『ストップ!!ひばりくん!』

彼女(!?)が元祖。 江口寿史が「週刊少年ジャンプ」に掲載した大ヒット作を、 未収録原稿を完全収録、カラーページも完全再現し、 雑誌掲載順に収録した究極のコンプリート・エディション。

Amazon 内容紹介 より

『ストップ!!ひばりくん!』とは?

約35年ほど前に『週刊少年ジャンプ』に連載された漫画ですが、
ヒロイン?のひばりくんは「男の娘」!
何しろ1981年の作品ですから、「男の娘」は画期的。
ほぼ伝説と言っても過言ではない作品でしょう!

勿論、当時はとても話題になりました。
少年雑誌に少しも興味がなかった私でさえ
『ストップ!!ひばりくん!』という作品名を知っていたくらい。

この有名な彼女?「ひばりくん」。
未収録原稿を完全収録しカラーページも完全再現、
それを掲載順に収録したというコンプリート版が発売されました。
Kindleでも気軽に読めるということで、読んでみました!

これさえ読めば
文字通り「ひばりくんの全て」が分かる。
35年の時を経て、果たしてどんな風に感じるものか?

見事に女の子にしか見えない別嬪さんのひばりくん。
彼女(彼?)を巡って
ハチャメチャ騒動が次々と起こっていく。
ひばりくんは可愛く美人なだけでなく、
腕っ節も強く、機転も利くし頭も良い。

そんな彼女を中心に物語は小気味よく進んでゆきます。

読んでみて

時代を超えたセンスが光る!

まず思ったのは、
ひばりくんの可愛さは完璧に現代に通用する!
ってこと。

これは実はとても凄いことです。
昔「可愛い!」と思って見ていた筈のキャラクターも
今改めて見てみると、大抵は古くさく感じるデザインで、
「当時はこんな感じを可愛いと思っていたんだ!?」
と驚くことがほとんどなのです。
なのに、ひばりくんにはそれが無い!

ひばりくんは現代に通用する完璧な可愛さで、
ファッションセンスも抜群。
もう一度書くけれど,これ本当に凄いことです。

作者の江口寿史氏は、
未来を生きる天才さんだったのだなと思いました。

例えば2巻(P.193)にこんなフレーズがありました。
「あら 男の化粧はべつに変態じゃないよ」

当時、化粧する男性は「変態でキモチワルイ」って
マジ思われていたのです。
そんな時代にこのフレーズを書ける。
そのセンスは並大抵ではないと。

時代にどっぷりな昭和世界!

そして、その一方では
1980年代の世界が余すところなく展開されるのです。
時代を知っている私には懐かしかったし、
知らない方なら作品で昭和を生きる模擬体験ができそう。

ひばりくんのプロフィールを見ると
好きな歌手は「YMO」とか「イモ欽トリオ」。
いやいやいやいや、最近の若者はほぼそれ知らないよね?

薬師丸ひろ子さんそっくり少女が出現したりもする。
1983年夏公開の映画『探偵物語』は、
確かに当時の若者の多くが見た邦画だった。
主演の薬師丸ひろ子さんは、
お洒落で可愛い女子大生の代表だった。
でも映画そっくりの少女の髪型も、
1980年代を生きていなければ分かりにくいよね?

かと思えば、ボクシング部の合宿。
高校生のひばりくんが一升瓶を抱えているではないか!
いやー流石に一升瓶はないにしても、
当時の高校生、合宿で先輩に勧められてちょっとお酒……
なんてことは普通にあったと思う。

しかしそれを公共の雑誌に描くことが許されていたとは?
何と表現が自由で大らかな時代だったのだろう。
これきっと今ならダメ、アウトだよね?

今の雑誌ではどうなっているか等知らないけれど
最近のアニメを見ていると
未成年の飲酒場面は面倒なほどキッチリ規制されているもの。

ここにもすごく昭和を感じたのでした。

お勧めポイント

驚いたり感心したり考えさせられたり。
流石歴史に残る名作で面白かったです。
少年漫画ですが絵柄も綺麗。
女の子たち、
特にひばりくんと彼女?の姉妹は大変可愛です。

昭和の「男の娘」ひばりくん、
一読して損は無い歴史的作品だと思います!

そうそう、根強いファンが絶えなかったひばりくんは、
2017年にセキグチからドールも発売されています。
「STOP!!ひばりくん!ドール」。
既に簡単に手に入らない状況ですが、
ご興味がありましたら、是非画像検索を。
そっくりです!