からかい上手の高木さん(10)

からかい上手の高木さん(10) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
作者:山本崇一朗
発売日:2018/02/12
―西片 縦読み 犬 クッキー エイプリルフール リベンジ 釣り 箱 呼び方

アニメ第2期が決まった『からかい上手の高木さん』最新刊。

中学1年生の西片くんは、隣の席の高木さんにからかわれてばかり。
今日こそ高木さんとの勝負に勝ってやろうと
日々色々と画策しては、毎回賢い高木さんにしてやられる。

西片はかわいいし、高木さんもかわいい。
西片をからかう高木さんには、西片大好きオーラが満ちあふれている。

たまに高木さんが西片を虐めているように受け取って、
このコミックが嫌いって人もいるようで、
とっても仲良しな二人にしか見えない私には謎の見解なのだが、
合わないと思う方は読まないのが幸せだし、
私は読めば幸せな気持ちになるからこの作品大好きだ。

9巻くらいから高木さんが少し積極的な気がしていたが、
10巻ではさらに高木さんが気持ちを伝えようとしているように見えた。

未来の物語や、二年生になったばかりの二人の物語、
それから高木さんが西片を呼び捨てにしていなかった過去の話。
9巻までとは少し違った雰囲気の巻だった。

既刊の9冊を目録的に列挙しておこう。
疲れた日などにふーっと和むのに素敵なタイトルだと思う。

からかい上手の高木さん(1) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
発売日: 2014/09/10
―消しゴム プール 変顔 筋トレ 空き缶 日直 傘 風邪 本屋さん

からかい上手の高木さん(2) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
発売日: 2015/02/09
―雨宿り テスト勉強 テスト返却 手紙 掃除当番 二人乗り 腕ずもう 夢 番外編席替え

からかい上手の高木さん(3) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
発売日: 2016/01/08
―肝試し 質問 背比べ 席替え 英訳 逆上がり わき腹 習字 尾行

からかい上手の高木さん(4) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
発売日: 2016/11/11
―水道 部屋 21ゲーム 占い お誘い ポーカー ネコ ケータイ 写真

からかい上手の高木さん(5) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
発売日: 2017/02/24
―想い出 買い物 水着 マラソン 二択クイズ コーヒー 台風 ホラー クリティカル

からかい上手の高木さん(6) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
発売日: 2017/08/18
―デート 石蹴り 似顔絵 ウォータースライダー 宝探し お悩み 目薬

からかい上手の高木さん(7) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
発売日: 2017/12/15
―入学式 スポーツテスト お土産 催眠術 大福 Tシャツ 宝くじ 教科書 約束

からかい上手の高木さん(8) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
発売日: 2018/02/09
―バレンタイン けん玉 自転車 保健室 体育倉庫 雪だるま 氷 水切り

からかい上手の高木さん(9) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
発売日: 2018/07/12
―関節キス くしゃみ かくれんぼ 年末 メール 歩数 外見 ドッジボール

ハチミツとクローバー

ハチミツとクローバー(Honey and Clover)

羽海野チカ氏による漫画作品で、通称「ハチクロ」。
雑誌連載は、2000年~2006年。
テレビアニメ、テレビドラマ、実写映画にもなった作品なので、ご存知の方も多いことだろう。

舞台は美大。学年も専攻も違う5人の若者を描く群像劇だ。
美大に集う彼らだけに、みな才能があり個性的。
大学生活を送る彼らは、当然、恋愛で苦しみ才能で苦しみ、将来への不安に悩む。
そして散り散りに、各々の道を目指して旅立つ。

高校生や大学生の読者なら、等身大の彼らの中にすぐに溶け込んでゆけるだろう。
遙か昔にそんな時代を終えた大人だったら、甘く苦しく切ない昔の記憶を重ね、当時の心を少しばかり思い出すだろう。
若い頃に未来への不安や恋愛で悩んだ経験がないという人は、おそらくとても少ないだろうから。

アニメやドラマ、映画にまで展開される作品となったのは、そんな感じで、誰もがその人なりの立場を胸に抱きつつ楽しめるコミックだからだろうと思う。

主要登場人物の5人を紹介しておこう。

竹本祐太 建築科。初巻19歳。真面目で気が利く。物語の最初からはぐみに恋をする。
真山巧 建築科。初巻22歳。優秀でモテる。好きな女性は他にいるが山田は大切。
森田忍 彫刻家。初巻24歳。竹本と同時にはぐみに恋。謎な行動が多い天才肌。
花本はぐみ 油絵科。初巻18歳。天才肌で人見知り。とても小さい。
山田あゆみ 陶芸科。初巻21歳。器量よし才能もある。真山への報われない恋に苦しむ。

物語は10巻で完結。特に誰が主人公というわけでもなく、5人の成長が描かれる。
各々悩み苦しみながら時を重ね、それぞれの方法で卒業へ向かって大学生活を紡いでゆく。青春ってホント輝いているのに辛いことばかりだね?
時には潰れないようかつ丼をほおばりながら、時にはひたすら自転車のペダルを漕ぎながら、若者たちの一年には変化がいっぱいなのだ。

彼らが吐露する想いは、たぶんかつて読者が経験した想いであり、これから感じる悩み。だから読んでいると一言一言が胸に刺さる。

★☆★☆★

「努力する」か「諦める」か
どっちかしかないよ
人間に選べる道なんて
いつだってたいてい
この2つしかないんだ

5巻 59ページ

★☆★☆★

あんなに泣いてる彼女からでさえ
ぼくが感じたのは ただ果てしない
つよさ だった

6巻 85ページ

★☆★☆★

「好きなものを」「楽しんで」という言葉は美しい
―でも その 何と むずかしい事か………

7巻 106ページ

★☆★☆★

自分が生きる道のよりどころを何に求めるか。
自分の人生をどんな光で照らして進んでいくか。

恋愛が全ての人もいれば、恋愛以上に手放せない何かを持っている人もいる。
どちらの道が正しいかなんて正解はない。
選択しなければならない瞬間がきたら、本能で決めて進んでいくしかないのだ。

芸術という厳しく才能を求められる世界に生きている彼ら彼女ら。
その繊細な心を持って恋をし恋で苦しむ。
むくわれない恋に意味などないと断じてみても、想いは簡単に消えてくれない。
そんな恋の病を乗り越えて、自分の人生に必要な物を、いつか強い心で選び取る。

★☆★☆★

―なぜか
ただの1枚も写真が残っていない僕らには
あの時
目の前に浮かんだみんながいる風景だけが
瞳の奥に焼き付いて
一生消せない1枚になった……

9巻 33ページ

★☆★☆★

若い時代の仲間との時間というのは、本当にこうしたものだったと思う。
その時は一生懸命。思い出の形見を残している時間も余裕もなかった。
何もかもが過ぎ去ってしまったあと、心の中でセピア色に封鎖された、甘い痛みに包まれ永遠に輝く形見を見いだす。
そんな形見が自分にも存在したことを、たくさん思い出させてくれる物語だった。


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