アニメ覚え書き(2021年4月~6月)

旧作も含めこの期間に見終わったアニメの備忘録。

Dr.STONE

 第1期 2019年7月~12月 全24話
 第2期 2021年1月~3月 全11話
 『週刊少年ジャンプ』原作ということで,絵柄も内容も見事なまでの少年漫画。ツッコミ所満載で兎に角暑苦しいのだが,少年に科学の楽しさを教える良い作品ではないだろうか。


カウボーイビバップ

 1998年4月~1998年6月
 1998年10月~1999年4月放映。
 全26話で制作はガンダムやケロロ軍曹などのサンライズ。テラフォーミング時代の宇宙を舞台にした西部劇で,2000年に星雲賞メディア部門を受賞している。
 しかし,舞台が宇宙というだけでSFと呼ぶにはサイエンス要素はほとんどなかった。惑星間移動やテラフォーミングなどの科学的根拠は無視して,ちょっと憂愁漂う西部劇ドンパチを雰囲気で楽しむ,アメリカ受けしそう(偏見)な作品だった。実際アメリカでは大人気らしいのでアメリカ受けを狙ったのだろうか。でも星雲賞受賞だし,その後のアニメ界への影響もありそうだし,別につまらないわけではないので,一度見ておくと良い作品ではあると思う。劇場版もあるが,そこまで見なくてもいいかな。


戦闘員、派遣します!

 2021年4月~6月放映。
 『このすば』の作者,暁なつめ氏の昔の作品ということで期待の作品だったのだが,期待を裏切らず全く以て見事なまでの下衆で,ここまで下衆だと批判するのもばかばかしいレベルなので大変面白かった。悪の組織の「悪行ポイント」は斬新である。主人公のちょっと小物で悪者に徹しきれないところは『このすば』の和真とよく似ており暁さんは愛すべき下衆野郎を作るのが最高に上手だなと思った。良きエンターテイメントであった。


ドラゴン、家を買う。

 2021年4月~6月放映。
 原作は漫画。『月刊コミックガーデン』で連載中。気が弱くて優しいドラゴンと,魔王という肩書きを持つものの魔王の仕事には興味がなく不動産屋をしているエルフが家を捜して旅をする物語。「勇者」なるものの理不尽さなど感じつつ,すごく緩い日常系。しかし最後にはマイホームを手に入れて欲しかった。


Vivy -Fluorite Eye’s Song-

 2021年4月~6月放映。
 長月達平&梅原英司原案,WIT STUDIO制作のオリジナルアニメ。
 AIの反乱という使い古されたネタを主題に,どこまでオリジナリティ溢れる作品になるか見物だと思いながら見はじめた。
 この作品では,未来に起こるAI反乱を回避するために100年の旅をするAI歌姫の奮闘が描かれる。面白く見ていたし,「心を込めて」歌って人を幸せにするために生まれてきたAIの物語だけあって,作中の歌もなかなか良かった。アルバム『Vivy -Fluorite Eye’s Song- Vocal Collection~Sing for Your Smile~』が発売されており,これは大変気に入って連日聞いている。ただ,最後は今ひとつ納得できないまま,雰囲気だけで終わった感があって残念だった。「ループ」はそれが主題でない限り反則に思えてちょっと萎えるのである。


呪術廻戦

 2020年10月~2021年3月放映。
 人気アニメのようだったので少し遅れてNetflixにて視聴。人ならざる者たちと戦う『東京都立呪術高等専門学校』の高校生達の物語。主人公の虎杖悠仁(いたどりゆうじ)をはじめ,登場人物達が悉く魅力的でキャラが立っていてすぐに物語に入り込めたし先が気になってどんどん見てしまった。続きもTV版でアニメ化して欲しい。


転生したらスライムだった件 転スラ日記

 2021年4月~6月放映。
 極限の日常系。緩すぎてちょっとくだびれた。転スラは登場人物が多いので,時間を開けて視聴すると登場人物の名前を忘れていて辛い。ファン向けだと思う。


ゾンビランドサガ リベンジ

 2021年4月~6月放映。
 謎が少しずつ掘り下げられていった感じ。だがゾンビの秘密はもちろん,幸太郎(乾くん)と長い時を生きてきたマスターとの関係なども未だ分からない。思っていた以上に物語は土地に深く根ざしている。ゆうぎりは謎な存在だったが,佐賀事変そう来たか!という感じ。単に地方で廃れていた佐賀を救うなどということよりも,もっと深く歴史に根ざした過去と未来を繋ぐ佐賀の救済の物語なのかもしれない。続きも作って納得のいくエンディングを迎えて欲しいと思う。


