミニチュアハウスにしたい感じだ。
 COVID-19の影響で第7話で切れてしまったが,続きも放映されるようで楽しみ。


とある科学の超電磁砲T(第3期)

 とある魔術シリーズが死ぬほどわけわからない物語になりさがってしまったし,とある科学は魔術より分かりやすいと思うけれど,それでも第2期から時間も経っていて色々忘れている。見てわかるだろうかと思ったが,意外と何とかなった。
 美琴に黒子,初春に佐天の4人がメインであることには違いないし,一応学友達が中心に活躍する。いつの間にか婚后さんが美琴の凄く良い友達になっていたが,そうだっけ? 敵対していたような気がする食蜂さんとの絡みが多く,食蜂に愛着が湧く物語になっていた。最後まで見て後味も悪くなかったし,2期との間が空きすぎていなかったらもっと楽しめたかもしれない。


推しが武道館いってくれたら死ぬ

 岡山市を舞台とする地下アイドルグループと彼女らを推すアニメオタクの物語。既刊コミックを全て読んでいて面白かったので,アニメをどうしても見たくてTBSの配信を1ヶ月間だけ契約して見た。テレビ持ってないし!
 当然だがオタクにも色々なタイプがいることや,アイドル側の様々な事情や気持ち,グループ内での関係や他のアイドルグループとの繋がりなど,一々知らない世界の物語で興味深い。
 エンディングのえりぴよさんが歌う《桃色片想い》が素晴らしく,最終回ではえりぴよと舞菜のデュエットになっていて泣きそうになった。


かくしごと

 絶望先生の久米田康治氏の原作ということで面白いこと決定のような作品だったが,勿論期待は裏切られなかった。原作の終了に合わせたアニメ化だったようで,12話で美しく終わった。
 「描く仕事」を娘に隠し続けたお父さん。エンディングのわたせせいぞう風タッチのアニメーションと《君は天然色》は過去の幸せと今の幸せを描いたこの作品によく似合っていた。
 名言が多いのでコミックを読むと,より良く世界観を楽しめるのだろうなと思う。


本好きの下剋上 -司書になるためには手段を選んでいられません- 2期

 神殿の部。だが原作第二部の途中までだった。
 原作を最後まで読んだあとに見ると,めちゃくちゃ序盤で,まだプロローグくらいだし,内容は超絶あらすじ紹介。マインの性格がウザすぎるので動くマインは比較的どうでもよくて,街や部屋の様子が映像で見られるのを楽しんでいる。貴族社会に入ってからが面白いので,この先も是非アニメ化してほしい。


乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…

 知らなかったが,悪役令嬢というのは一つのジャンルとして確立するほど作品が多い分野らしい。
 中でも人気作品ということで,よく知らずに見はじめたが,第1話から面白かった。表題通りで,乙女ゲーで主人公の敵対役として最後には追放されるか殺されるかの結末を迎える悪役の令嬢に生まれ変わってしまったカタリナが,破滅を逃れるためにあの手この手で頑張る物語。
 大局的にはカタリナを中心に出来上がった仲間たちの青春ストーリーという感じ。
 スピンオフの『絶体絶命破滅寸前編』も面白そうだ。魔法学園でマリアをいじめている最中の15歳で頭を強打し前世の記憶を取り戻すが,破滅フラグ(死亡or国外追放)まで残り1年もない!?


攻殻機動隊 SAC_2045

 Netflix配信のWebアニメ。フル3DCGアニメーションで,昔の攻殻機動隊とは随分とキャラデザインも異なる。
 素子達はアメリカ西海岸で活躍中ヤバイ事件に巻き込まれる。一人9課から離れて就職したトグサは荒巻の指示で素子達を探しに向かう。9課の再編への物語。


アルテ

 原作は全巻既読なので,ほぼ動くアルテと世界を見るためのアニメだった。
 原作はまだまだ続いていて,物語が向かう方向もよくわからないので,作品紹介的なアニメに思えた。


新サクラ大戦

 3話切り。残念ながら元祖サクラ大戦に比べたら惹かれるものがなくて,すみれさんくらいしか見所を感じなかったし,続きも気にならなかったので,何となく見なくなってしまった。あやねるのウザキャラは相変わらず素晴らしいとは思った。


富豪刑事 Balance:UNLIMITED

 筒井康隆原作,面白くないはずがない。ひたすらスタイリッシュで小気味よかった。
 この春のアニメの多くのようにCOVID-19の影響で第3話以降中断し,秋になって続きが放映された。
 最初は緩い話が多かったが,後半が怒濤の展開で,殺しや警察の闇などが次々と出てきてドラマの仕立ても良かった。延々と続けられそうな刑事ものだが,綺麗に終了したところも良かった。


