世話やきキツネの仙狐さん

コミック配信サイト『コミックNewtype』にて2017年10月から連載中。
2019年4月~6月にアニメ化作品が放映された。

ブラック企業で連日終電ギリギリ、
心も体もボロボロになっていく中野のもとへ
神使の狐、仙狐さんが世話をしにやってくる。

800年の時を生きてきた仙狐さんだが、
狐の耳ともふもふの尻尾を持った幼女の姿。

仙狐さんの同僚のシロ。
仙狐さんの上司の夜空(そら)。
様々なタイプの狐さんが目の保養になることは勿論だが、
仙狐さんの家庭的な雰囲気に癒やされる。

そして忙しい日々に追われ見失ったもの。
何か大切なもの。
人が日々を幸せに生きるために必要なもの。
生き物として当然であるはずの常識。
そういったものを思い出させてくれる。

この作品は「コメディ」に分類されるようだが、
私にはとても社会派作品に思えた。

そう、人は何のために生きるのか?
生きているのか?
青臭いけれど、これは永遠のテーマではないか。

日常に追われることが当然になって、
失ってしまった「あそび」の時間。
そして日常を営むための基本だった時間。

夕刻には帰宅し夕食を美味しく食べる。
必要なだけの睡眠を取る。
病気の日は家で休む。
楽しく遊べる休日を確保する。
悪天候が極まった日は出かけない。
布団を干したり家事をしたり自分のねぐらを整える。

みんな生物として普通のことなのに
それができない日々を送る人は珍しくない筈だ。
文明が進んで便利になっているのに、
何故か人の自由な時間は増えていない。

仙狐さんは便利さを否定しないし、
不条理な日常を非難もしない。
ただ受け入れて、
不思議に思ったり同情したり、
驚いたり楽しんだりする。

☆☆☆

「存分に甘やかしてくれよう!」

世話やきキツネの仙狐さん (1)

☆☆☆

いつのまにか仙狐さんに甘やかされ、
仙狐さんの温かな尻尾に包まれているような、
そんな作品だと思う。
癒やし成分の補給に仙狐さん!

稲荷神社は日本全国に32000社。
近所のどこかには必ずあるはずだ。
赤い鳥居に神使の狐、珍しくない光景だ。
仙狐さんのような存在がいたとしても
少しも不思議ではないよねと思う。

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アルテ

『月刊コミックゼノン』にて2013年から連載中。
全10巻が発売されている。

16世紀のフィレンツェが舞台で美しい絵柄。
以前から気になっていたので、
10巻まで揃えて一気に読んでみた。

16世紀初頭・フィレンツェ。芸術など文化活動が花開いたルネサンス発祥の地。 そんな活気あふれる華やかなる時代に、貴族家生まれのアルテが画家工房への弟子入りを志願する。 女性がひとりで生きて行くことに理解のなかった時代、様々な困難がアルテを待ち受ける。

Amazon内容紹介

☆☆☆

貧乏貴族の娘アルテ16歳が家を飛び出し画家を目指す。
元気で素直で前向きで,とても負けず嫌いな彼女が,
女は男の庇護の元で生きるのが当然の時代に
自分で自分の人生を切り開いていく。

作者の大久保圭(おおくぼけい)さんが
ルネサンス期イタリアを描きたくて始まった物語らしく
街や人々の服装、生活習慣など
今まで全く知らなかった16世紀のイタリアが
丁寧に描きこまれていて興味深い。

Kindle版

Amazonの評価は1巻で二分されており、
1巻ではつまらない恋愛漫画だという意見もある。
が、そういう読者が離れた2巻以降は高評価だ。

確かに1巻終盤で主人公が恋に翻弄される場面がある。
しかし2巻以降ではしっかり立ち直るし、
主人公の16歳という年齢を考えると恋の病は通過儀礼。

主人公が社会の逆風に負けず道を切り開くという、
連ドラみたいな王道ストーリーとはいえ、
王道ストーリーならではの安心感で、
主人公の成長と美しい絵を楽しみながら、
主人公を応援しつつ気軽に読み進められる。

11巻の発売は2019年7月ということで
続きを読むのが楽しみだ。

コミックス版