ひげを剃る。そして女子高生を拾う。

 2021年4月~6月放映。
 問題作。現代社会の法の目では救われない立場にいる女子高校生が居場所を獲得して未来を切り開く物語。だが,おそらくかなり賛否両論がある作品だと思う。女子高校生を拾って同居するというのは例えどんなに親切心で何の性的関係がなくても犯罪にされるのが現代の日本社会だ。許せない人は徹底的に許せないだろう。しかし心が壊れそうなくらい家庭内で傷付いて居場所がない子どもに救いの手を差し伸べることが犯罪なのだろうか。公的機関も家族も友人も彼女を救うことはできないのに? 考えさせられた。
 しかし第12話で終わっておけば良かったのに,第13話が蛇足過ぎて残念だった。

劇場版 冴えない彼女の育てかた Fine

 公開 2020年9月23日。
 配信で見られるようになっていたので見てみた。まぁ概ね知っている話なので改めての感想はないのだが,最後の東京ラブストーリーはちょっと楽しかった。詩羽お似合いだった。こうしてみんな大人になりました。そして夢を追ってずっと幸せに暮らしました。そんな感じのエンドだった。


フルーツバスケット

 1st season 全25話 2019年4月~9月
 2nd season 全25話 2020年4月~9月
 The Final 全13話 2021年4月~6月
 原作は『花とゆめ』。2001年にまだ原作が完結していない頃に一度アニメ化されていた作品だが,3年に渡る全63話の大作として改めて作り直された。
 十二支を主題に,十二支に取り付かれた草摩の一族と主人公の本田透の関わりが描かれる。透は,実に真っ直ぐで心が広く優しく謙虚で温かく,カケラほどの嫌みもない女性。様々な物語を思い浮かべても,透と並ぶほどの人格の持ち主は『風と共に去りぬ』のメラニーくらいしか思い付かない。彼女がどんな方法で周囲の人たちの心を解かし,呪いに挑んでいくのか興味深く見ていった。ずっと心に残る作品になると思う。


聖女の魔力は万能です

 2021年4月~6月放映。
 「小説家になろう」原作で,ナーロッパ(剣と魔法のファンタジーRPG風異世界)舞台の召喚ものファンタジー。
 その名の通り聖女として召喚された日本女性が万能の魔力で活躍する物語。逆ハーレムものというのか?彼女の周囲はイケメン揃い。みんな良い人ばかり! 心疲れた時に見るアニメかな。常に予想通りの展開で特に意外性もなかったけれど,面白くはあったので続きがあるのなら見ようかと思う。


やくならマグカップも(第1期)

 2021年4月~6月放映。
 岐阜県多治見市を舞台に部活で焼き物を作る高校生たちの物語。美嚢焼がテーマ。主人公の豊川姫乃の祖母役を演じる声優さん(真山亜子さん)が岐阜県出身で,本格的な岐阜訛りが効いていた。アニメの後半は実写パートで現地の観光案内などが充実。確かにちょっと陶芸に興味を感じた。2期が決定しているらしい。


86-エイティシックス-

 2021年4月~6月放映。
 原作はラノベ(電撃文庫)。
 主に描かれていたのは16歳で少佐となったエリートのヴラディレーナ・ミリーゼと,彼女が指揮する防衛戦隊「スピアヘッド」のメンバーたちとの交流。スピアヘッドの隊長,アンダテイカーことシンエイ・ノウゼンとミリーゼ少佐のやりとりで世界観が少しずつ明らかになっていく。
 彼らが属する国はサンマグノリア共和国。敵はギアーデ帝国の完全自立無人戦闘機械レギオン。
 物語は面白そうだったが,世界観もまだよく分からないままの序章でアニメは終わってしまったという感じ。せめて2クールでやってほしかった。続きは作られるのか?