波よ聞いてくれ

 原作は『月刊アフタヌーン』。北海道を舞台に突然ラジオパーソナリティをすることになった,すすきのスープカレー屋店員,鼓田ミナレ。北海道のことをほとんど知らないので物珍しかったのと,ラジオの世界のことも全く知らないので興味深かった。


プリンセスコネクト!Re:Dive

 ソシャゲ原作で,よくある美少女ハーレムっぽくはあったし,美少女世界が既に飽和状態なので,その美少女達もどこかで見たことがあるような気がしてしまうのだが,女の子達がキャラが立っていたし,意外と引き込まれて見てしまった。キャルちゃんのその後が気になる。ペコリーヌもコッコロも可愛い。
 『シドニアの騎士』に並ぶおにぎり推しアニメ。


放課後ていぼう日誌

 部活動で釣をたしなむ女子高校生達の物語。舞台は臼州地方熊元県芦方町ということになっているが,ほぼ現実の熊本県芦北町(熊本市からもの凄く遠いので私は数回通ったことがある程度だが風景は思い浮かぶ)。一年の間に熊本を舞台にしたアニメが2つも放映されるとか,かつてなかったのではないか?!
 釣のことは全く知らないので,啓蒙されっぱなしだった。良いアニメだった。
 ていぼう部の4人の少女達はみんな凄く良い子で,ストレスなく見られた。熊本県出身の声優さんだけが熊本弁を喋るスタイルも凄く良かったと思う。下手な九州弁を聞かされると気になってしまって物語に入り込めないし,現実には熊本弁を喋らない人もいると思う(私がそうだった。母が他所の出身だったので喋れなかった。)
 陽渚ちゃんが作っていたお魚のマスコット,私も作ってみたい。


彼女、お借りします

 原作コミックは1巻だけ読んだことがあるのだが,主人公の男がクソ過ぎるので続きを読む気になれず放置していたし,あのダメ男を見るとストレスがたまりそうと思って気が進まずにいたのだが,意外と人気のようだったので,一応見ておくことにした。
 まぁアニメになったところで,主人公の男がクソであることには変わりなく,主人公の元カノがダーク過ぎるし,主人公の彼女になりたくてつきまとうるかちゃんがウザすぎるし,やっぱ少々ストレスだった。千鶴さんはかわいい。このダメ男とくっつかないで欲しい><


デカダンス

 オリジナルアニメ。面白かったしよくできたSFアニメだった。
 人類は謎の怪物ガドルに生存を脅かされ,デカダンスという移動要塞の中に住んでいる。しかしそれは作られた世界だった。父親がガドルに殺された少女ナツメと,彼女が弟子入りした装甲修理人のカブラギが世界を変えていく物語。


宇崎ちゃんは遊びたい!

 巨乳が目印の?宇崎花が,高校時代の先輩,桜井君にちょっかいを出して一緒に健全に遊ぶ物語。原作のコミックが一時期「こんな胸の大きな女性はいない」とか何とか難癖つけられて叩かれて可愛そうだったので気にしていたのだが,アニメ化されたので見てみた。宇崎ちゃんは確かに非常に巨乳だが,それくらい胸が大きな女性は確かに存在するし,あの胸は女性でも気になりそうなので,年頃の男性が気になることに文句をつけても仕方がない気がする。物語は面白かったし,宇崎ちゃんはウザいけど良い子だし,先輩も普通に楽しそうに遊んでいるのだから,良きラブコメとして楽しめば良い作品なのでは? 実際面白かったし,毎回見るのは楽しみだった。


機動戦士ガンダム サンダーボルト

 2016年に第1シーズン全4話,2017年に第2シーズン全4話が制作されたOVA。Netflixで視聴。
 舞台は一年戦争で,ホワイトベースのような特別な人たちではなく,新人パイロットがほぼ使い捨てのように死にに行くような場所での物語。連邦側は幼なじみの三人,コクピットでいつもジャズを聴いているパイロットのイオ,エリートで空母ビーハイヴ艦長代理を務めるクローディア,メカニックのカカが中核的登場人物。ジオン軍ではスナイパーのダリル・ローレンツ,優秀な女性技官のカーラなど。大人が主人公の大人のガンダム。
 ジャズの音楽がとても良かった。アルバムが欲しい。


鬼滅の刃

 アニメ放映は2019年4月からの2クール。当時は1話切りしたのだったが,あまりの人気で一般教養かもしれないと思って,dアニメストアにて改めて見てみた。なるほど,この続きが今話題の映画というわけだ。
 面白く見たのは確かだが,空前絶後の人気ぶりになっているほど群を抜いて面白かったかと聞かれれば,普通に少年漫画っぽく面白かった,程度かなと…。
 炭治郎は直向きで明るくて澄み切っていて良い子だし,禰豆子は美人で健気だ。しかし登場人物の全てが死ぬほどキャラが立っていて,私はちょっと疲れたのだった。一番好きだったのは冨岡さんかな。

アルプスの少女ハイジ

アニメの概要

アニメ『アルプスの少女ハイジ』が放映されたのは1974年。
世界名作劇場の6作目で、
「カルピスまんが劇場」と称した最初の作品群の最後の作品だ。

・どろろと百鬼丸 (1969年4月~9月 全26話)
・ムーミン (1969年10月~1970年12月 全65話)
・アンデルセン物語 (1971年1月~12月 全52話)
・ムーミン(新)(1972年1月~12月 全52話)
・山ねずみロッキーチャック (1973年1月~12月 全52話)
・アルプスの少女ハイジ (1974年1~12月 全52話)

全52話。
作品企画は瑞鷹エンタープライズ。
「アルプスの少女ハイジ」のほか
当時の人気アニメ「小さなバイキングビッケ」や
「みつばちマーヤの冒険」などを手がけた会社だ。
場面設定・画面構成に宮崎駿氏が名を連ねている。

視聴の経緯

私はハイジを小学生の頃にリアルタイムで見た。
おそらくこの作品が好きだったのだろう。
中学生になってヨハンナ・スピリの原作を新潮文庫で読んだ。

だが今改めて考えてみると、物語の内容をよく覚えていない。
今の私はハイジが好きだろうか?

子供の頃に親しんだ作品を大人になって読むと
視点が変わり、感想が悉く変わって興味深いものだ。
今の私はロッテンマイヤーさんをどう思うだろう。
おじいさんをどう思うだろう。
そういう興味を抱いて見てみることにした。

幸い、オンデマンドで全話配信されている。
昔のアニメを見るのも楽になってありがたいことだ。

アニメの全体的な印象

街と自然の描写

さて、見終わっての感想だ。
スイスの街,マイエンフェルトやデルフリ村の風景は
取材してしっかりと描かれていたと思う。
街の広場や窓辺のゼラニウム、
山の動植物の姿もリアルに描き込まれている。
有名な?チーズが乗った黒パンは本当に美味しそう!

アニメを見ていた小学生の私は、
きっと19世紀のスイスの田舎生活に
すんなりと入って行けたことだろう。

山と自然を愛する孤高のおじいさんは
詩人のような感性を持っている。

この山小屋は王様の住むお城なのだ。
風は悪戯坊主で窓をガタガタ叩くが、
あれは城の王へのご挨拶だ。
慣れるとけっこういい話し相手になる。
雨の日はしんみり物を考えるにはもってこい。
人間そんな日が必要なのだ。

アルプスの少女ハイジ 第2話

夕陽に染まるアルプスの山々は燃えるようなオレンジ色に染まり、
やがて薔薇色に変わり、色を失う。
「どうして?」と尋ねるハイジにおじいさんは答える。

太陽は山々にお休みを言う時には、
また明日来るまで忘れてもらわないようにと思って,
自分の一番美しい光を投げてやるのだ。

アルプスの少女ハイジ 第3話

子供に自然の美しさを啓蒙するには素晴らしいアニメだ。
ペーターの言う「大角の旦那」はシュタインボックで、
アルプスの高山にしかいない野生のヤギ。
かわいいの」はアルプスマーモットで、
体長50cmほどの大型のジリスだ。
美しさばかりではない、山の厳しさも描かれている。
雪崩や嵐の描写にも感心させられた。

人物への感想

だが、物語が進むにつれ、
おじいさんはデルフリ村の人々の評価通り偏屈者で、
嫌われて当然な態度で村人に接していることがわかる。
ハイジがおじいさん同様に酷い頑固者だということも。

ハイジは周囲の迷惑など全く考慮せず、
思ったことは何が何でも実行しようとする。
基本的におじいさん以外の人の言うことは聞かないので、
ペーターはハイジに振り回されっぱなし。
それでもハイジに優しいペーターは心の広い子供に思えた。

どうしても見過ごせなかったのは、
おじいさんがハイジに非常に甘いこと。

仲良しの子ヤギのユキちゃんが売られると知ったハイジは、
他所の家のヤギであるユキちゃんを勝手に自分の家に匿う。
それって窃盗行為ではないか!?
なのにおじいさんはそんなハイジを叱らなかった。
ユキを迎えに来たユキの主人に対しても、
謝るどころか上から目線で馬鹿者呼ばわり。
あまりにも不条理では? 子供の躾としてどうなの?