スーパーカブ

 2021年4月~6月放映。
 原作は「カクヨム」のラノベ。
 自転車通学をしていた一人暮らしの女子高校生が,ある日スーパーカブを買って通学するようになる。スーパーカブをひたすら愛でているうちに同じくカブに乗る同級生と仲良くなり,世界が広がっていく。主人公の小熊が実に愛想がなくて可愛くない性格だが,媚びてないところが良い。舞台は山梨県北杜市でリアルな風景も綺麗だった。「それないわー」と思う箇所は少しばかりあったが,スーパーカブという乗り物に興味を抱くには十分だった。


SSSS.DYNAZENON

 2021年4月~6月放映。
 グリッドマンに続く円谷プロダクションの完全オリジナルアニメ。
 どこに向かって行く物語なのかサッパリわからない感じで進んでいったが,登場人物達が面白かったので,この人たちがやってることを見るのが楽しいという気持ちで意外と退屈せずに見てしまった。ただ,最後まで見ても雰囲気重視で理屈がよくわからないままだったので,そこが少しひっかかった。


イジらないで、長瀞さん

 2021年4月~6月放映。
 原作はpixiv出身『マガジンポケット』連載中の漫画。印象としては『からかい上手の高木さん』のハード版。
 長瀞さんはかなりウザくて酷い。嫌いな人は耐えられないのではと思う。が,タイミング良くすっごく可愛い場面が出てきたりするし,先輩の方もだんだんまんざらでもなさそうになっていくので,後半は気にならなくなっていった。最後はリア充爆発しろ的なラブコメ。


シャドーハウス

 2021年4月~6月放映。
 原作は漫画で『週刊ヤングジャンプ』で連載中のダークファンタジー。不思議な洋館シャドーハウスで暮らす影のように真っ黒な「シャドー」一族と,その顔を務める「生き人形」の物語。
 物語の世界観が明らかになったところで終わってしまって本当に残念。美しく丁寧に作ってあったし,登場人物一人一人の性格も把握したところだったので,是非とも続きを作って欲しいと思う。

今、会いにゆきます

概要

  • 小説著者:市川拓司(2003年/小学館)
  • 映画公開:2004年10月30日(監督:土井裕泰/主演:竹内結子・中村獅童)
  • DVD発売:‏2005年6月24日(1時間58分)

市川拓司の原作小説を竹内結子と中村獅童共演で映画化した純愛ドラマ。妻に先立たれ息子と暮らす巧の前に、1年前に亡くなったはずの妻・澪が現われる。だが、記憶を失っていた澪との幸せな共同生活は雨の季節が過ぎ去ると共に終わりを告げる。

「キネマ旬報社」データベースより

 恋愛×ファンタジーの小説をベースに映画化された作品で,テレビドラマやコミックにメディア展開されている。主題歌の ORANGE RANGE 《花》は,オリコン初登場で1位,通算4週1位を獲得するヒットになった。

 涙なくして見られない,そして最後には,大切な人との限りある時間の大切さを思い知ることになるだろう。


感想など

 毎年6月に一人で見ることにしている。
 最初は単にやたらと友人に勧められDVDを贈られたので見たのだった。

 まず作中の風景が素敵だ。池の畔の畦道や森の中の廃工場,温かみがある可愛らしい診療所や,地方都市商店街の街並み等々。また作品中の1990年代,1980年代の時代背景がよく描かれている。その時代を知っている私にもすんなり入り込める細やかさだ。

時代背景

 映画の冒頭場面を2004年とすると,その時
  巧=41歳,佑司=18歳

 佑司の回想場面の雨の季節は,2004-12=1992年で,
  巧=29歳,佑司=6歳,澪=20歳

 すると,澪が20歳だった9年前は1992-9=1983年。
 従って,澪と巧は1963年生まれ。高校卒業は1982年春だ。

 1~2年のずれはあると思うが,だいたいこんな時代になると思う。

 高校時代の澪の眼鏡や帽子は,1980年前後によく見られたものだ。
 大学生になった澪が,巧から電話をもらった日に自室で着ていたセーターも当時よく見られたデザイン。

 また,大学時代の澪や巧が使った公衆電話は1980年代前半のもの。丁度、100円玉が使える黄色い公衆電話と,テレフォンカードが使える緑の公衆電話が混在する時代だった。

 タイムスリップして未来の1992年に現れた澪が着ていた白いワンピースのベルトのバックル,自分の時代(1983年)に戻った澪が履いているサンダルや街角の人々の服装。これらも1980年代前半のものだ。

 巧が東京へ向かう高速バスの中で煙草を吸っている男性がいるが,喫煙が当然だった当時では至って普通の風景だった。

 ほぼ同じ時代に高校と大学を過ごした私には,風景から服装まで懐かしすぎる風景だ。おかげで,自分の過去を振り返り現在を想うには最適な映画になってしまった。

ハンドメイドが溢れる家

 澪と巧の住む平屋建ての家が,とても懐かしく温かみがある雰囲気だ。

 緑に囲まれ,古びた硝子窓に優しいカーテンがかかり,手作りキルトのクロスがかけられたテーブルの上には,ステンドグラス風のペンダントライト。
 壁に飾られた写真フレームにも,キッチンの湯沸かし器にもオリジナルの絵が描かれ,縁側の前の庭にはヒマワリが揺れる。

 高校生の頃から絵を描くのが好きだった澪は,オリジナリティ溢れる独特の世界で家の中を作り上げている。
 澪はいなくなっても,家の中には常に彼女の面影が溢れかえっているのだ。
 大切な人との限りある時間を,彼女が愛し尽くしたことが感じられる。

私の幸せはあなたなのよ。

今、会いにゆきます


 そう言い切る澪。
 自分の周囲にいてくれる人たちに対するそういう気持ちを忘れずに,来年の6月までまた生きてゆこうと毎年この映画を見て思う。

突っ込みたくなる色々(ネタバレです!)

 毎年見ている私だが,この映画,けっこうツッコミ所が満載だと思う。
 正直言って「それどうなのよ!?」と思う場面も多々。
 既に15回以上見ていて毎回気持ちが引っかかってしまうので,自分の精神衛生のために幾つか突っ込んでおこうと思う。


 冒頭のケーキ屋さん。
 今日で店を閉めるからって,何故そんな朝早くから配達するかな? 意味分からない。挨拶回り? 当日にしないよね。


 澪が,巧の同僚である永瀬さんに会う場面。
 兎にも角にも,澪の言動が酷すぎる。

 彼女らは,澪の生前,特に親しかったわけではなさそう。しかも澪は死んでいる。
 なのに澪は永瀬さんを呼び出し,いきなり「とにかく私のお願い聞いてくれますか。お願い。お願いします。」と,深刻そうに頭を下げる。これだけでも永瀬さんからすれば意味不明だし,なにより凄い恐怖だろう。
 恐怖と動揺で「わかりました」と言う以外に選択肢がないではないか?

 しかもお願いの内容が酷すぎる。
 「巧と佑司のことお願いできませんか。」
 巧に好意を寄せる彼女に後を託すのかと思いきや,いったそばから「巧が他の誰かを愛するなんて嫌,ごめんなさい,忘れて下さい」??
 自分が消えた後の彼女の行動を縛り牽制するために,わざわざ呼び出したのですか。

 あぁ永瀬さん,幸せになって下さい。

 これだけでも酷いのに,この後さらに,気持ちを取り直して健気に「お久しぶりです」と切り出す永瀬さんに,澪はこう言うのだ。「私あなたのこと実は覚えてない」と!?
 覚えてないのに呼び出して,そんな嫌がらせのようなお願いを切り出した上,取り消したのですか,君は。人格疑う…。


 この次の場面のケーキ屋さんでの澪も,まじ酷すぎる。

 佑司のためにケーキを予約するのは素敵な思いつきだ。
 だが,特に親しいわけでもないケーキ屋さんのご主人に「この店つぶれたりする予定ありませんか?大丈夫ですか?」なんて質問するか?! あきれ果てる…。
 幾ら彼女なりの苦しい事情があったとしても,その言い草はないだろう。他に幾らでも言い方はあるはずなのに。


 更に場面は進み,7月,梅雨明けの小学校の教室。
 明るくなった空を見た佑司が,授業中に突然先生に言った言葉。

 「僕どうしても帰らないといけないんだ」

 いやいや,その言葉遣いはダメでしょう。そもそも授業中にいきなりそんな発言をするのはマナー違反なのだから,せめてきちんと敬語を使いなさい。



 ほんの一例だが,こんな感じで,この映画が大好きで毎年見ているけれど,何もかも気に入っているわけでもないのだった。
 竹内さんの演技も話し方がどうも馴染めないのだが,彼女の笑顔が最高に可愛らしいので気にしないことにして見ている。

(昨年の竹内さんのご逝去は本当にとてもとてもとても残念だ。熊本地震を心にかけて下さってありがとうございました。ご冥福をお祈り申し上げます。)