これを見て小学生の私は
ハイジとおじいさんを酷いと思わなかったのだろうか?
正統な権利を行使しているだけのユキの主人を
気の毒に思わなかったのだろうか?
制作者はこの場面で何を伝えたかったのだろう。
ユキを想う優しいハイジとおじいさん?
非常に胸くそ悪いエピソードだった。

ハイジのこと「優しい子」と呼び
心の支えのように可愛がるペーターのおばあさん
小学生の私はこのおばあさんに同情していたのかもしれない。
が、今回の視聴で私はこのおばあさんが嫌いだった。

「ハイジを連れていかないでおくれ」って、そればかり。
彼女は、可愛いハイジが
自分を訪ねてくれなくなることだけが心配なのだ。
何て利己的なのだろう。

ゼーゼマン家の人々に対しては比較的好印象だった。

クララはキチンと躾けられており、良い子だ。
お金持ちの我が儘お嬢様ではない。
ハイジが山へ帰ってしまうことを恐れていたが
彼女の生い立ちを思えば当然だろう。
しかしそれも受け入れる。

子供達の嫌われ者ロッテンマイヤーさん
確かにハイジには異常に厳しく、杓子定規で融通が利かない性格だ。
だが、彼女は心からクララを愛している。
クララを連れてアルムの山へやってきた彼女が、
慣れない山道を毎日歩いて山小屋へ通う姿には心打たれる。

アニメでは山への認識が甘い彼女をコミカルに描いていたが、
彼女のその行動には並々ならぬ精神力が要った筈だ。
なかなかできることではない。
全てはクララお嬢様を思うが故なのだ。
このような大人の心は小学生の頃には理解できなかった。

最終回、フランクフルトのゼーゼマン家で。
クララの歩行練習に付き沿うロッテンマイヤーさんの
愛情溢れた優しい瞳に、思わず目頭が熱くなった。

ゼーゼマン氏は非常に話のわかる優しい紳士だし、
ゼーゼマンのおばあさまも教養があり
年配者として尊敬されるだけの人格を備えている。
召使いのセバスチャンは優しく親しみの持てるおじさんだ。

最後まで利己的だったハイジ

この物語でもっとも感動的シーンとして有名なのは、
クララが初めて立って歩く場面だろう。
きっと子供の頃の私は、感動を持って見たのだと思う。

しかし、今回は今ひとつスッキリしない気分だった。
まずハイジの態度が酷い。
自分の願望をクララに押しつけ癇癪を起こす。
ハイジの辛抱のなさと思いやりのなさに
見ていて大変ストレスだった。

子供の頃の私は、
これをハイジの優しさだと思って見ていたのだろうか。
ハイジが言うように
クララのことを「意気地無し」と思ったのだろうか?

ハイジの言動は目に余るが、
クララに対するおじいさんの態度は優しく真摯だ。
偏屈者と悪評高く、
デリフリ村の人達に横柄な態度で接する人には見えない。
おじいさんがいなければ、
クララが歩くことはなかっただろう。

最終的な私のハイジへの評価は、
自分の願望に支配された利己的な少女。
可愛らしいとは思えなかったのだった。

ハイジの名前

ハイジはロッテンマイヤーさんに「アーデルハイド」と呼ばれる。
正式名=洗礼名できちんと呼ぶのが良家の作法なのだろう。

アーデルハイド(アーデルハイト)はドイツ語圏の女性の名。
「Adelheid」と書き、「adel=高貴な」「heit=姿形」を意味する。
後半の「ハイト」の部分が「ハイジ」という愛称になる。

ドイツ語では「ハイジ」より「ハイディ」に近い音になるようだ。

総括

そういうわけで、予想通り。
小学生の私が好きだった「アルプスの少女ハイジ」は 、
大人の私には「ウザくて躾が悪いガキに我慢するアニメ」だった。
昔も今も私にとって同じようにすんなり受け入れられたのは
アルプスの自然と街の風景、
そして、とろりチーズの黒パンが美味しそうなことだった。